夜明け前

 いつものルーティンで声を挙げる。足をバタバタ、布団はお腹の上からはるか下方へ。体をよじると枕から頭が落ちた。
 ひとまず1分ほど喉を鳴らしてみる。隣で寝ている大型の私は微笑みながら見ている。あまり進捗がなさそうなので黙る。

 こんな時にうんちやおしっこが出れば即座に反応してもらえるのに…。こちらの切れる手は出し尽くしてしまった。あとはひたすら声を上げるか、腕を振るか、足を振るか。なんらかの方法で注目を集め、乳まで辿り着きたい。
 抱いて欲しいのではないのだ。これもまた暖かく、揺れが加わると気がつかないうちに意識がなくなっているのだけれど……。

 気がつくとまた布団の中に寝かされている。私の日々は全て布団の中である。

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