見出し画像

父になる事と作家活動について-出産前

挨拶

どうも、takahashi toshioです。またもや御無沙汰しております。

気づけば前回noteを記載してから、既に1年以上経過しています。そんな中、記事を読んで【スキ】してくれる人や、新たにフォローしてくださる方々がいて大変嬉しく思っています。ありがとうございます。

とはいえお気づきの方も多くいらっしゃると思いますが、残念ながら直近まともに作家活動らしい事は何もしていないし、機材も作っていません。
ちなみに久々の更新ですが、タイトルからもわかるように、今回もそういった記事ではありません。写真論は語るけどね。そして長いし気に障る人がいる内容かもしれません。

画像1

この一年、というより結婚してからというもの、コロナの影響もあり結婚式は延期(というより実質中止)に、その間に家を購入したくせに収入は激減し(汗)、そして妻が妊娠。なんとも慌ただしく過ごしておりまして、家庭と仕事で精一杯な状況の中、時間と金とモチベーションが無くなっていしまい、写真活動への興味がなくなってしまいました。

他人の写真に関しても興味がなくなり、作家としてのTwitterアカウント(@takahashi1040)も殆ど見ていない状態です。

今回久々に考える時間を得られたので、改めて現状を振り返るとともに、自分の今後の作家活動をどうしていきたいのかを書いていこうと思っています。

画像2


スリットスキャンの限界と、アイデアの枯渇

画像3

スリットスキャン。このnoteを購読している人は、スキャナカメラと書いた方がしっくりくるかもしれません。

いつもスリットスキャンは限界だ〜!もう無理だ〜!オワコンなんだ〜!!だと喚いている私。なんだかんだ、やり始めてからずっと限界と言いつつ走り続けていましたが、1年ほど前から立ち止まったままです。

そもそも世間的にはオワコンというより始まってすらいない、歴史の彼方に捨てられた技術。raspy氏がDIYで作り出した時でこそ、1億画素超えの超画質というメリットがありましたが、今では普通の民生品デジカメで同等の能力を持つカメラが出てきてしまいました。

画像4

とはいえ私が作家たらしめるものとして、自作機材や、それで撮影したスリットスキャン写真が一番しっくりくると思っています。

私が記録したい【時間の流れ】を、物理的に映し出すこの現象は、私にとって魅力的な技術であることに疑いようはありません。

では何故限界なのか。理由は主に下記の2つです。


①機材の取り扱いが面倒くさい
スキャナカメラの話。自作物あるある話ですが、とにかく扱いが面倒くさいのです。

民生品のように電源入れてシャッター切れば撮れるカメラとは異なり、スキャナカメラをデカイ三脚に取り付け、レンズを付け、電源を入れてパソコンに繋ぎ、ソフト起動、キャリブレーション、構図決定、ピント合わせ後にようやく撮影可能です。書いていても伝わる気がしない。

カメラ本体ですら大判カメラ相当で、かつ億画素相当のデータを取り扱える高性能パソコンを持ち歩く必要があるので、荷物は大掛かりになりがちです。持ち出す機会も減っていきます。

体力の枯渇。


②スリットスキャンで撮りたい被写体がない
問題の本質はこちら。
私の写真を撮る信念の一つに、【機材のセレクト理由は大事】というものがあります。

自分のステートメントに合わせて、カメラは使い分けるべきだと考えています。世に一定数存在する写ルンですで十分、スマホで十分と言う人には一度考えていただきたい内容です。十分ってなんだよ偉そうに。

脱線した。
そんなわけで昔はスリットスキャンを使って様々な被写体を、時間の流れを閉じ込める目的でスリットスキャンで撮影してきました。

とはいえ撮り方が特殊なスリットスキャン技法において、同じように撮影しているだけでは「また同じような写真撮っている」と自他ともに考えてしまう結果になってしまいました。Twitterでアップロードした写真も、もはや全然見てもらっていない、もしくは飽きられているからでしょう(笑)

まぁそんなわけで自分自身、この技法だからこそ撮ってやろう!と思うことが少なくなっていきました。モチベーションの低下とも言えますね。

アイデアと作家性と、そしてモチベーションの枯渇。


-----------------------------------------

これらの問題は今に始まった問題ではなく、私がスリットスキャンに取り組みだしてから今に至るまで、ずっと抱えていた問題が露呈しただけとも言えます。

それだけ、スリットスキャン写真の可能性について真摯に向き合い続けてきました。様々な人から叱咤激励されたり、人と繋がる機会もあり、賞をいただけたこともスリットスキャンのお陰でしょう(※1)。

今後も引き続き撮るつもりではいます。とはいえ、撮るための種から芽が出ない状態です。暫くは種まきをせっせと頑張ることにしましょう。


彼岸花03


父になります

前置きで記述の通り、現在妻は妊娠中。秋〜冬にかけて出産予定です。私も一児の父になります。

「お前が父親とか信じられない」「家族顧みないでしょ」と言われる事も多々あり、最初こそ凹んだり腹が立ったりしましたが、若干慣れ始めました。過去色々と迷惑をかけたり、自由奔放に生きてきた結果のため、自らの戒めとして思う他ありません(※2)。

初子の父ということもあり、子供を撮るためのカメラやレンズを調べる等、俗な事に思考を巡らせたりもしております。カメラたくさんあるくせに、意外にもコンデジやオートフォーカス使えるレンズがないのです。防湿庫の中の物達は一体なんだったのか。

画像5


で、ここからが本題。女性作家の方が出産とともに作家活動を離れるのと同様、男性も独身時代と同様に続けていくことは難しくなると思われます。

世の中には子育てと作家活動を上手く両立できている人や、家庭を顧みない人、そして両立できているつもりだけど出来ていない人(※3)と様々なパターンあると思いますが、私は間違いなく両立できないと思います。

時間、金、そして後述する気力とアイデア。そういったリソースは、子育てが原因で、現状より更に低下していくことは明確です。

「おい、子育て言い訳にしてるんじゃねぇよ!元々やる気ねぇじゃねぇか!!」と仰る作家の皆様。ぐうの音も出ません。その通りです。子育てを言い訳にするわけじゃありません。そこは間違いありません(※3)。


とはいえ私としては子育てはチャンスと捉えていて。今まで自分だけの事を考えて生きてきましたが、子供と接することで様々な変化をもたらされ、新しい「何か」を生み出してくれると期待すらしています。

現状スリットスキャンが出来ていない状況の中、子供という自分にとって今までにないファクターがどのように自分へ影響を及ぼすのか。今は言い訳と言われようとも、いつか自分らしい写真活動に繋がると信じて。今は目先の子育てに、しっかりと力を注いでいきたいと思っています。

画像7


おわりに

そんなわけで、久々のnote投稿となりました。

作家として何か今後もやっていきたいという気持ちはなくなったわけではありません。子供ができようが、仕事が忙しくなろうが、蒔いた種が芽生える時に、スタートしていきたいと思います。
そして写真を撮らなくなったわけではありません。撮るのは相変わらず好きです。もしかしたら、今後子供が生まれることで子供を被写体に作品に昇華することがあるかもしれませんが、現状は定点観測ぐらいでしょう。記録が大事です。

自分自身を曲げてまで作家活動をするのは嫌ですし、流行りのスタイルに乗っかるような考えは苦手です。安易な考えや意志なき活動するなら、後ろ指を指され罵られる方がマシです。自分自身の意思表示のためにも、しっかりとnoteに記載させて頂きました。


次回は(時期は未定ですが)、出産後の心境の変化として後編を記載したいと思っています。

最後になりますが、現在私たち家族はコロナの影響と、出産等の資金繰りのため展示会への参加や観覧はご遠慮させて頂いております。
たまに展示会場でお会いする事があるかもしれませんが、基本的には他用事の「ついで」で伺うことしかできませんので、ご了承下さい(※4)



※1)自画自賛気味ですが、自分以上の人はAdam Magyar氏やFrédéric Fontenoy氏ぐらいではないでしょうか。

※1)同じぐらいアドバイスする方にも出会いました。「スキャナカメラ(スリットスキャン)かー、俺もやろうと思ってたんだよ、いやー、かーっ、やりたかったんだけどねー(以下略」みたいな事を言われることがありますが、私と同じ結末を迎えると思うのでやらない方が無難です。

※2)過去色々な方にご迷惑をおかけしてきた事は事実ですが、

※3)作家活動と家庭を両立できていると思いがちな人ほど、実は出来ていない(もしくは環境が異なりすぎて当てはまらない)パターンは多数見てきたので、余計な一言は無用です。

※4)展示は、私個人では暫く行くつもりはありません。あと、賞レース系は本当に見てて痛ましく感じてしまうので遠慮しております。この辺は別途記事にできればいいな。


それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




自作で機材作ったり、展示物のギミック作るとお金かかるんです…。ストレスで甘いもの食べまくるから…。そんなわけで、俺に少しでも甘いもの食べてもらいたいって人はよろしくお願いします!