あの仔犬が確かに生きていた証この瘡蓋は治らなくていい/霏々

2022年4月13日(水)のうたの日19時部屋の題「蓋」の短歌。

仔犬はあの世へ行ってしまったから、「あの」という連体詞がついている。亡骸も目の前にはもうない。

「確かに生きていた証」として作中主体の「瘡蓋(かさぶた)」がある。作中主体の「瘡蓋(かさぶた)」であるから、「この」という連体詞がついている。かさぶたができているから、ケガをしてからある程度日数が経過しているのだが、傷が治ると自然と取れてしまうかさぶたが残ったままであってほしいと思っている。

噛み付いたのか、引っ掻いたのかわからないが、確かに仔犬と遊んでいた証としてのかさぶたに在りし日の仔犬との思い出を重ねている。

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