見出し画像

芽吹く身体とデトックス


春は晴る、張る季節。 


雪雲の隙間から晴れ間が広がり始め、雪が解けて水が張り出す。

冬に眠っていた動物や植物たちが伸び伸びと体を動かし始めていくように、 私たちの身体も少しずつ緩み、冬に固まり溜め込まれてきたものが溶け出してきます。

縮こまった身体をゆるめ、ほぐすこと。

溶け出してきた老廃物を排出する力をつけること。

春の養生のキーワードは「芽吹き」と「デトックス」です。

■春=木の季節
陰陽五行説によると季節は

春=木

夏=火

秋=金

冬=水

土用=土

となります。

春は木の季節。

木は生育のエネルギー。

生育をうながすエネルギーでもあり、生育を助けるエネルギーでもあります。

春は色々なものが育とうとします。

種が張り裂ける。

芽が出る。

葉が出る。

茎が伸びる。

それら生育を促す働き。

そこここに、栄養を行き渡らせる働き。


◎おいしい血液をためて、配れる素敵な蔵を

春の体をつくる「木」の働きを担っているのは「肝」です。

肝は、肝臓という「臓器そのもの」というよりは、「働き」を指します。

その働きは一言でいうと「蔵血」と「疏泄」。

蔵血の「蔵」は、くら。

酒蔵や味噌蔵をイメージしてみてください。

画像3

酒も味噌も、もともとは薬と言われていました。

体をよくする発酵食品をためておく蔵。

いい蔵は、そこに酒や味噌を置いておくと、それだけでいい酒、いい味噌になるような蔵です。

そして、いい蔵は、ためておくだけでなく、みんなにそのお酒や味噌を配れる蔵です。

画像4

栄養を運ぶ血液を、ためて、おいしくして、配る。

この働きが、肝です。


◎疏泄=ひらいて、通す

そして、肝のもうひとつの働きである疏泄。

疏は「通す」という意味の言葉。

もっと具体的に言うと「ふさがっていたものを切り開いて通す」ということが出来ます。

冬は一年の中で最も血管も固く引き締まっています。

全身の末端からの血流は、もっとも流れにくくなっていました。

全身の毛細血管から老廃物が流れ込んでくるのも春です。

そして、肝臓などに溜め込まれて、清められた血液は、全身の末端にまで流れ込んでいこうとしています。

この働きを助けるのが、春の養生の要です。


◎雪解け水のように流れ込んでくる血液を清めよう!

雪解け水のように溶け出し、体のゆるみによって肝臓にめぐってきた血液中の酸化脂肪や老廃物は、胆のうから分泌される胆汁や肝臓の中で生成される酵素の働きによって解毒、分解されます。

これらの働きを助けるものは色でいうと「青」、味でいうと「酸」にあたります。

たとえば野草や発酵食品です。

強い酸味は肝臓に負担をかけますが、この季節の自然の恵みから頂くほどよい酸味は、冬に硬 直した筋肉をほぐしたり、滞っていた血流をさらさらにする助けになります。

また、季節の野草や青菜、漬物や味噌、醤油などの自然発酵食品に含まれる酵素や酵母、乳酸 菌、その他の有用微生物は解毒や分解、老廃物の排出を促してくれます。

天然醸造の味噌や醤油に豊富に含まれるアミノ酸や乳酸。

梅干しや梅酢に含まれるクエン酸。

野草の新芽に集まる乳酸菌。

画像2

なづなやせり、はこべらなどの野草を使った七草粥を食べるのは春の始まりの頃です。

植物が「張る」ように伸び広がっていくこの頃は、わたしたち人間も縮こまった体をほぐして大きく息を吐き出し、筋肉を動かし始める季節です。

河原の土手や、山や野原に出かけてみることは、春の養生法としてもバッチリです。

休みの日は、ぜひ自然の中へ!

画像1


■春の養生ガイダンス
◎春に対応する内臓  肝・胆

◎内臓に対応する色・味  青・酸 

◎お勧めの食品  野草・緑黄色野菜・発酵食 

◎お勧めの養生法  

体操・深呼吸・散歩=固まった体をほぐすこと!

お読みいただきどうもありがとうございます。