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高野寛35周年

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2024年11月、35周年記念エッセイとアルバムをリリース。
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ライフラインとアコギとPC

ライフラインとアコギとPC

YMOで音楽に目覚めながらも、ギターと歌で勝負してきた。
そのあたりのことは、30周年のとき書いた「ずっと、音だけを追いかけてきた」にも、今年35周年で書いた「続く、イエローマジック」にも詳しい。

新譜のインタビューをたくさん受けた。「今回打ち込みメインのサウンドになった理由は?」と必ず聞かれる。理由は色々あるので、毎回違った角度で答えている気がする。どれも正しい。

近年ずっとアコギの弾き語り

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35周年記念エッセイ+アルバム

35周年記念エッセイ+アルバム

デビュー35周年、何をするのかずっと迷っていた。

2019年に30周年を終えたその翌年2020年、世界はコロナ禍に突入した。
あれから5年が経ったけれど、皆さんは今どう感じているだろうか?

あの頃の世界と、今の世界は、連続していない。僕には、そう感じられる。

35周年を迎える直前、コロナ禍に作ったアルバム2枚分くらいのマテリアルがあった。エレクトロやアンビエントの曲が大半だった。それが高野寛

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あれから5年①

あれから5年①

30周年記念にnoteに自伝的エッセイ「ずっと、音だけを追いかけてきた」を書いた。あれから5年が過ぎた。

その5年間には、コロナ禍という史上稀に見る世界的な混乱が横たわっていた。皆さんそうであったように、僕も、仕事や生き方を根本的に見直すことになった。特に音楽を生業とする我々には、2020年・ロックダウン期からの2〜3年ほどの影響はとてつもなかった。

今となっては不思議な気すらするけれど、本来

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あれから5年②

あれから5年②

コロナ禍の記憶を辿ると、時々前後関係がわからなくなる。
人と会う機会が極端に減ってずっと同じような日々が続いていたから、とてつもなく長かったようにも感じるし、あっという間のようでもある。

2020年は、とにかく規則正しく生活することでしか正気を保てなかった。漠然とした不安感に支配されながらも、毎日を一日ずつ生き延びた。noteに残した記録、記事が296本もある。今少しめくってみたけど、生々しい。

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『僕ら、バラバラ(radio edit)』 MV公開

『僕ら、バラバラ(radio edit)』 MV公開

まずは観てください。

Music & Lyrics :Hiroshi Takano
Mixed : AOKI takamasa
Mastering :Yoshinori Sunahara

Music Video Director:Seiya Nakano Motion:Takuma Miyamoto Original typeface from Yellow Magic Orchestra

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顕在意識と潜在意識

顕在意識と潜在意識

今週から、新しいアルバムの取材が始まる。
取材期間中、ミュージシャンはこんな質問を受ける。
「このアルバムのコンセプトは?」
「このタイトルに込めた想いは?」

すべての質問に答えが用意されているわけではない。
正直に答えるなら、
「いや、なんとなく思いついて」
「寝起きに浮かんじゃったんですよね」
「意味はないんです」

とはいえ、そのままだと面白いインタビューにならないので、少し盛ったり、手繰

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若くなるには、時間がかかる

若くなるには、時間がかかる

これは、パブロ・ピカソの名言だそうだ。
以前から気になっていた言葉だけど、正直、意味はわかったような、よくわからいような、それでもなんだか忘れられないフレーズだった。

2024年12月14日、僕は還暦を迎える。
60かよ!と思う。50代に入った頃から、実年齢と意識がどうも折り合わない。

60歳にもなって「僕」で良いんだろうか?と思ったりもする。かしこまった場では「私」という時もある。
若い頃の

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記憶の何処かでオマージュを

記憶の何処かでオマージュを

先日「僕ら、バラバラ」という曲をリリースして以来、YMOマニアの何人かの方から「途中のシンセのメロは、坂本龍一さんの『Living in the dark』のオマージュですよね?」と言う指摘があった。正直、全く意識していなかったので、ハッとした。

0:27くらいから流れるシンセのメロディが、それ。

実はこの曲の原型が生まれたのは2012年に遡る。こんな変遷を辿った。

元々は、クラムボンのドラ

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