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【詩】自戒

己自身に 


例えば
誰か傷を負った人が
見られるためにではなく
見せるためにではなく
見せびらかすためにではなく
それをつまびらかにしているところを見かけたとする


私はその人を知っているのかも知れない
私はその人にもしかしたら近しいのかも知れない

けれどその人は本当に私を必要としているのか
依存と好意は違う
寄りかかり支えあうようにではなく
凛と立つ箭竹の二本であるなら
望む時にはどこの遠くからでも駆けつけようと思うけれども
本当は助けたいのでも救いたいのでもないのかも知れない
私の我が儘でかのひとを引き戻したいだけで
その人が再び自分の足で歩き出すのを見たいだけなのかも知れない

或いは
誰か人との関わりに抑え切れぬ激情を持て余した人がいたとする
それが正しいか正しくないかはさておき
傷付いたなどというものですらなく
抑え切れぬ憤怒と焦燥或いは激情を
見られるためにではなく
見せるためにではなく
見せびらかすためにではなく
それをつまびらかにしているところを見かけたとする

私はその人を理解出来るのかも知れない
その人は或いは私を興味深く思ってくれるかも知れない

けれど私はその人を救いたいわけではない
私ならば打ち倒されようと自分の足で立っていたい最後の瞬間まで
その人がやはりそう思うだろうと思うことそのものが
私の浅薄な誤解なのかも知れないとしても
その人が救われたがっているわけではないように思うのだ
そして私は見届けたいだけだそのひとが
己の誇りを貫いて自分の足で前へ進むさまを

なにもかも
それらは私の誤解かも知れない
或いは理解かも知れない
そして傲慢かも知れない
もしくは正鵠を得ているのかも知れない


私は私自身が望むように行動し
ひどく身勝手であることを忘れてはならない


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