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安倍元首相が注目した産婦人科医院長の警告





●久保田史郎「発達障害は先天性(遺伝)ではない」―自閉症の潜在的な要因

平成27年3月12日に自民党本部で開催された障害児者調査会の第1回「発達障害についての有識者ヒアリング」において、安倍首相から依頼されて「日本が抱える問題点一産科医の立場から、日本の将来について考える」というテーマで講演した久保田産婦人科麻酔科の久保田史郎医院長は、「発達障害は先天性(遺伝)ではない」として、次のように主張している。


1.発達障害は、1993年・2007年の母乳育児推進運動(完全母乳・カンガルーケア)の導入後に驚異的に増加している

2.発達障害は政令都市間で発症率に違いがある

3.分娩施設間でも違いがある

4.出生からの体重減少が著しい「飢餓」の赤ちゃんに多い

5.重症黄疸の治療(光線療法)をした児童に増加していた

6.発達障害は肥満妊婦から生まれた児・双子・帝王切開・裕福な家庭に生まれた児に多い(高インスリンが関与)

7.医療的ケア児はカンガルーケアを行う分娩施設に集中していた原因は出生直後の寒冷刺激に伴う肺高血圧症(低酸素血症)


ちなみに、発達障害は低出生体重児(2500g以下)には増加しておらず、乳母制度(もらい乳)があるモンゴルでは発達障害は増えていない。

※乳母(にゅうぼ)とは、母親に代わって乳児に乳を飲ませたり、養育する女性を指す。



●自閉症の潜在的な要因に”肥満”が加わった

米医学誌「ペディアトリクス」に掲載され、ウォールストリート・ジャーナル(2012年4月10日付)にも掲載された米UCLAデース校とバンダービルト大学の研究チームの研究結果によれば、肥満の母親からは自閉症やその他の発育異常と診断される子供が生まれる可能性が、そうでない母親と比較してかなり高いことが分かった。

肥満でない母親と比較すると、妊娠前に肥満だった母親から自閉症児が生まれる確率は60%高く、その他の認知・行動面での発達遅延が見られる子供が生まれる確率は2倍であった。

分析の際に、妊娠前または妊娠中に高血圧症ないし糖尿病と診断されていた母親を加えると、リスクの差は一層際立った。

同研究チームは、肥満がその他の発達障害の一般的なリスク要因であることを研究結果が示唆していると指摘した。

母親の体重ないし代謝障害が、どのように自閉症やその他の発達障害に作用するのかについては不明であるが、ヘルツピッキオ博士は一つの可能性として、インスリン抵抗性(インスリンの効力を規定する個人の特性)の関与を挙げている。

自閉症の潜在的な要因は増えており、それに肥満という要因が加わった。

米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のMengying Liらの研究グループが同誌2016年2月号で公表した報告によれば、アメリカでは妊婦の肥満や糖尿病が増えている。

自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクをその他の発達障害‘(DD)とともに、母親の妊娠前肥満と糖尿病の影響で個別にまたは組み合わせて調べた研究はない。

このグループの研究は、1998年から2014年までにボストン医療センターで生後1回以上受診し調査を完了したボストンBirth Cohortの小児のサブセットの2734例で行った。

ASD児やその他の発達障害の診断は、電子カルテに記載されている医師の診断に基づいた。

ASDやその他の発達障害のリスクを母親の妊娠前の肥満と妊娠前糖尿病を個別に見ると、ASDのリスクがそれぞれが関連した。


それらを組み合わせて調べてみると、肥満と妊娠前糖尿病がある母親では子供のASDのリスクが有意に増加していた。

他の発達障害のない知的障害は、肥満と妊娠前糖尿病の組み合わせに関連するリスク増加に似たパターンを示した。このリスクのパターンのほとんどをASDと知的障害を併せ持つ症例が占めた。

母親の妊娠前の肥満と、妊娠前糖尿病の両方の存在がASDと知的障害のリスク増加と関連した。




●久保田史郎の少子化論

温暖な低開発国では少子化が進んでいないのはなぜか?

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①歴史教育、②家庭教育、③道徳教育、④日本的Well-Being教育の観点から、研究の最新情報や、課…

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