教職概論演習

 この冊子は教職概論の演習書として書かれたものです。今日の教員に求められる役割や資質能力、教員の職務内容の全体像や教員に課せられる服務上・身分上の義務、学校が内外の専門家等と連携・分担して対応する必要性などについて問題として出題し、解答例を示すとともに背景等について解説しています。
 みなさんは、教職への希望を胸に、その第一歩を踏み出そうとしている学生もしれません。教員採用試験に挑戦しようとしている人、失敗にめげず捲土重来を期し学習を続けている人もいるかもしれません。いずれにしても教職を志しておられる方かと思います。
 教員採用試験における教職教養は、その自治体の教育課題を反映していることが多いように思います。一般に、教育原理、教育心理、教育法規、教育史の4分野から出題されますが、出題傾向は都道府県、政令市によって大きく異なっており、例えば、広島県では、教育史の出題は最近少なくとも17年間出題されていません。また教育心理も教科書のまま出題されることはなく、いじめや教育相談など、現場の実態に即して出題されます。教育原理もまた、文部科学省や県の教育施策、審議会の答申など、現場での実態に即して出題されています。したがって、広島県の教員採用試験は、その対策のために学んだことが、現場で直接役に立つことが多い、という特徴があります。
 広島県教育委員会は現場の教員向けに、必要な情報や知識をまとめた資料「広島県教育資料」を毎年出版しています。広島県(市)での採用を目指す皆さんは、この資料に目を通すことから学習を始めるとよいでしょう。加えて、学習指導要領、答申、生徒指導提要などの資料を読むことも必要です。どの部分を、どのように読めばいいのかもあわせて示しているのが、このテキストの特徴です。採用試験の対策ために学習しつつ、得られた知識は教員として採用された後も役に立つ、そういう学びを意識して作成しています。教育実習へ行く前の事前学習にも役立つと思います。
 著者は、研究者として民間企業に勤めた後、教職を目指し始めました。昭和62年に広島県に採用され、平成2年3月に退職するまで、広島県立高等学校の教諭でした。民間企業での経験も、教員になって大いに役に立ちました。今は民間企業に就職しようとしている人も、教員免許を取得しておくと、将来の進路の選択肢が増え、夢が広がることと思います。
 教師は人の幸せを願う素晴らしい職業です。その素晴らしさも伝えていけたらと思っています。応援しています。頑張ってください。

                       平成31年3月 著者

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