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【読書メモ】『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント、三笠書房、2014年)

本書では、与える人(=Giver)が中長期的に人生を豊かにすることが述べられます。しかし、Giverであることが必ずしも良い結果をもたらすとは限らないという主張が印象的です。

各論に入る前に、他者との利得関係から見た三つのタイプの人物について見てみましょう。著者は以下のように定義しています。

Giver:人に惜しみなく与える人
Taker:真っ先に自分の利益を優先させる人
Matcher:損得のバランスを考える人

販売員やエンジニアを対象にした調査を著者が行ったところ、実績が最も低い群の人々にははGiverが最も多かったそうです。理由は、自分自身の成功を犠牲にして相手の利益を優先してしまうために、割りを食ってしまうからです。イメージしやすいでしょう。

他方で、これが本書の面白さなのですが、実績を最も出しているタイプもGiverなのです。短期的にお人好しすぎて裏切られたり利用されていても中長期的には成果を出せるという話は美しくもあります。

上記の二点を合わせると興味深い事実が浮かんできます。つまり、Giverの中でも一部しか成果を出せていないという厳然たる事実です。では何が、成功するGiverと失敗するGiverを分けるのでしょうか。本書では四つのポイントが指摘されています。

(1)人脈作り
新しく知り合った人々と関係を培い、以前から付き合いのある人々との結びつきを強めるための活気的なアプローチ。
(2)協力
同僚と協力して業績をあげ、彼らの尊敬を得られるような働き方。
(3)人に対する評価
才能を見極めてそれを伸ばし、最高の結果を引き出すための実用的なテクニック。
(4)影響力
相手に自分のアイディアや関心事を支持してもらえるようなプレゼンテーション、販売、説得、交渉をするための斬新な手法。

まず、おさらいとして、Giverであることは肯定的に捉えられるべきでしょう。その上で、上記のようなポイントを押さえる必要があります。そうでないと、TakerやMatcherがGiverを装って行動することが是とみなされてしまいかねません。

ここまで読んでくると自分自身がGiver/Taker/Matcherのうちのどの行動を取りがちかに興味を持つ方もいるでしょう。著者は、自分自身でアセスメントできるサイトを用意してくれています。日本語訳はありませんが、興味がある方は受けてみてもいいかもしれません。

ちなみに私が受けたところ、Giver=73%、Matcher=20%、Taker=7%となりました。本当でしょうか(笑)。予見なく受けるためには、本書を読む前にセルフチェックされることをお勧めいたします。


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