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インプットする力をつける前に

 漠然とした自分の考えに形を与えるために、noteに書き残すことをしているのだが、このアウトプットの前段階としてインプットがある。現在は「noteに書き残すこと」を自分に義務付けているわけではないため、何かネタが思いついたときにnoteを書く程度である。しかし「毎日noteを書くこと」なんてものを自分に義務づけると、おそらくインプットの量が大事になってくる。

 大した人生経験があるわけではないため、自分の経験から掘り出すことができるネタの数には限りがある。あるいは、売れないアイドルよろしく「生活の切り売り」をしたところで、私の私生活が暴かれることを待ち望む人などいるはずもない(いたら教えて下さい)。結局、日々の生活の中から、noteのネタを探し出して、自分の中にインプットして、そこからアウトプットする作業をするしかない。

 新聞を読めと言う人は多い。そのことは間違いではない一方で、新聞を真面目に読むと毎日30分から45分は時間をとられてしまう。そして、新聞を読むことの最大の問題点は「その日読んだ情報は、次の日には陳腐化している」という点である。毎日毎日30分かけて情報を取得したとしても、その情報は翌日には陳腐化する。たしかに、記事の切り抜きのように、情報の変化を追うことで見えてくることもあるが、それはそれは大変な労力がかかる。

 陳腐化しない情報を選ぶ1つの方法は、時間の審判を受けた情報を選ぶこと、具体的には古典を選ぶということである。過去に書かれたものでありながら、今なお評価されている情報は、将来的にも価値が継続する可能性が高い。そのような情報は、インプットするのが大変である一方で、一度インプットすると長期に渡り自分を考え方を支えてくれる。

 もう1つが、優れたキュレーター(情報を収集し、整理する人)を見つけることである。インターネットが発展した現代において、情報の総量は爆発的に増加している。良質な情報が増えている一方で、悪質な情報も増えている。情報の総体から自分にとって必要な情報を切り分けるリテラシーがあればよいが、それはそれで大変な労力がかかる。というわけで、自分にとって有用な情報を収集し整理するキュレーターを見つけ、その人にお金を払って、自分に必要な情報をキュレーションしてもらうことは、コスパのよい方法となる。こちらは、古典を読むこととは異なり、情報の鮮度も確保されている。

 先日、森美術館で行っている「STARS展:現代美術のスターたちーー日本から世界へ」を見てきた。その中で、1950年代から今日にかけて、世界で、日本の現代美術がどのように受容されてきたのかを、各年に行われたJapanをテーマにした世界の美術館の企画展の変遷を追うことによって明らかにしようとしたコーナーがあった。美術の素養がない私は、作品よりもキャプションやこういったコーナーを眺める時間が長くなるのだが、そこで気がついたことが、企画展の記録には必ずキュレーターの名前が記されていることだ。何年に、何という美術館で、何をテーマに、誰が出作して……、といった情報とともにキュレーターの名前が刻まれている。当たり前といえば当たり前なのだが、今までまったく意識したことがなかった。作品は作者の意図によって作られているのだが、作者はキュレーターの意図によって選ばれているのである。

 なお、STARS展は、奈良美智さんのコーナーが最高にキュートなので、まだ行っていない人は是非。年末までのようです。

 また、今日の「まちの本屋さん」の生き残り戦略としても、本のキュレーションが存在している。取り扱う本の総量ではネット通販には敵わない。このとき「まちの本屋さん」がどこで戦うかと言えば「面白い本を用意する(面白くない本は用意しない)」というキュレーションである。これが成功すれば、人々は「あそこに置いてある本ならば面白いはずだ!」となり、ネットではなくその本屋さんで本を求めるようになる。

 考えてみれば新聞だって、情報の取捨選択により紙面が構成されている。この点、新聞社のキュレーション能力に信頼を置く人ならば、新聞を買ってもよいのかもしれない。しかし、複数の新聞社の紙面を比べることが容易になった今日において、1つの新聞社に肩入れする必要はない。情報収集能力に優れた人に複数の新聞を読んでもらって「今日は○○新聞の☓☓という記事が面白かったので読んでみてくださいね」と言われれば、そこだけ読むことが可能となっている。

 あとは、そういったサービスを展開している複数の会社や個人から、自分にとって最も有益となる情報を提供してくれそうな者を選んで、送られてくる情報をインプットしていけば、現代を生き抜く情報武装としては、まずまずのものとなる。ただ、無料のサービスを頼りにするのは辞めた方がいいとは思う。

 オチがないけど、長くなってしまったのでここまで。 

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