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【読書メモ】組織内でキャリアをすすめるキャリア展望とは何か?:『人と組織の行動科学』(伊達洋駆著)

将来のキャリアの見通しをキャリア展望(career prospect)と言います。自分自身にとっての今後のキャリアについての見通しが立つかどうかを表す概念ですが、前提として現在の組織内におけるキャリア形成の見通しです。キャリア展望を促すための組織側の関与として四つあるとされています。

①会社が支援してくれているという感覚を与える

社員各人がキャリア形成するための支援を会社がしてくれているという感覚を得られるとキャリア見通しが高まります。もちろん、人事制度を整えることも重要ですが、それが社員にとって伝わるように現場で運用することも重要であると言えます。

②昇進の手続きが公正だと感じられる

キャリア見通しが組織内においてキャリアをすすめることが前提となっている以上、組織における昇進がその主たるものになることは想像できるでしょう。したがって、昇進のプロセスが公正であると認識してもらうことが重要になります。

③上司やメンターから働きかける

キャリア展望は個人だけで描くことは難しいものがあります。現実的な職務やプロジェクトのアサインメントについては上司が深く関与しており、キャリア機会に関する視野を広げる存在はメンターです。そのため、上司やメンターが社員のキャリアと紐づけてコミュニケーションできる状態性にすることが社員がキャリア展望を持つことを支援することにつながります。

④家庭から支援される

組織内における昇進であるとはいえ、家庭において理解されて支援を受けるが大事であるとされています。昇進によって仕事は大きく変わります。それに伴ってストレスが高まったり、適応に時間がかかったりするでしょう。こうした変化に対して家族が理解して支援してくれるかどうかがキャリア展望に影響を与える、ということは想像しやすいのではないでしょうか。

打算的な行動を取るリスクに注意

キャリア展望が高まることの副作用は、組織内においてキャリアをすすめるという特性に因るものです。一昔前のドラマで描かれたように、出世のためならなんでもするというような打算的な行動を取ることにならないように留意することが必要だと言えます。


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