解散命令

 河野太郎消費者相がテレビ番組で、霊感商法の被害対策について「(宗教団体の)解散命令まで消費者庁が関わったり、解散命令まで踏み込めと文部科学省に働きかけたりすることになるかもしれない」と発言したそうです。

らしい発言という感じですが、「解散命令」というのはどうなんでしょう。人の弱みに付け込む霊感商法は大変な問題ではありますが、統一教会すべてがそうなのか、他の宗教団体とどう違うのか、いろいろと前提としなければいけないことがたくさんある中で、悪いことしたから解散させてしまえというのはあまりにも極端な気がします。邪推かもしれませんが、マスコミの統一教会叩きに乗っかって国民の支持を得ようとしているように見えてしまいます。

なんてことを思ったのですが、「信教の自由」を侵害するからというつもりもありません。自由というのは憲法十二条に「この憲法が国民に保証する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」とありますから、信教によって不当に信者から搾取し、生活を破綻さるようなことがあっては、自由は保障されないでしょう。ただ、普通に信仰している方もいらっしゃるのでしょうから、そうした方の信仰の自由を侵してはいけないということなのかもしれません。

知らないことが多いので、書いていて疑問がどんどん出てきてしまいますが、オウム真理教は解散命令を出されたものの、先述した「普通に信仰している信者」、つまり破壊活動に関わらなかった信者もいるのかどうかと調べてみると、地下鉄サリン事件前に11400人と言われた信者が、事件後1000人に減っているので、普通の信者がいらっしゃったということでしょう。そのオウム真理教は地下鉄サリン事件後に、検察と東京都知事から宗教法人法81条1項に基づく解散命令を出されています。これに対して、オウム真理教は「信教の自由を侵害している」として抗告しています。「抗告」がわからないのですが、行政庁の公権力行使に対して不服を申し立てる訴訟のことを抗告訴訟というのだそうです。そういえば身近に抗告した方がいたような、、、それはいいとして、その抗告をして見事に棄却されているのですが、その理由の中に「解散命令によって宗教法人が解散しても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させ、あるいはこれを新たに結成することを妨げられなるわけではなく、また、宗教上の行為を行い、その用に供する施設や物品を新たに整えることが妨げられるわけでもない。」とありました。ですから、「普通に信仰している人はどうなるの?」という私の疑問の答えがこれなのでしょう。

また、宗教法人法81条第一項には「裁判所は、宗教法人についての左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。」とあり第一号には「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」とありますから、オウム真理教はもとより統一教会も解散命令を出されても仕方がなさそうです。河野大臣、ごめんなさい。

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