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2020年6月前半の読書振り返り

5月から再び本を読むことができるようになった。今月もなかなか良いペースなので前後半にわけて振り返りをしようかと。今回は「数年前に発売されたけど読んでなかった」本が多い。「感染症」「C2C」など時事的に話題になってるテーマの本も読んだ。


Airbnb Story

AIrbnbについてはこれまでほとんど触れたことがなかった。なぜなら興味が湧かなかったからだ。この界隈にいればある程度は知識を入れておいた方がいいのは間違いないが、それでも触れずにいた。

そんな僕がなぜAirbnbの本を読もうかと思ったかは、『ブリッツスケーリング』に書いてあったAirbnb創業者ブライアン・チェスキーの言葉がどれも共感できたからに他ならない。

「ブライアン・チェスキーが創ったAirbnb」に興味を持ち、この本を手に取った。とてもビジョナリーで善良な人たちだなと思った。もちろん既得権益や行政との戦いはあるのだが、それでも彼らは善良に見えた。少なくともちょっと前に読んだUBERと比べたら。

それに、昨今のC2Cプラットフォームの云々においてAirbnbでこれまでに起きた事件、対応など非常に参考になる部分が多い。

データ全分析 ダルビッシュ最強投手論

お股ニキの名前は前から知っていたが、これまで氏の本を読んだことはなかった。たまたま本屋に立ち寄った際に「本日発売」だったので試しに買ってみた。内容はちょっと僕には難しかったかもしれない。

とはいえ、僕もダルビッシュが最強最高の投手だと思ってるので、そこは共通している。好投手はたくさんいるが、出てきた瞬間に「今日は終わり」と感じる圧倒的なピッチングをした投手は多くない。野球を見始めてから30年以上経つが、80年代後半から90年代前半の斎藤雅樹、93年前半の伊藤智仁、00年前半の斉藤和巳、10年代前半の田中将大、そしてダルビッシュ。その中でも総合的に見てダルビッシュは抜きん出ている。

ホット・ゾーン

エボラ出血熱を取り扱った小説風ノンフィクション作品。1994年に刊行され、今年復刊した。伝染病に対して注目集まってる今なので読んでみた。前半はエボラが始めて人類の前に姿を現した話、後半は1989年に起きたアメリカでの騒動。緊迫感伝わる展開でドキドキした。エボラの実際の症状をよく知らなかったけど、これは怖い...嫌だ...。

ちなみに第一章は無料でnoteに公開されているので、ぜひ。

「これはフラグだな!」という場面が何度もあるが、結果何もないというのが何度もある。そういうの含めて「先が読めない」作品かもしれん。

ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男

井上さんの話って昔から全然出てこなくて謎な人だった。「孫さんの従順な腹心なのかな?」と勝手に思ってたが、ちょっと違うようだ。

後半のプライベートな部分にかなり重点があるような気がした。著者の森功さんは社会の闇に焦点をあてた作品が多い(去年話題になった『地面師』は僕も読んだ)。井上さんのヤフー退任後の「迷走」のようにも感じた足取りに森さんは何かを感じたのかもしれない。

ところで本の中で「いつもクールな井上さんが、臆面もなく全社員を前にボロボロと涙を流した。社員全員が初めて見た井上さんの涙だと思います」という箇所がある。とても印象的なシーンだ。なぜ井上さんが涙を流したか。それは、Yahoo! Inc.が業績低迷でリストラを断行し、創業者で当時CEOだったジェリー・ヤンが辞任したから。その事実をヤフージャパンの朝礼で社員に告げた時に涙をボロボロと流したのだ。ソフトバンクによるYahoo! Inc.出資からずっと近くで見てきた井上さんには自分のことのように悲しい気持ち、悔しい気持ちになったのかもしれない。

FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争

前述の井上さんが涙したYahoo! Inc.の凋落。そして低迷するYahoo! Inc.復活の最後の切り札がマリッサ・メイヤーだった。そして彼女は失敗し、Yahoo! Inc.は消滅した。

この本は一見するとマリッサ・メイヤーの本のように見えるが、そうではない。Yahoo! Inc.の急成長と混乱、低迷の物語に、時折マリッサの話が差し込まれるという感じだ。

それにしてもYahoo! Inc.の成長は最初からかなり危ういものだったんだなと思ったし、それはビジネスモデルも人選も全てにおいて危うい。ただただインターネットが爆発的に普及し、その流れに乗って成長していった。これは日本の初期のインターネット企業も同じようなものかもしれない。実力を追い越して伸びていった。風がやんだ時には混沌が残った。

マリッサが優秀なのは間違いない。しかし、Yahoo! Inc.のCEOとして数々の失策をしたことは逃れられない。前に読んだ『NEVER LOST AGAIN』でマリッサのとっつきにくさのようなものは書かれていたのを思い出した。頭は抜群に良いが、コミュニケーションはうまくなさそうだ。何より遅刻癖はやばい。フフフ。

それでもやはり彼女は優秀な人だと思う。CEOというのが向いてないのかもしれないし、そもそも全世界にYahoo! Inc.を救える人はいなかったのかもしれない。


ちょっと最近ビジネス本が多いので、歴史本の割合を増やしていこうかと思ってる。それではまた。

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