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ゴジラ怪獣ここが好き ラドン編

ゴジラ怪獣の好きなところを書いていくシリーズ。
今回紹介するのは、空の大怪獣ラドン。
その出演歴をざっと振り返りつつ、だんだん変わっていくキャラクター性を紹介。
どうぞご一読くださいませ。

元祖東宝飛行怪獣

星の数ほどいる怪獣というキャラクターで、定番ともいえるのが空を飛ぶ能力です。
ゴジラ怪獣でも空を飛べるやつらは結構いて、羽があるモスラキングギドラはもちろん、翼のないメカゴジラもジェット噴射で空を飛びます。
というか、大体の東宝特撮メカ怪獣は当然のように飛びます。
メカも飛ばせないようでは、あの世界では博士を名乗れないのでしょう。

あの世界は重力や空気の粘性が現実とは違うのか、結構飛ぶことのハードルは低いようです。
あのどっしりとしたゴジラですら、腹筋とバランス感覚を鍛えるヨガみたいなポーズで身体を丸めて飛びます。
とっくに物理法則は無視してるのに、思い出したかのように空気抵抗を意識したポーズになるゴジラ。
制作陣がギリギリで正気を保ってる感があって良いです。

そんな、空飛ぶ怪獣のパイオニアともいえるのが、「空の大怪獣」ことラドンです。
ラドンはプテラノドンの突然変異体とされる怪獣ですが、その食性は魚食ではなく昆虫食。
ヤゴが巨大化したメガヌロンという怪獣を捕食します。
将来の食糧危機問題を解決すると言われる昆虫食を、1950年代から実践するラドン。
公共の映像で虫を食べたのはダチョウ倶楽部さんより先でしょうから、そういう意味でもパイオニアです。

怪獣としての武器は、はばたく翼から生み出す強風。
上空をただ飛行するだけで、風圧により街は破壊されてしまいます。
基本的に移動の邪魔になるものを破壊するだけのゴジラに比べ、ラドンが放つ暴風は広範囲に影響を及ぼす厄介なもの。
移動するだけで街が崩壊してしまうのです。
近所に住んでいたら、毎回町内会の議題に上がる困ったタイプの住人ですね。

大物新人ラドン

そんなラドンですが、映画出演のキャリアもなかなかです。
デビュー作からして、「空の大怪獣ラドン」という単独主演映画。
新人なのに主演、しかも東宝初のカラー怪獣映画というメモリアルなところをきっちり押さえる、華々しい銀幕デビューを飾ります。

その後は昭和ゴジラシリーズにおいて、ゴジラの相棒的ポジションで続々出演。
残念ながら二作目の主演映画は作られませんでしたが、着実にキャリアを積んでいきます。
惜しくも昭和シリーズ後半では出番がなくなっていきますが、平成に入ってから再びスクリーンに復帰。

復帰作「ゴジラVSメカゴジラ」では久しぶりの仕事に気合が入ったのか、身体のカラーリングを赤色に変え、光線を吐くという新たな特技も習得。
主演でも敵役でもなく脇役ですが、終盤にはゴジラのピンチを救うなどきっちり見せ場をもらっています。

なんだか、時を経るごとにだんだん扱いがぞんざいになってる感じがしますね。
一応大物新人だったんで見せ場はもらえているけれど、という気を使われている先輩のような状況です。
事務所社長の肝煎りでデビューしたのに、いまいち当たらなかった元アイドルとかこんな感じなんですかね。

新天地で土下座する先輩

そんな燻ぶり気味のラドンでしたが、「ゴジラ キングオブモンスターズ」でついに海外進出を果たします。
ワンシーンだけちらっと映って「海外デビュー!」なんていう、アルマゲドンの松田聖子みたいなのではなく、がっつり大事な役どころ。
映画中盤に火山の中から堂々の登場です。
風圧でメキシコの街を破壊する様子は、往年のデビュー作を彷彿とさせる活躍ぶり。
このままゴジラ・モスラと合流し、「三大怪獣 地球最大の決戦」ぶりのチームアップか!と思ったんですが。
一足早くキングギドラと会敵してしまうのです。

作品の大ボスと単独で戦わされる展開は、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」のバラゴンの前例があり嫌な予感がします。
案の定打ち負かされてしまうのですが、ここからが本作のラドンの本領発揮です。
自分が出てきた火山の山頂で吠える、キングギドラの足元でひざまずいているのです。
というか、地面にひれ伏して頭を下げる姿は日本人からすれば土下座そのもの。
一瞬で勝負が決まったのが相当堪えているようです。

すっかりキングギドラの下僕となったラドンは、一緒になって街を破壊します。
現れたゴジラ、そしてモスラとの戦いでは、モスラを相手に優位に戦況を進めますが、慢心から出た一瞬の隙をつかれ敗北。
ベテラン怪獣にしては妙に小物臭い役回りで見せ場は終了です。

そして映画終盤、勝利の雄たけびを上げるゴジラのもとに他の怪獣たちが集い忠誠を誓う中、ちゃっかりラドンもその輪の中に。
キングギドラとゴジラの最終決戦に割り込んでこなかったので、てっきり死んだかと思いきや単に日和見を決め込んだだけのようです。
一応、集まったほかの怪獣に比べればだいぶ先輩なので、ちょっとゴジラに吠えてみたりするものの逆にゴジラに一喝されてしまいます。

怒られたラドン、ここで二度目の土下座を敢行。
一本の映画で二回も、しかも違う相手に土下座する怪獣が今までいたでしょうか。
劇中での経過時間にしても、一度目の土下座から二度目の土下座まで、ざっくり考えても24時間は経っていないでしょう。
一日二土下座です。
ラドンのメンタルは大丈夫でしょうか。

ベテラン怪獣、キャラ変に成功する

と、だいぶ駆け足でラドンの経歴を紹介しました。
振り返ってみると、海外デビューで一つ殻を破った感がありますね。
鳴り物入りでデビューしたがその後大スターにはなれず、それでも一応仕事もあるし目立つ場面もある。
そんな半端な立ち位置だった昭和期から、平成に入っても思うように突き抜けられず。
それが海外デビュー作において、今までの怪獣になかった新しい個性を獲得しました。
ゴマすり怪獣です。
ゴジラファンの間では、すっかり「ゴマすりクソバード」の愛称が定着しました。
この愛称、ラドンや怪獣とは全然関係のないアニメ作品が元ネタ。
つまり、怪獣映画とそのアニメの視聴者層がかぶってるんですね。
ちなみに僕自身も両方観ていたうちの一人。
アニメ一期で泣いて二期で怒ったクチですね。

それはそれとして、今までのちょっと扱いにくい先輩から、一気に親しみやすいキャラクターに生まれ変わったのは個人的に嬉しかったですね。
やっぱりラドンは孤高のイメージが強く、カッコいいけど堅物な雰囲気がありましたから。
イジッても大丈夫そうな先輩のほうが、実社会でも人望ありますしね。

まあ、初期の頃から他人に迎合しがちな側面はありましたけど。
ゴジラの言うことに「そうだそうだ」と便乗したりしてますし。
もしかして「キングオブモンスターズ」のドハティ監督は、このシーンからラドンのキャラクターを膨らませたりしたんでしょうか。
だとしたら、なんというか、スゴイとかそういう感情を通り越してラドンへの愛が重すぎて怖いですね。
はい。


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