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ふつうの新卒が大学院博士過程中退者と一年間働いて学んだこと



書こうと思ったきっかけ

noteに投稿するのは初になります。普段ははてなブログに自身の業務に関連する技術情報を中心に細々とアウトプットしています。今回はお恥ずかしながら初めて、noteに記事を投稿してみました。

おいおい、初めての投稿で有料noteとは攻めたね?」と思われることも承知なのですが、以下2つの理由のため今回の記事を有料noteにしました。

1つ目は単純な理由で有料のコンテンツを持ってみたいという興味と、「今年はマネタイズをするぞ」という個人的目標を達成するためです。そして2つ目は同期のTくんに売り上げの半分を新居への引っ越し代の足しにしてもらえればいいなぁという理由です。来月度をもって彼は別の企業に転職することが決定しています。Tくんの詳細についてはまた後にご紹介します。このnoteの売り上げは彼に折半するという話を既にしていますので、僕は良いものを書き上げて売り上げを立てるというプレッシャーを自分に課しています。

僕がこの記事を通して一番伝えたいのは彼のマインドや学習方法、つまりは賢い仕事のやり方です。自分の人生の中で本当に貴重な経験をしたなと思えることがたくさんあったので改めて言語化してみようと思いました。また多くの人に共有して彼の考え方が広まればと思います。

登場人物について

Tくん

香川出身のナイスガイです。大学時代は国公立大学の理学部で物理学を専門に学び素粒子論、量子コンピュータにブラックホール...と自分のような人間が普通に生きていたら関わることもないであろう分野の学習と研究を大学院の博士課程一年の夏まで行なっていました。そんな輝かしいキャリアを持っている彼がなぜ大学院の博士課程を辞めたのか聞いてみたところ「周りが賢すぎてやめた」と教えてくれました。いやいや、僕はあなたより賢い人に2人ぐらいしかあったことないよ(学部時代に在籍していた研究室の教授とインターンで出会ったやつ)。

業務では人工知能開発、すなわち機械学習の活用方法の提案からモデル開発、検証、運用まで幅広く活躍していました。またアプリケーションの開発も出来る上に、コンピューターサイエンスの知識もありオールラウンダーなプレイヤーでした。

しかし、機械学習については入社時は全くの無知の状態だったのですが、入社当時は業務中に学習することを許可されて、毎日のように機械学習の書籍を黙々と読んでいた姿を覚えています。元々、彼は複雑な数式や理論に365日触れて過ごしていたので

「機械学習の理論はすぐ頭に入った」

「機械学習もやるやん」

「物理学は最強やな」

とよく口癖のように言っていました。また、コミュニュケーションがあまり得意ではないと言っていましたが、彼の文章や説明は誰よりもシンプルで内容が濃く分かりやすいものでした。

お昼をほとんど毎日一緒に食べていたんですが、ある期間は彼が香川出身であることもあり丸亀製麺に毎日のように通ったり(釜揚げうどんの美味しさを教えてもらいました)、またある期間は急にインドカレーにはまったりと変な人です。大学院時代は激辛の麻婆豆腐を自炊して辛さで空腹を紛らわせていたり、勉強のしすぎてコーヒーを飲みまくり、登校中に倒れて、目の前の病院に救急車で運ばれてたりと滑らない鉄板ネタもたくさんあり、賢さだけでなくユニークさもあるナイスな人間です。

Tくんのプロフィールには見劣りしてしまいますが、僕の紹介も記事をよく分かりやすく理解して頂くために載せました。


僕は愛知県の私立大学の理工学部を2020年に卒業し、同年に新卒としてTくんと同じ企業に入社した普通の人です。学部時代には土木と建築を中心に学んでいましたが、就職はIT業界に進みました。その学部を選んだ理由は親から半ば強制された「公務員になるという」目標がありましたが、色々あって挫折しました。土木と建築にも一時期はハマったのですが能力の差を感じてしまい、次第に自分に向いていないと思い込むようになり、大学3年生のある日を界にコンピューター分野に乗り換えました。主にWebアプリケーションを自分で作ったりしていました。

こんな感じで中途半端な人間が僕です。何をやっても続かなくて、大きな目標を達成しきれたことがありません。いつも自分より凄い人を見ては萎縮してしまい、やる気を失ってしまいます。また社会人というフィールドに出てからは自分の学歴コンプレックスを感じています。もっと勉強するすべきだったと反省しております。

蛇足ではありますが、高校時代は吹奏楽部に入学し音楽にどっぷりとハマりました。そのために勉強を疎かにしてしまいました。

最強の同期があらわれた

僕は就業した企業で新卒として正社員になる前からインターンからのアルバイトという形式で長く関わりがありました。Tくんが中途枠で採用されたのは僕がアルバイトを初めてから約半年後ということもあり、会社の在籍という歴では僕の方が上ではあったのですが、正社員としての歴は彼の方が長く年齢も3歳年上の先輩...と不思議な関係でした。ただ、ほとんど同期みたいなものでした。

先ほども紹介したように彼は大学院で物理学を専攻していたこともあり、彼が入社したばかりの当時はよく「ブラックホールがどんなもの」だとか、「自分の論文が引用されただとか」...おおよそ今まで聞いたこともなかった世界の面白い話をたくさん聞かせてもらいました。面接も「ブラックホールの話をしていたらなぜか採用された」とよく分からないことを言っていました(あれは一体なんだったんだ...)。

彼は機械学習を担当するエンジニアとして採用されたものの、機械学習に関する知識は入社当時は皆無でした。しかし、彼のもつ経歴とポテンシャルの高さが素晴らしくすぐに機械学習の知識を身につけてしまいました(実際はかなりの努力をしたと聞いています)。ちなみに彼が当時読んでいた本はこちらです。

Webの開発についてはDjangoというPythonのWebフレームワークでブログを作ってきてはいたものの、開発者としてはほとんど未経験という扱いになっていました。


同じ案件にアサインすることに

ある日、とある案件にTくんがメインの開発者としてアサインし、そのサブの立場に当時アルバイトだった自分がアサインすることになり、初めて同じチームとして活動することになりました。

自分がフロントエンドと呼ばれる見た目を作る部分を担当して、彼がバックエンドと呼ばれるサーバー側での処理を担当することになりました。序盤は特に問題なく案件が進んでいましたが、案件が進むにつれて彼の能力の高さに驚かされました。詳しくは次章で詳しく解説していきますが、この案件に関していえば、問題解決能力の高さに驚かされました。

自分が分からずに困っているフロントエンド部分を全く触ったことがないのに、「〇〇で困ってるんですよ」と一言伝えると参考になりそうなURLをすぐさま見つけてきて、「出来たで」と書き上げたコードを見せてくれることがよくありました。僕は何が問題なのかが分かっていない問題に陥ることがよくありましたが、彼は何が問題なのかを見つけるのが非常に上手でした。

この案件をきっかけに彼と同じチームで活動することが多くなり、非常に多くのことを学ぶことが出来ました。僕かTくんから学んだことで印象的な事を一つ一つお話していきたいと思います。時系列は特に意識して書いていないので、その章からでも読んで頂けると思います。

彼から学んだこと

失敗を失敗で終わらせないこと

機械学習のPoC案件を進める中で思ったように精度が出ないことが何度もありました。良い結果が出なかったときは自分はいつも落ち込んでおり、報告することに嫌悪を感じていました。そんなある日、彼に「調子どうよ」と聞かれました。

僕「いやー、精度が出なくて困ってるんですよねー。〇〇を試してみたんですけど上手くいかなかったのでボツですね。残念...」

あー、きっとチームとしての成果量が減ることになるし嫌な顔をされるんだろうなぁ...と思っていたところ彼の一言に驚きました。

T「それは〇〇が方針として上手くいかないという事がまず分かったっていう成果であって失敗じゃないで

僕「え?」

T「その成果を元に次の施策が考えられるやん」


仕事として受けているので成果を出す事、機械学習のPoCではいかに高い精度を出せるかということに対して非常に自分は神経質になっていました。試すこと全てが良い結果を生み出さないといけないとプレッシャーを感じていましたが、そうではなく、失敗から良い結果を生み出せば良いということに気づかされました。

Webの開発では全ての機能が完璧に実装されることが要求されます。しかしながらテスト項目を100%パスしていたとしても、本番環境にならないと分からないことはたくさんあります。想定よりもリクエスト数が多かったりした場合にシステムがダウンしてしまうことは非常によくあることです。想定外が発生した場合にも失敗を失敗で終わらせずに、次に何をすればいいのかを考え出す力は非常に重要です。


「なぜ彼はいつも成果を出し続けていられるんだろう...」と疑問に思っていましたが、仕組みはここにありました。彼も当然、上手くいかない方針を採用してしまうことが人間ですから当然あったのでしょうが、その後の切り返し、どうすればその失敗が活きるのかを考えるのが非常に上手かったです。

失敗を決して失敗で終わらせない非常に重要なマインドを教えてもらいました。


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