見出し画像

藤井風と、祈りの時代 【096/200】

ヤマカワタカヒロです。

今夜も配信ライブを観ました。

藤井風 NAN-NAN SHOW 2020「HELP EVER HURT NEVER」。

本当は、武道館に行きたかった。

けど、自宅で観てよかったのかもしれない。

止められないほど、号泣してしまったから。




なんという偶然だろう。

藤井風という「祈り」のアーティストが、このタイミングで日本に登場してくれた。

僕はYouTubeで注目を集めていくタイミングの彼を知らず、2019年に知人のリコメンドで初めて藤井風というアーティストの存在を知った。

1st Album「HELP EVER HURT NEVER」がリリースされるしばらく前。

流暢な英語に、ナチュラルネイティブな岡山弁。

洗練された圧倒的なピアノと、自由自在に音階を行き来する歌声。

一瞬で惹き込まれた。



上京してからも、都会ではなく、風や土の匂いのする郊外で暮らしてきた。
岡山にルーツを持ち、瀬戸内の自然を愛する企業で、20年働いてきた。

そんな自分にとって、藤井風というアーティストとの出会いは、ある意味必然であり、不思議なほど自然に受け入れられる出来事だった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界の大きな変化。

耳を疑うような悲しいニュースが毎日のように更新されていく。

がんばればがんばるほど、どんどん追い込まれていくような、袋小路。

僕は随分と涙を溜め込んでいたみたいだ。




2020.10.29 19時すぎ。

藤井風 NAN-NAN SHOW 2020「HELP EVER HURT NEVER」の幕が開けた。

1部は、カバー曲を交えたピアノ弾き語り。

心地よいピアノと歌声に、在宅勤務を終えたばかりの喉が渇く。

ビールを流し込みながら、音と声に身を委ねた。

数曲を終え、15分の喚起タイムを経て、バンドメンバーを加えた2部が始まる。

ここからいよいよ「HELP EVER HURT NEVER」の世界に包まれていく。

「何なんw」「もうええわ」まではよかった。

身を委ねて、酔いに任せて音を楽しんでいた。

9曲目の「優しさ」。

「Kindness is not weakness」

そんなメッセージから放たれる圧倒的な優しい音楽。

涙が溢れて止まらなくなった。

止めずにそのまま、嗚咽しながら、泣き続けた。

自分はこんなに涙を溜め込んでいたんだなと、初めて気がついた。


楽になった。

泣くことは、人を楽にする。

自分のライブで泣いてくれるお客さんをよく見る。

とても嬉しい。

僕だって、本当は歌いながら泣きたい。

でも、ステージで歌わないといけないから、泣かない。

誰かの歌が、誰かの涙を洗い流してくれることで、世界は優しさを生産している。

今夜は僕が、その恩恵を受けた。

ライブ中、何度も鼻からのブレスの音が聞こえる。

その音が、生命を感じさせる。

生きよう。

そんな意味に聞こえる。

生きたい。

生きて、一緒に笑って、一緒に泣きたい。



ラストナンバーは、やはり「帰ろう」だった。

憎み合いの果てに何が生まれるの
わたし わたしが先に 忘れよう
あぁ今日からどう生きてこう
「帰ろう」より


本当にそうだよね。

すべて与えて、すべて忘れて、楽になったらいい。

そして、祈りながら、生きていけばいい。

僕らが生きているこの時代は、「祈り」の時代なんじゃないかと思う。

祈ろう。

そうやって、これからを生きてこう。

酔いが冷めないうちに、そんな想いを、涙とともに、世界へこぼしておきます。


夕方5時のチャイムが、僕らを優しく包んでくれますように。

大丈夫だよ、って。



noteを読んでくださりありがとうございます。 歌を聴いてくださる皆様のおかげで、ヤマカワタカヒロは歌い続けることができています。 いつも本当にありがとうございます。