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学習指導要領を相対化する = 学習指導要領に従わなくてよい ??

現職院生には、「学習指導要領を相対化する」ということと「学習指導要領に従わなくてよい」ということとの区別がつくようになってほしい。

先日、どこかの教職大学院に通う現職院生の方の文章をネットで読んだのだが、それは、大学教員から学習指導要領を「相対化して批判的に論じる必要がある」と言われることへの疑問を投げかけるものだった。「現場に戻ると優先されるのは、学習指導要領に沿っていくことなんですよ」と。

うーん、それはそれで分かるけれども、「相対化して批判的に論じる」ことと、「学習指導要領に沿っていく」こととは、別に両立不可能なものではない。

私も、院生に対して、学習指導要領を相対化したり批判的に検討したりすることを求める。けれども、それは別に、現場に戻ったときに学習指導要領を無視してよい、と言いたいのではなく、むしろ期待しているのは、そうやっていったん距離をとってみることによって、現場に戻って学習指導要領に従って実践を行っていく(たいていの場合おそらくはそれが現実的だ)ときにも、違うアプローチや受け止め方ができるようになるかも、ということだ。
これがなぜ、「学習指導要領に沿わなくてよい」的な受け止められ方になり反発を招いてしまうのか。
このズレがどのようにして生じているのかというのは、考えさせられる。

なお、学習指導要領とはどういう位置づけのもので、学習指導要領に「沿う」ことをめぐってどんな問題があるのかについては、雑誌『教育」8月号の拙稿「教育の自由と学習指導要領」に書いた。関心があればご一読を。


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