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2020.10.17(土)8ヶ月ぶりの「普通の」ライブ

この秋一番の寒い雨の中、京都に向かう。3月以降初めての、配信のない普通のライブ。5月に予定していた公演を延期してようやく開催に。

最初の配信ライブ「新生音楽(シンライブ)」は3/24、まだ配信ライブが定着していなかった時期だった。いち早く実現できたのは、声をかけてくれたGrapher’s Group石原さんと、共演の原田郁子ちゃんのおかげ。


以来、色んな形で月一くらいのペースで配信は続けてきた。僕らミュージシャンにとってのニューノーマル=配信は、「その場を共有する」というライブの真髄を根こそぎ削られてしまって、実際はライブとは別のものではあった。その制約の中でなにができるか、という未知の挑戦はやりがいのあるものではあったけれど、もどかしさはいつもあった。

あれから8ヶ月。

京都紫明会館は窓を全開にしてライブができる会場とのことだったので、中止になってしまった5月の公演を50%の動員で秋に延期することにした。この日を迎えるまで、また延期になってしまうんじゃないかという不安に何度か駆られながら、やっと、無事にこの日を迎えることができた。

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あんなに通い慣れた京都行きの新幹線も、今年乗るのは初めて。外国人観光客がほとんどいなくなった駅は歩きやすい。

紫明会館は、鞍馬口の駅近くにある趣きある登録有形文化財。マイクには透明なプラスティックのシールド。今まで以上に丁寧にリハーサルをして、畳敷の控え室で出番を待つ。

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本番直前、ずっと降り続いた雨が止んで、木陰からほんの少しだけ、夕焼けらしき紅い雲が覗いていた。

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さあ、オンステージ。この日のために1ヶ月前から丁寧に練習してきたから、いい緊張感だけがみなぎる。客席のマスク着用率は100%。窓全開でも寒くない気候で良かった。

前半は今年書いた新曲で固めた。ライブでは初めて歌う曲ばかり。その時々の季節や心情がよみがえる。曲に気持ちが込められたので、殊更話を長くする必要はなかった。

後半から古い曲も織り混ぜて。何年ぶりか分からないほどの久しぶりの曲も。透明なシールド越しに、少しずつかつてのステージの感覚が戻ってくる。ただし、シンガロング(みんなで合唱)はなし。心の中で。ゆっくり時間をかけて暖まって、最後にはやっと「ライブ」を取り戻せた気がした。

大学の卒業生と同僚も見にきてくれたので終演後は話に花が咲く。みんな大変だったよね。大変じゃなかった人なんて、誰もいないよ。

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まだまだ制約も多いけど、こうやって少しづつ日々とライブを取り戻せたら。そんな希望を胸に。最後に、ライブを実現させてくださったSole Cafeの村田さん、本当にありがとうございました。

この「サポート」は、いわゆる「投げ銭」です。 高野寛のnoteや音楽を気に入ってくれた方、よろしければ。 沢山のサポート、いつもありがとうございます。