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海外で得た”日本が特殊"という感覚

1週間ほどイスラエルへ海外出張に行ってきました。
イスラエルはユダヤ教、イスラム教、キリスト教など様々な宗教や人種が共存している国であり、税金が17%ととても高いですがそれは軍事技術に利用されているなど日本からするととても特殊な国であるといえます。

出張では、取引先や知人への訪問の他、2年に一度開催されるMEDinISRAELという医療・デジタルヘルス技術に特化したイスラエル政府主催の展示会にも参加してきました。展示会イベントの最終日は現地の病院見学ツアーが組まれており異国の文化と社会を広く体感することが出来ました。

病院見学ではRambamHospitalに訪問、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、医療機関ではTrauma Treatmentつまり外傷治療に非常に強い特徴があり、地上で戦いが起きた時に地下の往診室が完備され水と食料などが最低でも3ヶ月分は確保されているという環境です。また小児科は建物自体が分離されています。これは子供の時に見たり経験した出来事が後の人生に大きく影響を与えるため、軍事国家イスラエルならではの後世に対する配慮なのです。
この病院見学で私が最も感銘を受けたのが、医師、看護師、そして患者の中で存在する互いのリスペクトという文化です。
冒頭でも書いた通り、イスラエルではユダヤ、イスラム、キリスト教と様々な宗教や人種が共存しています。その環境であっても、迷いなく他人に命を預け信頼する関係性が医療現場で当たり前にできているのです。その他人へのリスペクトと信頼関係の理由を聞いてみると、Medicalスクールの教育プログラムの中にそのような倫理を学ぶカリキュラムがあり、医療現場でも当たり前であるということでした。

また、今回のイスラエル訪問では取引先との交渉や契約、そして生活は全て英語でのコミュニケーションですが、1週間の異文化生活で本質的に同じもう1つ大切な気付きがありました。それはイスラエルに限らず海外では、自分と相手が基本的には理解しあえない他人の関係性である事への意識と、だからこそその中で共存をするために他人に対するリスペクトが存在するという大前提の文化が根付いていることです。それは、取引先のCEO、サイエンティスト、マーケティング担当、宿泊先ホテルのスタッフ、タクシーの運転手、ツアーガイドの案内役、全てにおいて共通していることでした。
だからこそ、分からないことがあれば聞くのが基本です。そして分からないままにするのは失礼に値します。聞くこと、自分の主張、感銘を受けたことなどをインタラクティブかつオープンにコミュニケーションすることが海外ではビジネスだけでなく私生活でも必然とされていると感じました。
人種、国、宗教や育った環境が違えば分かり合えないのは当たり前であり、それを不安がらずむしろ全面に出しコミュニケーションすることで相手とのより強い信頼関係が構築されます。

この姿勢や文化は日本でも大いに学べる側面があると考えています。
私の感覚では日本では(少し誇張をして分かりやすく表現をすると)、お互い分かり合えないなんてありえない、だってあなたは日本人ですよね?聞くこと分からないことを明るみにすることは恥である、我慢をすることや空気を読むことの美徳という独特の文化が深く根付いている気がしています。
そして会社のプロジェクト推進もサービスクオリティも何事もミスなく100%を目指す、社内でのMTGやディスカッションも想定できるあらゆる事を細かに議論をするという感じでしょうか?
もちろん私は上記のような日本文化が良くないと言いたいのではなく、ケース・バイ・ケースで日本の文化と美徳が織成す美しさやアートの世界観があることも理解しています。一方で、これから多くの日本人が世界で活躍していくためには、自分たちはこうだからという固定概念にとらわれず、今自分たちは日本という特殊環境と文化の中に身をおいているという前提を俯瞰的に理解した上で、コミュニケーションをとることが世界で活躍する基礎としては必要なのではと思いました。

今後より会社だけでなく社会全体としてダイバーシティやグローバル化などの変化が加速していく中で、自分の価値観や考えが分かってもらえるものという前提ではなく、他人をリスペクトしてしっかりと密で生産的なコミュニケーションをしていく過程で信頼を構築していくことはこれから強く求められるマインドセットだと思います。

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