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AKB48ユニバーサルに移籍

AKB48が14年半所属したキングレコードを離れ世界三大メジャーのユニバーサルに移籍することになった。

AKB側が事前にアップしていた告知動画は自転車に乗った人物が各所を移動するというものだった。そのゴール地点が原宿付近であったことから、多くのファンがユニバーサルに移籍するのだろうと予想していたが、その通りになったということだ。

OUT OF 48といういかにもK-POP風なにおいのするオーディション番組を日テレと組んで放送すると発表していたことから、レコード会社移籍の可能性を推察していたファンも多かったのではないかと思う。

そして、移籍第1弾シングルのセンターがIZ*ONEのメンバーとして活躍した本田仁美であることから、今回の移籍がK-POP好きの女子ファンを獲得するための戦略であることは間違いないと思う。

これにより、国内のAKBグループは元々、ユニバーサル系だったHKT48、暴行騒動後にソニー系から移籍してきたNGT48、最近移籍してきたNMB48と合わせて4グループがユニバーサル系のレーベルの所属となった。
将来的にはSKE48やSTU48もユニバーサル所属になり、それぞれのグループをAKBグループのユニットのようにしてしまったりするのだろうか?
ユニバーサル所属だった今はなきラストアイドルが複数のユニットを抱えるラストアイドルファミリーという形態だったように。

ユニバーサルは言うまでもなく世界最大のレコード会社だ。つまり、外資系企業だ。それは、日本のレコード会社や芸能事務所のセオリーが必ずしも通用するとは限らないということを意味する。なので不安がないわけでもない。

ユニバーサルに移籍してからのNGTは一度もオリコン首位を獲得していない。HKTも連続首位獲得記録が途絶えてしまった。おそらく、オリコンで1位になることが至上命令ではなくなっているようにも思える。

となると、2009年の“RIVER”以来47作、13年にわたって続いた連続首位獲得記録も途絶えてしまうような気がして仕方ない。

既にコロナ禍に入って連続ミリオン記録は途絶えているし、紅白やレコ大にも出られなくなった。
そう考えれば、首位獲得に関してもこだわらなくていいわけだしね。

確かにHKTやNGTはCDのリリース数は減った。でも、そのことにより、博多や新潟といった本来の活動拠点での仕事が増えた(関東のファンからすれば物足りないかも知れないが)。
つまり、しがらみがなくなればフレキシブルな活動ができるようになるということだ。

AKBだって、レコード会社移籍により、新たな活動の仕方を模索できるチャンスを手にしたと言っていいのではないかと思う。

キングレコードのスタッフにはAKB商法という1人のファンに大量のCDを買わせるやり方がうまくいっていた時のビジネスプランから抜け出せないフシがある。そういう意味ではレコード会社を移籍するというのは、これ以上、ファン離れを起こさないためにも、新規ファンを獲得する上でも必要な策だったのかも知れないと思えてくる。

キングレコードは元々、演歌に強いレコード会社だった。そして、演歌人気が低迷するようになり、キングはアニソンのレコード会社となった。
そして、アニソン系レーベルの勢力争いが激しくなりキングが必ずしもアニソン界のキングとは呼べなくなった頃にブレイクしたのがAKBだ。これにより、キングはアイドルに強いレコード会社というイメージがついた。

キングが発展させたいわゆるAKB商法の功罪については誰もが以下のように思うのではないだろうか。

功については言うまでもなく、握手会参加券や総選挙投票券などイベント参加券を封入し、ファンに同じCDを大量買わすことによりビッグセールスを記録したことだ。これにより、世界的にはオワコンとなっているCDの売り上げが日本では維持されることになった。盤面やケースの製造メーカー、CDショップなどはこれで生き残れたと言っていいと思う。

罪については功以上に同意する人が多いと思うが、誰も聞かないCDを大量に生産したことだ。
そりゃ、同じ内容のCDを何枚も買ったって、実際にプレーヤーにのせるのはそのうちの1枚だけだからね。残りのCDは中古ショップに売るか、買い取ってもらえなければゴミとして出すだけだ。
そして、このCD依存主義により、日本の音楽界が世界から大幅に遅れを取ってしまったのも事実だ。ストリーミングによる音楽視聴がなかなか進まないのは、日本のレコード会社(外資系含む)が多かれ少なかれ、AKB商法に近いことをやっていたからだと思う。

でも、コロナ禍になって、AKB商法は限界に達してしまった。コロナ禍は落ち着きつつあるし、対面式の接触系イベントも徐々に復活してはいるが、コロナ前のような大勢のファンが参加する握手会はもう開催できない。そう考えると、ビジネスモデルを変えなくてはならないのは明白だ。

でも、キングのスタッフはその成功体験の甘い汁を忘れることができず、時代が変わってもそれと同じようなものをしようとしてしまう。でも、それは新たな世の中になってしまったのだから無理だし、それをやるのはメンバーやファンにとっては負担でしかない。総選挙、連続ミリオン、紅白、レコ大等々、これまでAKBにとって当たり前だったものが次々となくなっていったが、その責任はやり方を変えられなかったキングにあると言っていいのではないだろうか。

日本人は音楽にしろスポーツにしろ一般の職場にしろ、移籍とか転職と言うと、いまだにネガティブなイメージを持つ人が多いが、今の“職場”が自分たちを活かせる場所でないならば、自分たちを受け入れ、活かせる場所を提供してくれる所に移ることは何も悪いことではないんだよね。

なので、これからのAKBがどう動くか注目していきたいと思う。


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