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陰翳礼讃

蝋燭を灯していただく椀の一席。

学生時代に読みましてむむ〜となった谷崎先生の随筆でございます。

キラキラピカピカした現代の世では、失われつつある陰翳の世界(寂しいもんだぜ)。

ただのヘンタイ小説を書くおっちゃんじゃなかったんだなぁ。

今宵も、文明の利器に頼らず蝋燭(仏壇用ですが)を灯しております。

ゆらりゆらりと儚げな火だけがたより。

椀にしっとり盛り付けました一品を肴に、しっぽり陰翳を楽しむことにいたしましょう。

さて、「人参」「お出汁」「醤油」「水溶き片栗粉」「生姜」をご用意くださいまし。

材料

人参 お好きな量
お出汁  人参が浸るくらい
醤油 ちょろり
生姜すりおろし ちょろり

水溶き片栗粉(水+片栗粉=同量) とろみがつくくらい(ちょっとで大丈夫)


作り方

1、お出汁をひきましょう
今回は、あま〜い人参が手にはいったので、どのお出汁を合わせるのがいいのかしら?と悩みました。生命力が強そうな人参だったので、椎茸を少しいれたお出汁にて炊くことにしましょう。

2、味つけはちょいかしら?
人参は、油でカラッと揚げますゆえ、力強さを増す気がします。
そんな強さに負けないように、気持ち濃いめにお出汁に味をつけましょう。

3、切り方の妄想
盛り付けをイメージしましょう。
器はどんながいいかしら?輪切りよりも大きい方が食べ応えがあっていいかしら?なんてことを妄想しつつ切っていきます。

4、片栗粉をまぶしましょう画像1

お料理界でも、薄化粧がトレンドでございます。
片栗粉のおしろいを、パタパタと軽くはたきましょう。


5、揚げる時は過保護にならない
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中火にて、じっくりゆっくり火を通していきましょう。
揚げている時は、この子たちをビリーブ。あまり触らず、かといって放置しすぎもやさぐれちゃうので、ちょうどいい頃合いでひっくり返して揚げていきましょう。

6、お出汁の中へダイブ画像3

綺麗に上がった人参たちを、お出汁の中へダイブ。
キラキラ油と鮮やかな人参が美しいっ!

7、とろみをつけよう 画像4

一度火を止め、溶いておいた水溶き片栗粉を溶かします。
以前お話ししましたが、こればかりは経験がものをいう。
想像力と経験を生かしてとろみをつけてゆきましょう。

8、あなたの存在画像5

ちょいと摺り下ろしてのせるだけ。さりげないけど、あなたを感じる。さらには人参もひきたててくれるなんて、、、。
あなたの存在に乾杯。

以上。


今日のツボ
・なんのお出汁をつかうかは、人参と相談
・味つけは「ちょい濃いわぁ〜」
・盛りつけの図を妄想する
・片栗粉のナチュラルメイク
・揚げる時は過保護にならない
・じっくりゆっくり甘みを引き出す
・とろみは経験がものをいう
・生姜の存在


蝋燭を灯した薄暗がりの中でいただく椀物。

昔の小料理屋(昔といってもだいぶ前)なんかだと、その儚げな灯だけをたよりにいただくわけですね。

うす暗がりだから、椀の中にどんなお料理が広がっているのか妄想する。

まずは、椀を手にとり質感をたしかめる。

ふむふむ、なんとも柔らかな漆の椀とな。

顔に近づけ、香りやゆらめくお料理を楽しみましょう。

すっと箸を通して、箸先にも感覚を集中させてみたりして。

最後に口に含んで、舌鼓を打つ。

なんとも奥ゆかしい世界である。

江戸時代にタイムスリップしたいなぁ。

お後がよろしいようで。

食べたいものをつくる人 高橋 拝。


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