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世界が、やがて満たされていく。

 「燦々と照りつける太陽で、あつさ加わり体調を崩しがちな季節ですが、規則正しく健やか奈日々をお過ごしください。」展

会期: 2020年6月27日(土)~7月12日(日) 11時〜20時
会場: 西武渋谷店 B館8F=美術画廊

この長い展示タイトルには、
参加された作家さんの名前が隠されているらしい。

さて、このグループ展から、
やましたあつこさんの世界を覗いてみる。

はじめて山下さんの画を拝見した頃は、物語の登場人物であり、自身のなかに存在する「青い天使」と「赤い髪をした少女」は、白い光の中、華奢な花々の中にいた。

それが個展「HER」の前後から(?)
空間に金が敷かれるようになったと記憶している。

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今回はその密度がさらに増している。
いや、密度というよりは、金の含めた質量が増加している感覚。
二人を包む空間が濃密に満たされている。

私が目を止めたのは、「あなたはオレンジの片割れ」という画題の作品。
実は同じ画題で二点の画がある。
一つの画は、「青い天使」と「赤い髪をした少女」が伏し目がちに向き合っている。片方の手は結ばれているかもしれない。
この画は、植物の中にいる二人の存在が強く伝わってくる。

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もう一つの画は、「赤い髪をした少女」がふたり。目を瞑り指切りをしている。この世界は、くっきりと白い植物に覆われ、それがベールのように二人と鑑賞者の間に距離をつくっている。誰にも邪魔されない世界ということだろうか。

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どちらの画も、これまで以上に肌のテクスチャーを感じた。

断片を捉えたもの、大きな世界を提示するもの。
そのグラデーションの中、物語は幾重にも微分化され、新しい画となる。
次はどのような物語が待っているのだろうか。


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