見出し画像

リフォームで光熱費を減らそう!

※3話分まとめたので長いです。適宜、目次からジャンプしてお読みくださいね。

今月の電気代の明細を見て、高くて驚きました…。(>_<)
燃料費調整額」というのが跳ね上がっているようです。輸入に頼る燃料の価格上昇が止まりませんね。。

電気代に限らず、すべてのコストが値上がりを続けています。
資源の少ないこの国で安定した生活を送るには、限られたエネルギーを有効活用する姿勢が欠かせません。
ぜひ本質的・恒久的に家計を改善していきましょう。

というわけで今回は、
毎月の光熱費を減らすために、リフォームで何ができるか?
を考えていきたいと思います。

光熱費の内訳とは


光熱費を下げるために効果的なのは、
費用の大きなところから圧縮することです。

ではまず、毎月いったい何にお金を払っているのか?
から見ていきましょう。

電気とガスを合わせた光熱費全体の内訳は…(東京都例)

上記より順位の高いところから対策を考えると、

① 給湯用エネルギー削減
 →燃費の良い給湯器に交換する

② 暖房エネルギー削減
 →家の熱損失を減らす(断熱性能を上げる)
 →燃費の良い暖房機器に交換する

③ 厨房用エネルギー削減
 →燃費の良い調理機器を利用する

それから、36%を占める「その他動力」も気になりますね。
これは主に電化製品等の消費電力のことです。
では、家庭における消費電力の内訳も見てみましょう。

エアコンは冷暖房に含まれるとして、
冷蔵庫・照明・テレビが大きなウエイトを占めていますね。

家電製品はそれぞれの買い替え時に検討するとして、

④住宅設備機器類の省エネ化
→リフォームによって省エネ機器に交換する

このあたりを見直せば、家全体の光熱費を下げられそうです。

使う光熱費を減らそう

光熱費の使い道がわかったところで、
それぞれを減らす方法を具体的に考えていきましょう。

① 給湯用エネルギー削減

まずは一番大きな、給湯用エネルギーの削減方法を考えます。
給湯器は主に下記の3タイプが流通しています。

 1. エコキュート(電気によるヒートポンプ方式)
 2. ガス・灯油などの燃焼系給湯器(最も一般的)
 3. 電気温水器(電気ヒーター式)※昔のマンションなどで導入

結論からいえば、上記の中で最も効率が良いのは1.エコキュートです。
エアコンと同じヒートポンプ方式で熱を回収するため、燃焼のように絶対的な熱量の上限がなく、ヒートポンプ方式の熱回収効率は技術革新によって日々向上しています。

というわけで、給湯器の省エネ化の手順は、
Ⅰ. まずはエコキュートへの交換を検討
Ⅱ. できなければ燃焼系給湯器の高効率タイプの設置を検討
となります。

Ⅰ. エコキュートへ交換

エコキュートに使われているヒートポンプ方式とは、内部のキンキンに冷えた冷媒を外気温によって温め、その熱を回収してお湯つくるシステムです。

設置には、ヒートポンプユニット(エアコンの室外機のようなもの)と、お湯を貯めるタンクの2台分のスペースが必要になります。
このスペースが確保できるかどうかが、設置の可否のカギとなります。


ちなみにエコキュートに似た「電気温水器」というものがあります。

電気温水器は、タンク内部の電気ヒーターで直接お湯を温めます。電気で熱を発生させるヒーターは、燃料を直接燃焼させるより熱効率が落ちるため、お湯をつくる方法としては最も効率の悪い沸かし方といえます。

しかし燃焼系給湯器に変えるには排気ガスの排出経路を確保しなければならず、エコキュートに変えるにはヒートポンプユニットの設置スペースが必要になります。それらを確保できない場合は、再び電気温水器に交換するしか選択肢がなくなってしまいます。

マンションに電気温水器が設置されていて、エコキュートやガス給湯器に変更したいという場合は、管理組合でマンション全体の問題として話し合い、専門業者に設置の可否を検討してもらえば、道は開けるかもしれません。

Ⅱ. 高効率タイプの燃焼系給湯器に交換

ガスや灯油を燃焼させてお湯を沸かす一般的な給湯器は、燃焼した熱の80%ほどを利用し、200℃近い排ガスを捨てています

その排ガスから更に熱を回収して95%程度まで効率を高め、排ガス温度を50~60℃まで下げたものが、高効率給湯器です。ガスなら「エコジョーズ」、灯油なら「エコフィール」などと呼ばれています。

現在お使いのものが燃焼式給湯器であれば、交換の際に上記の高効率タイプを指定すればOKです。
問題点としては、①商品代金が一般品より高いこと、②ドレン水が生じるため、排水工事代がかかる、という2点が挙げられます。

上記の初期コスト増の問題は、使用状況にもよりますが、毎月の光熱費が下がる分で7~8年で回収できるとも言われています。
給湯器の寿命は一般的に10~15年と言われていますが、20年以上使われている方も珍しくはありません。ぜひ長い目で見てオトクな商品選びをしていただけたらと思います。


給湯エネルギーの次は、光熱費の第2位を占める「暖房用エネルギー」の削減について考えていこうと思います。

② 暖房エネルギー削減

暖房に必要な光熱費は温暖・寒冷などの地域差はありますが、夏の冷房よりもはるかに大きなエネルギーを使っています。

冷暖房の燃費は、家の断熱・気密性能によっても大きく左右されます。

断熱性能が低いと、いくら効率の良い暖房器具で温めても、外気温によってどんどん冷やされてしまいます。
気密性能が低い(隙間が多い)と、暖めた空気は外に逃げやすく、冷たい空気がどんどん室内に流入してしまいます。

というわけで、冷暖房費の削減には、まず第一に断熱・気密性能をどう向上させるか?を考えることが欠かせません。

 Ⅰ. 断熱・気密性能を向上させる

断熱性能は新築時に決まるとても大事な家の性能ですが、では断熱性能の低い中古住宅は諦めるしかないのか?というと、リフォームで性能を引き上げる方法もあります。

出典:住宅省エネルギー技術講習基本テキスト
(企画・発行 一般社団法人 木を活かす建築推進協議会)

上記は、平成4年の省エネ基準レベルの家で、どの部位からどのくらい熱が逃げているのか?を示した図です。
なんと、開口部(窓)から逃げる熱の割合が約半分!😨

もしご自宅の窓が1枚ガラスのアルミ製サッシだったら、まさに上図の状態です。さっそく窓の断熱化を考えましょう。

 1. 窓の断熱リフォーム

窓の断熱化するリフォームには、大きく分けて3つの方法があります。

 ① 内窓を設置する
 ② 断熱性の高いガラスに交換する
 ③ 断熱性の高いサッシに丸ごと交換する

最も費用対効果が高い方法は、① 内窓を設置する です。
既存の撤去がなく、内側に追加するだけというエコ&手軽さで、サッシからの隙間風を減らす効果もあります。

昨今はCO2削減目標達成のため政府もエコリフォームに力を入れており、窓の断熱工事には補助金が下りる場合が多くあります。補助金には締め切りなど条件がありますので、ぜひタイミングを合わせてお得にリフォームしてくださいね。

窓の断熱は下記でも書いてますので、ぜひご参考にしていただければ。


 2. 床下・天井裏の断熱リフォーム

窓の次に熱が逃げる割合が多いのは19%の外壁ですが、外壁の断熱材は壁の中にあるため、これをリフォームするには少し大掛かりな工事が必要になります。

工事の費用対効果を考えるなら、割合としては小さめですが、10%の床下、6%の屋根は、断熱リフォームを比較的行いやすい部位です。

木造住宅の床下には通常、配管されている水道管などのメンテナンスや、定期的な防蟻工事などを行えるように、隅々まで這って歩けるほどの床下空間があります。

この床下空間を利用して、床の裏側から断熱材を張り付けるというリフォームを行うことができます。

また、天井裏と屋根の間にも三角形の「小屋裏空間」があり、ここから天井裏へに断熱材を張る(吹き付ける)というリフォームを行うことができます。

旭ファイバーグラスHPより引用「アクリアUボードピンレス」(床下断熱)
旭ファイバーグラスHPより引用「アクリアニューブロー 」(天井裏断熱)


なお、床下・天井裏の断熱工事を工事を行う際のポイントは、「気流止めも同時に行う」ことです。

気流止めにより、壁内に流れる外気をシャットアウトする

上図は昔の一般的な在来木造の家の断面ですが、左図のように、壁の中を床下から天井裏まで外気が通り抜ける構造になっています。この状態では、壁に断熱材が入っていても効果は低減してしまいます。

床下及び天井裏の断熱工事をする際には、この壁に通じる隙間をふさぐ「気流止め」を施工することで、壁面の断熱効果も高めることができるのです。

これらの断熱リフォームを行うことで、家全体の断熱性能を引き上げ、隙間を減らす効果も期待できます。

 Ⅱ. 燃費の良い暖房機器を選ぶ

さて、家の断熱性能を改善したら、次はできるだけ燃費の良い暖房機器を選びたいですね。

 1. 効率で選ぶならエアコン

前回、「給湯器の熱効率はエコキュートが一番」といいましたが、同じくヒートポンプシステムで稼働するエアコンは、やはり暖房機器としても熱効率は一番です。

気をつける点としては、

 ◎熱効率の改善は目覚ましいため、古いものを使い続けるより買い替えた方がお得な場合もある
 ◎断熱・気密性能が低い家だと、暖めた空気が逃げやすく、天井付近と足元の温度差が大きくなりやすい
 ◎寒冷地では熱効率が悪く、暖まりにくくなる場合がある

上記の特性をふまえると、関東以南の断熱・気密性能の良い家では、エアコンの性能をフルに発揮できると言えそうです。

では、断熱・気密性能の低い家ではどうしたらいいでしょうか。

 2. 快適性なら床暖房もおすすめ

「床暖房にしたい」というご要望をよく伺います。
エアコンのような風もなく、足元からポカポカと暖かいのは、とても心地いいですよね。

床暖房は床下に設置した温水やヒーターなどで床材を暖め、直接足に触れたり床面から放出される輻射熱によって暖かさを感じます。暖めた空気を対流させるエアコンとは、暖かさの質が違うんですね。

床暖房は空気を暖めるシステムではないため、気密性が低くても天井と足元の温度差などは生じにくく、吹抜けなど天井の高い部屋でも快適でも快適に使用することができます。

燃費や初期費用としてはエアコンより割高にはなりますが、エコキュートの温水を使った高効率の床暖房システムもありますので、検討の余地はありそうです。

パナソニックHPより

また、床下に熱を逃がさないよう、設置の際には床下への断熱材補強工事は忘れずに行いましょう。


さて、給湯・冷暖房に続いて、最後は設備機器類の消費エネルギーを見直してみましょう。

③ 設備機器類のエネルギー削減

まず、光熱費を使用する住宅の設備機器は
 ・風呂(水道・電気・ガス)
 ・トイレ(水道・電気)
 ・洗面化粧台(水道)
 ・食洗機(水道・電気)
 ・コンロ(ガス/電気)
 ・照明器具(電気)
などがあります。

風呂・トイレ・洗面化粧台については過去記事で書いてました。光熱費をぐーんと節約できますので、ぜひご参照ください!

では今回は食洗機、コンロ、照明器具について考えてみようと思います。

・食洗機

食洗機といえば、家事時短には欠かせない設備として人気がありますが、その省エネ性能にもぜひ注目したいところです。

手洗いよりもランニングコストは遥かに少なく、しかも高温洗浄により手洗いよりも清潔

しかし、
「欲しいのは山々だけど、うちのキッチンには無理かも…」
と諦めている方もいらっしゃるかもしれません。

では、食洗機を導入するための方法を考えてみましょう。

まず食洗機は大きく分けて2種類、ビルトイン(システムキッチンの内部に組み込む)と据え置き型(シンクの近くに置く)があります。

 ビルトイン食洗機

キッチンを丸ごと交換する場合は、キッチンプランのオプションで食洗機を選択すればOKです。

しかし問題は、キッチンは交換したくないけど食洗機はビルトインにしたいという場合です。

上記のような食洗機を、今のキッチンに組み込むことが可能です。

設置条件は、
幅45cmの収納部分があること
・近くにシンクの給排水があること
電源を引けること
などがあります。

案外ハードルは低く、既存のキッチンに設置できる可能性は高いです。
気になる方は、ぜひプロに相談してみてくださいね。

 据え置き型食洗機

とはいえ賃貸などでビルトインの工事が難しい場合は、置き型を選ぶしかないですよね。

置き型も最近はバリエーションが豊富になっています。
以前は水栓の分岐など、置き型でも工事が必要な場合もありましたが、今は完全に工事フリーな商品もあります。

使用水量が少ないという食洗機のメリットを活かし、1回分の使用水量(上記商品なら6リットル)を毎回タンクに給水して使用するというものです。

サイズもいろいろで、一人暮らし用のコンパクトなものもあります。
ぜひライフスタイルや、キッチンの広さにあわせて選びたいですね。

・コンロ

コンロといえば「ガスとIH、どちらがいいですか?」と昔は必ず聞かれたものですが、最近はIHもかなり普及してきたので、質問されることもなくなりました…。

IHは火を使わないので安心、天板をサッと拭くだけでお掃除簡単などメリットが多いですが、ガスも安全センサーやガラストップなどで、IHに負けじと頑張っています。

光熱費という面で見ると、熱効率を改善したIHに軍配をあげたいところですが、実際はガスの方が安い(都市ガスなら半額程度)のようです。

しかし太陽光発電などにより発電コストを抑えられれば、IHが有利になる場合もありえます。

コンロとはちょっと違いますが、加熱エネルギーを大幅に節約できる保温調理器具を一つご紹介したいと思います。

グラグラに沸騰させた鍋をそのまま保温器に入れ、あとは待つだけでじっくり煮込み料理が出来上がり!

これさえあれば、ただ沸点を保つために弱火でコトコト煮るという燃料の無駄遣いを無くせます

国内メーカーの商品をご紹介したかったのですが、圧倒的知名度でシャトルシェフのご案内になってしまいました。頑張れ、国産!

・照明器具

では最後は照明器具の省エネを考えましょう。

照明器具といえば消費電力の少ないLEDの登場から久しいですが、ご自宅の照明はすべてLEDに交換されましたでしょうか?

電球タイプの照明器具なら、電球をLEDに変えるだけで手軽に交換できます。最近は蛍光管型のLEDもあり、さらに手軽になりました。

直管、丸形など、各種サイズに対応するものがあります。

白熱灯からLEDに変えれば電気代は1/6程度と大幅に下がりますが、蛍光灯からLEDに変えても、3~4割は下がります。

ぜひまだご使用中の蛍光灯がありましたら、対応する蛍光管型LEDを探してみてくださいね。


さて、消費エネルギーを減らす機器類を駆け足で見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか。これらの記事の中に、何か一つでも新しい発見があったなら嬉しく思います。(^^)
ぜひ省エネで、地球にもお財布にも優しいエコライフを始めたいですね。

よろしければサポートいただけたら嬉しいです!m(_ _)m いただいたサポートは、情報発信のための活動資金として有効に活用させていただきます!(^^)