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夏風にライラック薫る美瑛町君の面影優しく揺れる/夢ナポリ

2022年5月15日(日)のうたの日17時部屋の題「ライラック」の短歌。

ライラックは、北海道の初夏の花。ライラックが咲く頃に、オホーツク海高気圧の影響で寒さが戻ってくることがあるという。それを踏まえると、この歌の「夏風」は暑い中吹く風というわけではない。しかし、風薫る五月、ライラックの香りが漂うのだろう。

北海道上川郡美瑛町は、大雪山国立公園十勝岳連峰の裾野から、なだらかに丘が広がる美しい自然景観が魅力となっている町。この町の五月は、最高気温が十七度程度、最低気温が四度程度なので、ジャケットやセーターが必要で、コートも必要な日もあるそうだ。

美瑛町は、作中主体のふるさとだろうか、それとも作中主体が旅行で訪れた場所だろうか。

「君」は、作中主体の友人か恋人か、はたまた家族などか。「君の面影」を偲びながら、美瑛町でライラックを愛でている作中主体。ライラックが夏風に揺れていて、「君の面影」も揺れているのだろう。「君の面影」は、はっきりしたものではないが、ライラックが香るようにほのかに思い出される。そのさまを「優しく揺れる」と表現したのだろう。「美瑛」という漢字が美しい石を思わせるもので、「君の面影」のうるわしさにも通じているのだろう。

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