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【読書メモ】持続可能なキャリアを実現するキャリア・アダプタビリティとは!?:『持続可能なキャリア 不確実性の時代を生き抜くヒント』(北村雅昭著)[第2章]

第1章では、持続可能なキャリアという考え方が現代の企業で働く私たちにとって重要だという点が強調されていました。考え方はわかっても、それを実現するために私たちがどのような能力を持ち、実践に活かしていけばいいかは別の問題です。本章では、心理的資源としてのキャリア・アダプタビリティに焦点が当たっています。持続可能なキャリアというキャリア観の文脈におけるキャリア・アダプタビリティという位置付けは私にとっては新しく、第1章に続いて刺激的な内容でした。

変化適応能力としてのキャリア・アダプタビリティ

キャリア・アダプタビリティとは、環境変化に適応させてキャリアをすすめる能力を表す概念で、マーク・サビカスが提唱したキャリア構築理論に依拠しています。以前まとめたことがあるので、ご関心がある方はご笑覧ください。

キャリア・アダプタビリティは、サビカスが師事したスーパーのキャリア成熟を発展的に継承したものです。キャリア成熟では学生が社会に出る上で準備ができているかどうかの成熟度合いを見ていましたが、変化が激しく何度も個人としてのキャリアチェンジを行う必要性がある現代においては、キャリア・アダプタビリティという心理的資源を個人が保有することだ大事である、というわけです。

キャリア・アダプタビリティの影響関係

では、キャリア・アダプタビリティは何から影響を受け、何に影響を与えるのでしょうか。本書では、以前私もレビューしたRodolph et al. (2017)を邦訳して以下のように紹介しています。

『持続可能なキャリア 不確実性の時代を生き抜くヒント』73頁

※Rodolph et al. (2017)を紹介したnoteは以下です。

上図を基本形として認めながら、著者は、他の先行研究を参照しながら右向きの一方向の矢印関係だけなのであろうかと疑問を呈示しており、私もその問題意識に共感しています。

adaptationからadaptabilityへと影響するループ関係の可能性が本書では紹介されていますし、個人的にはadaptingがadaptabilityやadaptivityに影響を与えるという関係性もあるのではないかと感覚的には思えます。


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