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理転したらクソしんどいけどめっちゃ楽しいって話(前編)

はじめまして。
東京大学工学部計数工学科2年生の長谷川貴大です。
大学入学後に理転してみて、実際どーなのよってところを、振り返っていきます。
前編では理転した理由、後編では理転後の生活について、ご紹介したいと思います。
後編はこちら:https://note.mu/takahiro_hase/n/n54517653e13a

東京大学文科2類から工学部計数工学科に内定しました。
東京大学には進学選択があり、後期の専門課程で在籍する学部・学科を学部2年の夏に選択します。
とはいえ、おおまかな進学先は入学時に示されており、
私の所属する文科2類からは経済学部に進学する学生が多いです。
そこから工学部へ進学した理由は、
「大学・勉強環境への不満」「興味の追究と自己成長」に集約されます。

①大学・勉強環境への不満

大学は学生にもっと負荷をかけるべきです。
でないと、図に乗った学生が蔓延します。
その中で真剣に学問するのは、正直しんどいです。

大学は学問をするところだと私は思っているのですが、
そう思わない人もそれなりにいるみたいです。学生にも社会にも。
とはいえ、嫌々言いながらもしっかり学問しているのであればいいと思います。
しかし、実際のところほとんど勉強しなくても、試験をクリアできてしまうことが多いです。
机に向かう勉強だけでなく、大学の外で自主的に学びを深めてほしい、それこそが社会で役立つ力だ、ということでしょうか?
にしても、大学は学生に対して甘すぎると思います。

自律的に学びを深めていく学生もいますが、
とことんラクをして卒業しようという学生も現れます。
私の周りには、前者より後者の方が多かったという印象があります。
そういう学生の存在を否定することはできませんが、
学歴欲しさに、東大ブランドを得るためだけに、東大に来たと豪語することそれ自体が、そのブランドを傷つけているのはないでしょうか?
大学が社会的に評価されているのは、世代を超えて学生を教育し、研究者を輩出して、社会に貢献してきたからであり、その上で胡坐をかく行為は許されるのでしょうか?

そのような人がマジョリティとなってしまったとしても、
マジョリティであれば正当であるという雰囲気は否定されるべきです。
大学において、学問への意欲の多様性は不要だと思います。
勉強せずに単位取れたぜと笑って豪語することができる雰囲気の中で、地道に学問をするのは、正直しんどい。
ただ、その責を学生に押し付けることはできません。
むしろ苦労させられているのは学生の方だと思います。
大学では座学とペーパーテストばかりで、企業は学業を重視しない。
その中で、自らの価値と独自性を主張しなければならない学生は、
本業をなおざりにしてでも、インターンや学生団体などの活動をしなければなりません。
しかし、そのしんどい中でも孤独に学問に没頭している人もいて、その意志の強さに敬服します。でも私には無理でした。
大学が学生に与える負荷が大きく、学問を目的に大学に在籍している学生が多い環境で、自分の限界に挑戦したい。
その思いが工学部計数工学科に進学した理由のひとつです。

周囲の学生だけでなく、講義にも疑問を感じでいます。
一部の講義は、教科書の記述をなぞるだけのものであり、
人文・社会科学系の講義であれば、知識として習得することが多いため、
講義に出席する意義が見出せませんでした。
講義の時間に図書館で教科書を読み進め、
理解できない点をとことん調べた方が、身につくことは多いはずです。
知識を得るだけではなく、試行錯誤しながら問題を解いたり、関連書籍を紐解いたりすることは、教室に座って話を聞いているだけではできません。

せっかく大学で学んでいるのだから、限界に挑戦して、学問の世界で功績を残したい。
もちろん、自分の興味とキャリアを考慮した選択ですが、
東京大学が世代を超えて評価される教育機関・研究機関であり続けるために、少しでも貢献したい。
学費を払ってくれる両親に恩返しがしたい。
多額の税金を投じられた環境で学べることに感謝し、その中で社会に貢献できる研究をしたい。
このような思いから、計数工学科への進学を決意しました。

②興味の追究と自己成長

私が最初から理系に進まなかったのは、算数が苦手だったから。
経済系に進学したのは、稼ぎがよさそうだったから。
お勉強はもともと好きでしたが、自分の興味を追究しようというよりは、将来のリスクヘッジでしかありませんでした。
しかし、他者から与えられるものを淡々とこなしていく力だけが伸びていくことに危機感を覚えました。
クリエイティブな発想で他者を巻き込んでいくことが求められる社会の流れと逆行しているように思えたからです。

主体的に独創性を発揮するには、研究したいという興味が不可欠です。
自分の好きなことはコンピューターと数学でした。
他にも、経済学や世界史や法や政治も興味がありますが、それは研究興味いうより、お勉強したい・教養として身につけたいという意欲です。
哲学や心理学への興味も、自己を内省し、豊かに善く生きたいという内にある欲求です。
大学で何を研究するか。どのように主体的に独創性を発揮するか。
自らの手で価値を作り出せる領域はどこか。
私の答えはコンピュータサイエンスでした。

その中でも、少し学んだことのあったmachine learningや、もともとの進学先と関連した金融工学を研究できる計数工学科を選びました。
正直、理学部情報科学科が最も興味と一致していたのですが、
文系からだと(実質)進学不可能でした。
工学部の中にも、電子情報工学科やシステム創成学科など、親和性の高い学科が複数あります。
電子情報工学科は、電気系であり、ソフトウェアというよりハードウェアを重視している印象があり、応用数学からソフトウェアを攻めたい私の興味と少しずれているように感じました。
システム創成学科は、講義の負担が軽く、前節の私の条件に合いませんでした。
そして、最終的には計数工学科を選択しました。

優秀な学生と肩を並べて切磋琢磨できる環境と、
全く新しい学問領域を覗く新鮮さと、
自分の興味に向かって突き進む気概とが合わさって、
自由時間や健康を犠牲にして、全力で取り組みたいと思えました。
この覚悟は、経済学部に進学していたら、絶対にできなかったと思います。

実際に4ヶ月経ってみても、
受験生の頃とも比較にならないくらい成長することができました。

後編では、学科と私の生活についてご紹介しています。
ぜひご覧ください。
https://note.mu/takahiro_hase/n/n54517653e13a

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