【映画レビュー】「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年 アメリカ、イギリス)〜タランティーノ、大爆発〜

【タイトル】
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年 アメリカ、イギリス 161分)
監督、脚本 クエンティン・タランティーノ
出演 レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノ

※暴力描写が含まれております。


【あらすじ】
 1969年のハリウッド。落ち目の俳優・リックと、彼の相棒で廃業中のスタントマン・クリフ。
 この2人を中心に、60年代後半のハリウッドを描いた作品。


【感想】
 この映画は、フィクションである。
 だが、1969年に起きた映画監督ロマン・ポランスキーの妻であり、女優のシャロン・テートがカルト的なヒッピー集団に惨殺された事件を基に制作された。
 レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットが演じる主人公2人は架空の存在だが、登場人物の一部は実在した人物というフィクション半分、実話半分の映画となっている。


 何故こんな形になっているのか?
 その答えが、ラスト30分に描かれている。
 タランティーノは殺害されたシャロン・テートの大ファンだったらしく、あの事件に対し、強烈な怒りをぶつけた。

 この映画は、あの時のハリウッドのもしも……を描いたのだ。


 映画の途中まではタランティーノ監督作品にしては比較的穏やかだったのに、クライマックスでは用意していたダイナマイトを次々と点火させたように大爆発が起きる。
 もしかしたら、タランティーノはこのクライマックスをやりたかったが故に、この映画を製作したのかもしれない。
 それぐらい、あのクライマックスからタランティーノの尋常ではない怒りが感じられた。

 映像としては60年代後半の古き良きアメリカを再現しており、映像にノイズや乱れを出し、当時の映画やTV番組を再現。
 また、一部映像を合成させたりと、タランティーノらしいマニアックで遊び心のある映像作りになっている。
 あと、明らかに『あの人』だと思わせる人物を登場させて、おちょくるシーンがあり、タランティーノは『あの人が嫌いだったのか……』と思わせるシーンも。

 ラストのもしかしたら、あり得たかもしれないifが妙な切なさを感じさせる。

 クエンティン・タランティーノという映画監督……または映画ファンが生きた60年代ハリウッドへの想いと、あの時の無念さと悔しさが感じられる映画だった

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