他人のID

 ネット通販大手の配送を担う神奈川県内の運送会社3社で、個人事業主として契約を結ぶ配達員の労働時間を実際より短く見せかけるため、他人のIDを使って働かせていたことが発覚しました。過重労働につながりかねないとして、配達員らでつくる労働組合が改善を求め、運送会社側が認めたということです。

 通販会社は、配達員の労働時間をアプリを通じて管理しており、週の労働時間の上限を60時間とする基準を独自に定めているのだそうです。週40時間労働として、残業が20時間、4週間で80時間ですから、年間の残業を960時間に制限する2024問題に向けての対応がしっかりとなされているのでしょう。若干オーバーしてしまうのは施行前だからで、これからもう少し厳しくしていくのでしょうね。

 私も通販会社の幹線輸送を実際に行ったことがありますが、初めて行っても仕事ができるようになっており、よく行くドライバーであれば、ドライバー用のアプリも用意されているようで、DXっていうのはこういうものかと思い知らされています。凄いと思う一方で、こうした事象が発生してしまうのはよろしいことではありません。通販会社側はこの件の取材に対して「ドライバーはアマゾンの委託先の配送業者のもとで業務を行っており、弊社の従業員ではない。ドライバーの雇用・契約、稼働管理、支払いは委託先が責任をもって行っている。弊社の基準などを順守していないことが確認された場合は、適切に対処する。」との回答、ちょっと逃げ腰な感じが見えますね。

 これ、ドライバーがどう考えているのかというところも考慮してほしいところですね。時間外まで仕事をして稼ぎたいというドライバーも世の中にはたくさんいて、いたずらに時間で仕事を切り上げて、ドライバーの収入が下がってしまうというところも考慮してあげないと、合意でこうした事態が横行してしまいます。もちろん、こんなことがあってはいけませんが、やらざるを得ないのはやっぱり単価が厳しいからではないかと思います。だから、単価を上げてくれと安直に行くつもりもなくて、こんな行為を行う前に、経費削減の努力を益々しなければならないところでしょうが、軽貨物の経費削減なんて言うのはどこをどうすればよいやら、私自身もどれだけできるのかと言われれば未知数です。ただ、同業界でこんなことが行われてしまうのは残念至極、どうしても目の前の荷物を配達することが大命題となりますから、対症療法的にこうしたことが行われてしまうのかもしれませんが、経営者としてそれは許されませんから、短期的な目線と長期的な目線を合わせて持っていないといけませんん。

 いずれにしても2024年は来てしまいますから、弊社も落としどころをしっかりと探していかなければなりません。

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