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聴き比べたい楽曲提供作品とそのセルフカバー選~King Gnu「MASCARA」~

 常田大希がSixTONESに楽曲提供した「マスカラ」が、King Gnuにてセルフカバーされ話題となっています。

 「マスカラ」もですが、提供楽曲とそのセルフカバーを聴き比べると、同じ曲でも違いがあります。その違いを取り上げつつ、聴き比べて欲しい楽曲を紹介していきます。


1.SixTONES「マスカラ」→King Gnu「MASCARA」

 2021年、King Gnu/millennium paradeの常田大希は、現STARTO所属の6人組グループSixTONESに「マスカラ」を提供します。常田が、SixTONESへのリスペクトをこめて制作し、ベースに新井和輝、キーボードにはWONKの江﨑文武も参加しています。SixTONES6人の男性ボーカリストが湿っぽくもクールに歌うのが魅力的です。なおSixTONESの松村北斗がKing Gnu好きなことも双方のファンに知られています。

 2024年、ライブBlu-rayの特典CDとしてリリースされたKing Gnuセルフカバーとなる「MASCARA」は、音の密度が上がりつつ、井口の高いボーカルが女性的にも感じ、ニュアンスを変えた歌い方、常田のパートも原曲とはまた異なる歌い方です。

 個人的な感想としては、関係が上手くならない局面がSixTONESで、別れた後に思い出す様な歌い方がKing Gnuのように感じました。

 King Gnuのセルフカバーは他に、家入レオ提供作品のセルフカバー「Overflow」もあります。


2.私立恵比寿中学「愛のレンタル」→マカロニえんぴつ「愛のレンタル」

 女性アイドルグループ私立恵比寿中学は楽曲提供ミュージシャンの豪華多彩さ、若手のピックアップ力の高さにも定評がありますが、2019年、マカロニえんぴつから提供を受けたのが「愛のレンタル」です。

 はっとりにとっても初の楽曲提供ということもあり、自分たちが歌うことを前提に制作し、愛の貸し借りという本来無償のものであるはずの愛をレンタル感覚になってしまうというアイドルが歌うには醜さを感じてしまいかねない歌詞ながらも、むしろアイドルらしく歌いこなすえびちゅうという印象です。

 翌年2020年に、マカロニえんぴつによってセルフカバーされたVer.は、えびちゅうのライブでのバンドアレンジに、マカロニえんぴつサイドも参考にしたそうです。

 マカロニえんぴつはっとりによるボーカルは、冒頭の痰を吐く音にも驚きますが、上述した醜さの部分も醜さのまま表現している点、提供作品との聴き比べポイントです。

 えびちゅうは、提供者がセルフカバーしている作品も結構ありますので、聴き比べてほしいセルフカバーもたくさんありますのでご興味あればぜひ。



3.ももいろクローバーZ「クローバーとダイヤモンド」→C&K「クローバーとダイヤモンド」

 2018年、ももいろクローバーZが10周年の時に、記念したベストアルバム『桃も十、番茶も出花』がリリースされた際に、新曲としてリリースされました。10周年を振り返り今後の飛躍も誓うような楽曲には、「行くぜっ!怪盗少女」のフレーズも登場します。

 同じく10周年となった2019年にリリースされたセルフカバーは、終盤は全く違う展開をしつつ、ももクロと一緒で、ユニットの歴史を振り返るという点、C&Kに落とし込んだ形でのセルフカバーという点、両者の歴史を知りつつ聴き比べたいですね。

 ももクロも提供者によるセルフカバー作品も多く、またユニークなミュージシャンからの提供作も多いので聴き比べてみると面白いと思います。



4.原田知世「ヴァイオレット」→indigo la End「ヴァイオレット」

 多数のバンドへの所属と、多数の楽曲提供でも知られる川谷絵音。2021年に原田からの楽曲提供オファーを受けた際、某アニメを見た余韻を曲にしたいという想いを原田の歌声に合うと考え制作した曲ということです。実際原田の歌声と楽曲がすごく合っているように思います。なお、2024年リリースのアルバムでも、川谷は原田に「カトレア」という曲を提供しています。

 多数のバンドに所属する絵音。楽曲提供作品は多いものの、セルフカバーの機会がこれまでありませんでした。提供数が多いにもかかわらずです。唯一、夢みるアドレセンスに提供した「大人やらせてよ」をDADARAYがカバーしていますが、川谷参加のバンドではないので、”セルフ”とは言えません。

 2022年に、原田知世のカバーアルバムがリリースされた際に、indigo la Endによるセルフカバー作品も収録されました。しっとり歌い上げるような曲調も川谷の他のバンドよりかは、indigo la End向きの楽曲という印象ですね。

 川谷絵音が提供楽曲をセルフカバーするとなると、まずどのバンドでセルフカバーするのかなど、妄想が捗る部分もありますので、川谷バンドには、一度提供楽曲のセルフカバーを検討していただきたいですね。SMAP提供作とかゲスよりindigoよりが分かりやすかったし、あえての逆にセルフカバーも面白そうだし。


5.菅田将暉「まちがいさがし」→米津玄師「まちがいさがし」

 俳優でシンガーの菅田将暉。以前にもコラボしていた米津玄師提供の「まちがいさがし」は2019年にリリースされました。菅田将暉が歌えない曲じゃないと意味がないと米津が制作した楽曲は、菅田将暉への米津のリスペクトあってのこだわりも感じます。自分には合わないコード感で菅田に向けて制作しているとのことです。菅田の歌声の力強さが前向きな歌詞にもサウンドにも合っています

 余談ですが、菅田将暉の弟で「はいよろこんで」で注目されるシンガーこっちのけんとは、「まちがいさがし」の歌い出しのモノマネがうまいそうです。

  そんな自分向けには合わないコードを取り入れている楽曲のセルフカバーでは、原曲のフォークロック的楽曲に対して、海外のオルタナ・インディとリンクするような楽曲にと編曲されました。ボーカル始まりの原曲から、鳥のさえずりや、弦のフレーズがクセになるようなセルフカバーのイントロ。

 菅田将暉の楽曲提供元というと、石崎ひゅーいも上げられますが、「さよならエレジー」や「虹」とセルフカバーされているのも注目です。

 また、米津というと、「パプリカ」のセルフカバーも原曲とは編曲が大きく変わっていて注目ですが、嵐に提供している「カイト」のセルフカバーにも期待したいところです。



6.KAT-TUN「Real Face」→TMG「GUITAR HERO」

 2006年、6人組(当時)アイドルグループKAT-TUNがデビューした際に、作詞にスガシカオ、作曲にB’zの松本孝弘が楽曲提供し、ミリオンヒットを記録した楽曲です。アイドル歌謡ロックという印象で、当時のメンバーでラップ担当の田中聖がJOKERとしてラップ詞を担当しています。メンバーの変遷により、現在では上田竜也が別の詞でのラップを担当しています。

 同曲は、2011年リリースのスガシカオによるセルフカバーも存在し、JOKERのラップもそのままスガシカオが歌唱しています。

 2024年、松本孝弘が所属するTMGがセルフカバーし、ミュージックステーション出演時にも披露されました。一部で、「パクリでは」なんていう意見も出ましたが、メロディを引用した別歌詞カバーという形態であったため、作曲者を知らなかった方による勘違いが発生してしまったと思われます。

 メロディは紛れもなく「Real Face」にもかかわらず、歌唱者や英語詞、全体のアレンジにより、アイドル歌謡ロックから、洋楽ロックという印象に変わってしまうのはなんだか不思議な感じがしますね。



7.栗山千明「青春の瞬き」→椎名林檎「青春の瞬き」

 2011年、椎名林檎が多数楽曲提供している栗山千明へ向けて、表題曲「月夜の肖像」とともに提供された楽曲が「青春の瞬き」です。アレンジは椎名林檎、ストリングスアレンジには、椎名林檎作品にも多く関わっている斎藤ネコが担当しています。栗山の歌い方はクールに、椎名林檎のサウンドな楽曲に合った歌唱だと思います。

 そして、セルフカバーですが、まずは東京事変でもカバーしています。解散時のライブで披露されました。

 また、椎名林檎ソロでスタジオレコーディングでセルフカバーされています。このときの編曲は冨田恵一が担当しています。イントロのサウンドからのボーカルの入り方から、いかにも冨田ラボです。栗山ver.や事変ver.と比較しても、音がより細かく加えられており、深く聴きこみたいアレンジです。

 「青春の瞬き」は、テレビ番組SMAP×SMAPの最後のSMAPと他ミュージシャンとの共演作品ともなり、2016年の紅白歌合戦でも東京事変メンバーで披露するなど重要な場面で披露されており、林檎事変ともに披露されている作品となっています。

 椎名林檎は提供作品のセルフカバーも多くしています。ライブでのみ披露されている楽曲もありますし、音源化している曲もあるので聴き比べてみてください。


 最後に、話題にした楽曲聴き比べも(サブスクにない曲あり)



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