中村桂子「生命誌」から見たLGBTの「正しい」理解とは

「有性生殖」の基本を踏まえよ
 LGBT理解増進法については、38億年の生命の「進化」の歴史を紐解く中村桂子氏の「生命誌」の視点から、LGBTの「正しい理解」を増進する根本原理は何かを明らかにする必要がある。
 「生命誌」とは、「対話」で作り上げていく「知」であり、生物学の最先端であるDNA研究の成果を踏まえ、38億年の平等な歴史を背負うものとして、人間を含むすべての生物の多様性と相互の関係を捉え直そうとする中村桂子独自の理論である。
 中村は『ゲノムが語る生命一新しい知の創出』(集英社新書)において、「根っこ」を張るところを探し、どっしりと根を下ろしながら、「翼」を広げて飛んでいくことを夢見る若者を育てることの大切さを説いている。
 生きものの「有性生殖」の歴史を踏まえた価値観をしっかり持ち、「自然の活力と人間の力をすべて活用する社会」づくりの新たな道を提案している。中村によれば、「矛盾に満ちたダイナミズム」こそが「生きものを生きものらしくして」おり、生物は「多様だが共通、共通だが多様」「正常と異常に明確な境はない」という。
 「有性生殖」とは、二つの異なる個体の配偶子が結合することによって、新しい遺伝子の組み合わせをつくり出し、多様性を生み出す方法のことである。例えば、哺乳類の場合、オスとメスが交配して、精子と卵子が結合して受精卵を作り、この受精卵が成長して新しい個体が誕生する。
性別の「区別」と「差別」の違い
 性別は不変であり、男女の染色体DNAによって区別できるが、中村桂子編『和 なごむ・やわらぐ・あえる・のどまる』(新曜社)によれば、グローバル化とはアメリカ型社会に均一化することではなく、「和える」につながるもので、日本文化から世界に提案・発信できることがたくさんあるという。
 先天的な性別の不変性(共通性)と後からつくられた文化的・社会的性差(ジェンダー)の多様性という基本に目を向けることによって、健常者と弱者、正常と異常の境がなくなる。性別の「区別」と「差別」の違いについてこの視点から見直す必要があるのではないか。
 陰陽の普遍的原理の基本を踏まえて「みんな違うが、基本は同じ」ことに気づかせることが大切である。
 この陰陽の原理の基本を教えないで、多様性だけを教えると子供は混乱する。LGBTの「正しい理解」増進には、この日本文化を踏まえた「生命誌」の視点が必要不可欠だ。
 


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