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タイ飯沼マガジン

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タイ料理を中心に、タイ国内の食べもの関係の記事を集めたマガジンです。著書『タイ飯、沼。』に関連した内容なども掲載します。
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記事一覧

書籍紹介『タイ飯、沼。』晶文社

タイ料理の書籍を2023年11月28日に出版しています。ガイドブックではありません。レシピ本でもないです。ひたすら、タイ料理の思い出やウンチクなどを語っています。 もくじは下記のようになっています。 それから、動画でも簡単に紹介しています。合わせて参照ください。 書籍内では在住20年に加えて旅行者時代を含めてタイなどで食べてきたタイ料理の数々をピックアップしています。タイ料理は思っている以上に深いですから、これがすべてではありません。あくまでもボクが食べてきた中で、いろ

ばんこくの居酒屋「いもや」はもっと見直されていい

 ここ10年くらいのタイしか知らない人には信じられないかもしれないが、それ以前のバンコクは和食店がそれほど多くなくて、在住者はわりと和食に飢えていた。今だと日本の有名店や、日本で実績のある経営者や料理人が和食店をやっていて、だいぶおいしい和食にありつけるようになった。  一時期は香港やシンガポールの駐在員がバンコクの和食バラエティーの豊富さとおいしさを羨ましがっていたほどだった。それ以前は和食店が少なく、どんなにまずくても客が入った。それだけ優良店は貴重だった。だから、20

モーモーパラダイスがタイに来た日

 今でこそ様々な日本の有名チェーン店がバンコクに進出しているが、それも2010年前後からのことで、それ以前はそこまで有名店はなかった。そんな中で早めに進出してきたのが、しゃぶしゃぶの食べ放題「モーモーパラダイス」だった。2007年にバンコクに登場したのだが、当時はまだタイ人はあまり牛肉を好んで食べる人が多くなかったので、この店の登場は結構斬新だった印象がある。  それ以前にバンコクでしゃぶしゃぶ専門店といえば、ブラカノンの「秋吉」だけだった。秋吉も今は多店舗展開になっている

サムットプラカンのイカ焼き屋台

 サムットプラカンの中心地は、BTSの駅で言うとBTSパクナム駅の周辺だ。パクナムは正確にはパーク・ナームで、河口という意味になる。ちょうどすぐ横にチャオプラヤ河が流れているからだ。ただ、実際の河口はもっと下流にある。  パクナムの駅周辺には郡役場、裁判所、イミグレーションなどがある。広大な駐車場があり、そこにはいくつもの屋台がある。その中でボクが好きなのはプラームック・ヤーン(イカ焼き)の屋台だ。  この店はすでに下記記事内でサムットプラカンを紹介したときにも書いた。

タイ料理の中にある海鮮系の生もの(主に王道なメニュー)

 このサイト内だけでなく、ニュースサイトなどさまざまな場所でボクはタイにおける生肉料理について紹介してきた。タイはまだ規制が厳しくないので生肉料理が普通に食べられるからだ。牛、豚、鶏の肉や内臓をユッケや刺身などで食すことができる。  そのことをいろいろな記事で書いてきたが、海鮮系、つまりタイのシーフード料理にもまた生のものがある。ちょくちょく紹介はしているが、ここで改めて、タイ料理の中にある生もの料理を見ていきたい。  タイも海のある国であり、生で魚介類を食べることも少な

自分に今足りないものはトウガラシ

 かれこれ日本滞在が半年を過ぎている。これだけ長く日本で過ごすことなんて自分の人生においてはもうないと思っていたので、案外楽しんでいたりはする。  日本はとにかく食事がおいしくて、まあ普通に太るね、これ。日本はタイ以上にダイエットとか肥満に関する話がメディアでよく見られるけれども、これだけ食べものがあるからそうなるよ。  そして、これだけ食べものが豊かだと、逆に食べることがなんだか嫌になってくる。今は実家に滞在している。実家の人々はみな、3食ちゃんと食べている。それがボク

ネムチュアとネムのベトナム語の意味がわかった

 一昨日のアップで、タイの発酵ソーセージのネームと、ベトナムのネムチュアは語源が同じなのだろうかという内容を書いた。その記事は下記だ。  この中でネーム・ヌアンというタイ料理があるが、これのベトナム語を検索すると焼いたネムチュアの画像が出てくるとも書いた。その件について、友人からネムについての意味などを説明するメッセージが届いた。  彼はベトナムの首都ハノイに駐在する人で、バンコクのカオサン通りのゲストハウスで出会っている。もうかれこれ20年も前のことだ。その後彼は日本の

タイのネームはベトナムのネムチュア?

 タイとベトナムは一見似ているようで、まったく違う文化がある。当然国と民族が違う結果だ。タイとベトナムは接してもいない。しかし、中国から陸続きであり、双方の国で国境はカンボジアとラオスに接しているので、どこか遠くなのに近いものもあったりするから不思議だ。  その中で気になっているのが、ベトナムの発酵ソーセージの「ネムチュア」だ。  ベトナム料理は独特なものがあって、興味深い。おいしいものもたくさんある。そんな中で、一度だけ食べたことのあるのがネムチュアと呼ばれるものだ。

タイ人にとって即席麺は和食?

 今と違い、90年代後半、あるいは2000年初頭くらいは和食を食べるタイ人は富裕層くらいしかいなかった。それでも、一般層のタイ人も知ったような口で「和食を食べたことある」と言っていた。そのほとんどが即席麺、もしくはインスタント麺と呼ばれる、あの袋の麺だった。当時はトムヤム味くらいしかなかったのに、よくもまあ日本料理を知っているように言えたもので。  タイではインスタント麺は日本の料理あるいは日本発の食べものという認識だった。実際、インスタント麺は日本で発明されたもので、日本

フライドチキンはなぜ南部のハジャイ発ばかり?

 タイのフライドチキン「ガイ・トート」はタイ国内ならどこにでもあるもので、気軽に食べられるし、値段も高くない。もち米と食べればそれなりにちゃんとした食事にもなる。ヤキトリ同様にどの国にもフライドチキンはあるものだが、ガイ・トートはKFCや日本のから揚げとも違う。おそらくナンプラーを調味料のひとつに使うからだとは思う。  そんなガイ・トートは大概「ガイ・トート・ハートヤイ」と銘打っているか、店名がこれになっていることが多い。ハートヤイは日本ではハジャイとも呼ばれる。タイ南部の

タイのコンビニ・ハンバーガーは出産の味

 タイのコンビニは日進月歩で品揃えがよくなっているが、それは最近のことで、ボクが初めて来た1998年から2014年くらいまではそう大して進歩はなかった。今でこそコンビニ弁当の棚が充実してきたけれど、以前は見るだけにすら値しないレベルだった。  その中ではレンジで温めるハンバーガーはよかった。当初はひどいなと思ったけれども、今はある事情と思い出もあって、たまに食べたくなる。  ボクにとってのタイの思い出の食べものといえば、たとえばグリーンカレーだ。初めてタイに来て、初めて食

ベストビーフが人気の理由ってなんだろうか

 バンコクはムーガタをはじめとしたタイ焼肉の食べ放題店が無数にある。そんな中で近年、人気が高いのがBTSオンヌット駅に近い「ベストビーフ」だ。早めに行っても結構待つ確率が高いくらい客数が多いが、よくよく考えると、なんでここが人気なのだろうかと思う。  ベストビーフはオンヌットと、今はボクの自宅に近いシーナカリン店にある。それから、チャオプラヤ河を渡った辺りにもできたと聞く。一番人気はオンヌット店でしょう。外国人もたくさん来る。  店の看板には確か2008とあったはず。たし

【古き良きバンコク】ペッブリー通りのイサーン料理屋台群

 近年のバンコク在住日本人同士の外食は和食店で、というのが当たり前になっている。ボクが移住したばかりの2002年、あるいはタイ語学校に通っていた2000年当時は、バンコクの和食店は物価からしても高すぎて、日系企業駐在員が行くところだった。元からの金持ちを除いては、自由に暮らしている人や現地採用者が簡単に行ける場所ではなかった。そんなボクらが利用していたのはイサーン料理(タイ東北部料理)の屋台だった。  当時は日本人同士であっても飲み会だとか外で食事というと、普通に屋台に向か

本当は今がマンゴーの季節

 いよいよタイも4月になり、夏も真っ盛りになってきた。年間で一番暑い季節がこの4月5月で、学校も夏休みに入る。  そんなタイの夏は果物の季節でもある。この季節になると様々な果物のハイシーズンになって、市場などを彩る。中でもマンゴーは特に人気のある果物で、この時期はいろいろな飲食店でキャンペーンを行う。最近のマンゴーは栽培技術が向上し、年間を通していつも市場に出回っている果物になったが、ついこの間まではこの時期にしか食べることができなかった。  タイのマンゴー系のスイーツの