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AIによりスキル差が無効になるという夢想

自動化でらくちんできてハッピー、みんなスキルアップしても無意味だよ、みたいな意味でAI時代を待ち望み、軽やかにお過ごしの皆さま、あけましておめでとうございます!

AI時代はディストピアであり、なんらか規制すべきとお考えの皆さまも、どうか良い一年を迎えられますように!!

はたまた、AIは大したことできないだろう、大規模なアプリ開発や高度なプログラミングが代替されるなら、よりスキルが要求されない職務のほうがとっくになくなっているはずとお考えの方々、今年一年どうかよろしくお願いいたします!!!

さまざまなAI・自動化時代の言説が飛び交っておりますが、わたくしは下記のように考えています。

アプリ開発の70%がノーコードに置き換わっていくなかで、自動化技術のみで作られたアプリは参入障壁が0に近く他社優位性がないので、結局は自動化不可能な領域で人によるクリエイティブな開発力による競争が行われる。よって広い意味でのプログラミングスキルもしくはシステム設計力等の技術リテラシーは、以前として、またはより一層求められる。

上記が本稿の結論です。

その理由を以下に、示したいと思っています。

前回記事からAI・自動化について考えており、その続きです。

AI・ノーコード革命:アプリ開発の変容

AIとノーコード技術の革命により、アプリ開発の世界は大きく変化しています。生成AIがブームとなり注目を集めている現在ですが、2025年までにアプリ開発の約70%がAIを含むノーコードツールによって行われると予測されています(*参考)。この技術の進歩は著しく、短期間でその精度が飛躍的に向上しています。

ノーコード技術は、プログラミングの専門知識がなくてもアプリを構築できるため、ビジネスの自動化やワークフローの最適化に大きく寄与しています。いままで職業としてエンジニアリングに触れてこなかったフリーランスのアプリ開発者や個人開発者が、大規模アプリ開発に参入できるようになってきています。いずれは市民開発者と呼ばれる人々がプロの開発者より多くなります(*参考)

このように、AIを含むノーコード技術は、ビジネスの多様なニーズに応え、新しい形のアプリ開発を可能にしています。その使いやすさと効率性から、今後ますます多くの企業や開発者に採用されることが予想されます。

自動化技術の限界と参入障壁

自動化技術がシステム開発業界にもたらす影響は、導入コストやマイグレーションコストにより短期的には開発コストの大幅な削減にはつながらないかもしれません。

しかし、長期的にはコストを大きく下げる可能性があります。特に、コモディティのようなよく見かける一般的なシステム要件においては、GPUによる計算コストそのものが開発コストになり得るため、顕著なコストダウンが達成可能です。このような人の介在がほとんど必要ない領域では、レイオフによる省人化が進むと思います。

しかし、この自動化による容易な参入は、参入障壁をほぼゼロにし、それによって他社との競争優位性を生み出すことが難しくなるという問題もあります。

自動生成されたプロダクトの理解と発展

自社が一瞬で到達可能なレベルのプロダクトには、他社が一瞬で到達可能であるというのが、自動生成されたプロダクトの特徴です。

「めっちゃすぐできた!すごーい!」
「簡単に開発できたわ!スキルなんていらなかった!」

なんて思うこと自体は、自然なことだと思います。しかし、これが商売ができるレベルのプロダクトであるかというと、それはまた別問題というのがわたくしの感想です。

一定レベルのシステムは自動で生成できるようになり、自社がそのようなシステムしか持っていなかった場合、無数の競合が世界中に現れるといった状況になります。このような中で、競争力を保つための新たな戦略とアプローチが求められます。

人の役割

このような状況下での企業の成長には、最低限ふたつのことが要求されるであろうと思っています

ひとつは自動化できる部分は徹底して自動化を推進すべきということ。AIを完全に使いこなしましょう!

もう一つは、役割の探索です。生成AIを含む自動化が苦手とする領域、人がより輝ける領域を探し出すことが必要です。たとえば、人とのつながりを求めてしまう人間の特性を利用してシステム開発のサービス業化というのも、確実に自動化されない領域として真っ先に思いつくことです。

また、クリエイティブな発想が求められるような場面はどうでしょうか? これも仮説でしかありませんが、大量のデータのなかで思考しているからこそ、よくある発想に縛られていたり、オリジナリティが高すぎること・レアケース・未知の状況についてのアウトプット精度が下がる傾向があると思っています(現状の生成AIヘビーユーザーとしての経験則)。

今のところの仮説として人としての役割が求められるのは、突出したなにかの特徴をもった尖った価値あるサービスを思いつき、AIに力を借りながら人間が取捨選択をしながら作り出す、自動生成とヒューマンクリエイティビティの融合です。これを実現できたサービスやプロダクトが競争力をもって伸びていくのではないでしょうか?

プログラミングの意味

結論から言うと、意味がないわけがない。AIによりスキル差が無効になるという言説は夢想です。

システム開発領域における生成AIが吐き出したプログラム自体には、価値がありません。それを人間が読解して、オリジナルな価値をもったサービスとして昇華させて初めて価値を持ちます。まずは読解が必要であり、よりよくアップデートするための創造性が問われます。

これを鍛えるにはどうすれば良いのか。情熱を持ってシステム開発を行う、それが一番良いのではないでしょうか? イシューの把握し、問題を分解し、解決案を見出し、無矛盾なロジックを構成し設計していく。これはどんな脳トレよりも頭を使う。

とくに0➔1プロジェクトのサービス開発の経験がある人は、間違いなく有利です。フィードバックを得ながら、より良い体験を作り出すために想像力を限界まで高める必要があり、脳をフル稼働します。

まとめ:競争力のあるプロダクトを作り出す価値観

前回記事投稿からも、この問題について考え続け、自分はこのような答えに至りました。

エンジニアリングをやめず、考えることをやめない
AIを使いこなし、AIすげぇ論を正しく読みこなす
ユーザー体験性の差異化・オリジナリティ・創造性を重視する

今もプロダクト開発をいろいろな人に支えてもらっており、今年一年、その人たちのためにもめっちゃ頑張っていくつもりです!!(やる気に満ちている〜〜)