見出し画像

2022年2月の読書振り返り

ようやく寒さも和らいできましたが、海の向こうを思うと非常に憂鬱な毎日です...。


モダンエルダー

著者は、世界有数のホテルチェーンを創業し経営してきて、リーマンショック時にその会社を手放した後、エアビーアンドビーにホスピタリティの責任者として参画、という経歴。

本書の内容は「年長者(エルダー)」が若い企業、社会でどのようにして生きていくかを綴った内容。著者ほどの華麗な経歴ではないが、僕も似たような感じなので興味深く読んだ。

冒頭の方に「メンターン」という言葉があったが、メンターとして若い起業家たちになんらかの価値を提供しつつも、彼ら彼女らからもインターンのような素直さで学んでいく。これはすごい大事だなと僕も思っている。

「メンター」と呼ばれる人たちはいるが、自分の価値観やノウハウを伝えるのはいいが、聞いている人から何も学ばないような姿勢の人は少なくないなと日頃より感じている。僕はそういうオトナになりたくないし、そもそも若い世代(に限った話じゃないけど)は自分より優れている部分が多く、自然と多くを学んでいる。その結果、僕自身は進化を感じているし、その分、みんなにも価値を届けないと…と頑張るという好循環が生まれると思ってる。

本書を読んで「自分はそれができてる」と感じた人も多いだろうが、本当にできているのか謙虚に自分を見つめ直した方がいい。もちろん僕自身も改めて見直した。そして「こんなの一部の人しかできない」と感じた人も素直に柔軟にチャレンジしてほしい。そう思った。

ローカルクリエーター

一昨年くらいから全国各地に出かける機会を増やしているが、地方の可能性も感じたが、一方で課題なども多く感じた。どうしたらその課題って解決できるのかな?という問いにはまだ明確な答えは出ていないが、引き続き考えていきたいし、もしかしたら僕の「やりたいこと」に近いのかもなと思ったりもしてる。

さて、本書は兵庫県加東市にUターンして、当地で出版社を立ち上げた方が著者。東京圏に集中している情報産業やクリエイティブワークこそ地方からやるべきだというような趣旨。僕も同意だ。そして本書にも書いてあったが「外貨」を稼がないといけないと僕も思っているし、各地でそのような発言をしている。

現状、地方には課題は多い。前述のように明確な答えは僕にはまだない。本書のような本を読み、現地に赴き、人と話し、感じながら「答え」を考え続けていきたい。

言葉のズレと共感幻想

コルク佐渡島庸平と著述家の細谷功さんの対談本。普段はこういう対談形式の本を買わないんだけど、タイトルとパラパラめくった感じ面白そうだったので購入。

会話、言葉ってほんと難しいなって日々思ってて、なんとかスムーズで建設的な会話になるように試行錯誤してる。言葉の定義だったり、上位概念のすり合わせとかはよくやるようにしてて、それがないと各自の定義、見てるレイヤーの話になってしまう。片や戦略の話、片や戦術の話をして噛み合わないなんて事例は掃いて捨てるほど散見されるので。本書の中に麹町中学の元校長の話があって、彼は「常に上位目的がそろっているかを話し合う」らしい。まさしくそれだ。

そんなわけで本書を読み進めていったが、言葉の問題、共感の問題だけでなく、様々な事象について話されていて、逐一「確かにな」とか「うーん、僕はこう思うな」とか、あたかも二人の会話に参加してる気持ちになった笑

サウジアラビア 「イスラーム世界の盟主」の正体

正直これまでサウジについてあまり考えたことも調べたことも無かった。ただなんとなく「親米なのでイスラムの中では自由な感じなのかな」くらいのイメージを持っていた。ワッハーブ派も名前は知ってるけど、サウジの成り立ちと深い関係なの知らなかった(もしくは昔覚えたけど忘れてた)。

サウジの思惑、宗教との関係性、国際社会との関係性などがコンパクトにまとめられてて、わりと良い一冊だった気がする。

9割の社会問題はビジネスで解決できる

ソーシャルビジネスのみで年商55億円というボーダレス・ジャパン社の田口社長の著書。不勉強でボーダレス社のことを知らなかったのだが、すごい。

社会問題を目にする機会も増え、僕のような一般人も最近は意識するようになった(小さな一歩だが、今年から水筒を持ち歩いている)。社会問題関連の課題を持って相談にくる若い起業家も増えた。ただ通常のビジネスよりもソーシャルビジネスは難易度が高く、どうしたものかと少し悩んでた。

そんな中で本書が目に入り、購入してみた。社会問題に対して取り組むには一過性の支援ではなく、持続可能な支援をしないと意味がないと個人的には思っていて、それには自走できる仕組み、すなわちビジネスとして成り立つ仕組みを構築する必要だと考えていた。なのでこの本のタイトル「9割の社会問題はビジネスで解決できる」にとても共感したし、そのノウハウを知りたいと思った。

読んでみて、この考え方は何もソーシャルビジネスに限ったことじゃないなと思った。思想の無いビジネスはダメで、思想があり、誰か(何か)の問題を解決し、収益も上がる。そういう考えをしないといけないと思う。なのでソーシャルビジネスに関わる人だけでなく、スタートアップ起業家にも参考になるんじゃないかと思う。あのシートで改めて自分たちのビジネスを当てはめるのも良いのではなかろうか。

ルポ プーチンの戦争

ロシアによるウクライナ侵攻に心を痛めながらこの数日はすごしていますが、そもそも今回の侵攻のきっかけとなった2014年のロシアによるクリミア併合、そしてウクライナ東部への実質的な侵攻について知らなすぎたので、この本を急遽買って読んでみた。基本的にウクライナ寄りの論調。

ざっくりとした世界史的背景は知っているつもりであったが、この本を読んでみて考えが深まった。知識を持ってからニュースを見ると見え方が違ってくる。ぼんやりとニュースやSNSを見てると間違った情報も真実のように見えてくる。その判断がつかないからだ。それはロシアの現状と変わらないのではないだろうか。

情報を精査し、自分自身で考えることが重要だと再認識された、今回の事件だった。最後にWebでのおすすめを紹介したいと思う。

米国大学にてホスピタリテイ・観光経営分野で研究系博士教員をしている日本人の方が書いた記事。非常に詳しい。
2022年ウクライナ情勢をより深く理解するための歴史文化背景雑学
続編2:2022年ウクライナ情勢をより深く理解するための歴史文化背景雑学

ニュースメディア『The HEADLINE』を運営するイシケンさんのツイート。こちらは有象無象あるウクライナ情勢に関する情報を整理して発信してくれているので「いま」の状況がわかる。『The HEADLINE』も毎回上質なコンテンツを発信してるので合わせておすすめしたい。



この記事が参加している募集

読書感想文

街歩きで生計をたてて生きていきたい...