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残念なPRを作る要素は、バックエンドのコミュニケーションにある

<LinkedInに書いたものをそのまま改めてここでも。フォロワー当時比1000人増なので、誰かにひっかかるかもしれないな、と打算を込めて再掲載>

SlackのPRコミュニティで、ひとりごとのように書いていた日々日記で、参加した企業のPR課題について書いていた。残念なPRには残念な体制が必ずついてくる。数社の共通点をあげていくと、だいたい同じようなことが言えるので、それをキーワード別にまとめていったらどうなるのかな、というライティングをnoteに連載していた。ここではその概要を記してみたい。

意外だったSNS規定

Part1:https://note.mu/takafumitanaka/n/nb19ffa095f82

「へんな投稿するな!」というようなものです。が、私が直面したSNS規定とは、そういうものとはちょっと違う方向性に対する規制でした。そもそも私用携帯電話を仕事に使っているおかしな状況などもあったんですが。。

Part2: https://note.mu/takafumitanaka/n/nc09ace185b12

LINEいじめを端緒に発生した会社のSNS規制は、おかしな方向に行きました。インターナルコミュニケーションをまったくしていない組織はどういうことになっていくのか、というような考察も。

状況把握に見る力量差
https://note.mu/takafumitanaka/n/na810f54504d8

入社後すぐに会社の概要を説明してくれる人っていますよね。この人の能力次第で、最初につかむべき情報の質と量に大きな差が生まれてしまう、というのを最近痛感しました。パブリックリレーションズの専門家なら、やっぱり自分でヒアリング項目をリストしないと、というような記事です。

ビジョンをあとまわしにする共通さ
https://note.mu/takafumitanaka/n/n9396543d2ba5

企業活動の行動様式を決める重要な項目といったら、ビジョンです。どのような社会を実現したいのか。そこから逆算してさまざまなプランや策が出てきます。ところが残念なPRをやる「すべての」企業が、このビジョン設定をしないまま活動をしています。こういう企業は末端に行けば行くほどどんな情報発信をすればわからなくなるからです。

◆ ◆ ◆

これらは重なって、同時進行で起こっているインシデントで、コミュニケーションの不具合によるもの。そして事業のあり方を下流から見すぎたために起こった視点のズレによるもの。組織のそもそもの成り立ちを無視し、目先の顧客の要望に盲目的に答えすぎていると、よく起こることです。

パブリックリレーションズの仕事は、メディアにプレスリリースを発表し、取材対応するもの、と思っている残念な人がほとんどですが、本来はコミュニケーションを戦略的ものに変容させていく責任者である点で、社内に流通しているコミュニケーションにも目を配り、改善の手を打つ指導者であることです(その自覚がない人はここでは「広報」と呼んでいます)。

この3回の記事で上げたことは「それって人事のことだよね」「それって総務マターだよね」と言いたくなる人多数のはずですが、これらの現象を「情報の流れ」であり、「情報は資産である」という認識で経営者目線で見てみると、その主担当はやっぱりパブリックリレーションズ担当者になります。

でないと、安心して情報発表ができません。

法令順守をうたうサービスを標榜しながら、社内は税金の未払いや就業規則を整備していない会社だったらどうするの?政府系組織とタイアップしても、法令順守があやしかったら、それが露見したときにその関係は(そのプロジェクトは)どうなるのか?「そのあたりは隠して発信してしまえばいい」で、広報担当者、責任すべて取れるのかね?ってことです。

そうなると戦犯はあきらかに広報担当者です。そうならないためには、発信する上でひっかかることすべてに首を突っ込み、改善してもらう。改善が認められるまで発信はしない。チャンスがなくなっても、それは会社が相応の準備をしなかったから、という見解が持てるかどうかです。

残念な経営者は臭いものにはフタ的な見地で、目の前にあるビジネスチャンスに固執しますが、、、たいていは大したことのないチャンスです。隠して露見する迷惑や損害賠償なんて考えもしない笑っちゃう状況も、複数社を経験して得た共通項でした。
迷惑な発信は、しないに限る。

それでキャリアパスに傷がついても、わたしは発信しない。直近の会社では副社長以上から袋叩きにあいいましたが、発信は断固拒否しました。期待を裏切られた人の顔を想像すると、発信はできない。人々をふわふわふわーっとすることは、資格があります。人をだましてその資格を手に入れても、すぐに破たんします。破たんした先には犠牲者がいる。傷つけてはいけない人たちがいることが多い。それを広報担当者(←「広報」と使っています)は真剣に考えないといけないはず。

ふわふわふわぁっ、キラキラキラーで、勤まるなら、いいけれど。

さて、連載の後半戦は、以下の記事をリリースしました。

上から下まで「忙しい」おかしさ
https://note.mu/takafumitanaka/n/nf2a32b8daa0a

社長はつかまらないで「つかまえて」と言い出す。マネージャーはいつも会議に駆り出されて帰ってこない。下っ端はどうでもいい仕事にいそしんでいる。この人たちの共通語は「忙しい」。本当に忙しい人は、このことばを使いません。こいつらの「忙しい」を分解して、「忙しい」と言わせないように行動をとってみた事例を上げてみます。

調査が抜けたPRのおかしさ
https://note.mu/takafumitanaka/n/nb49521b3f75a

パブリックリレーションズには4つの基本行動プロセスがあります。その第1歩が調査なんですが、残念な発信をする広報の多くが、この調査基盤を社内に独自に持っていません。インプットがないのに、どうしてアウトプットを得るのか、意味不明です。

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パブリックリレーションズは、アンビションのある企業が持つポジションですが、その実現のためには地道でありまっとうである基本的なことが整っていなければ力をふるえません。そこに来た担当者にとっては、発信したくても発信できない、スキルがあっても使えない地獄が待っています。その人のキャリアパスを奪うとんでもない侵害行為なのです。こういうことが就業する前に改善されていれば、と思うこと多数です。

あたりまえに見えていることを疑えるか。

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