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【エッセイ】期待しないことで得られる平和

「期待するほど裏切られる。今日も、明日も、明後日も。」
そんな思いが頭をよぎる。

期待という重荷

目覚めると同時に重たい空気が部屋全体を覆っていた。

カーテンの隙間から差し込む光は、まるで期待に満ちた世界からの挑発のように感じられる。私は布団から這い出すのに、いつもより時間がかかった。

期待というものは、時として私たちの肩に重くのしかかる。それは誰かから与えられるものだけではない。自分自身が作り出す期待こそが、最も重い。

私は自分の人生に対する期待に押しつぶされそうになっていた。このままでいいのか、今後どうすべきか。答えのない問いに悩まされる日々。

そんな中で、ふと気づいたのは、期待しないことで得られる平和があるということだった。

期待を手放す勇気

期待を手放すことは、決して諦めることではない。それは、自分自身を解放する行為なのだ。

私は、ある日突然、期待という重荷を下ろしてみることにした。朝起きて、今日一日に何も期待しないことにしたのだ。すると不思議なことに、心が軽くなった気がした。

電車に乗り遅れても、イライラしなくなった。仕事でミスをしても、自分を責めすぎなくなった。友人との約束がキャンセルになっても、がっかりしなくなった。

期待を手放すことで、私は今この瞬間に集中できるようになった。過去の後悔や未来への不安に囚われることなく、目の前のことに向き合えるようになったのだ。

予期せぬ喜びを見つける

期待を手放すことで、思いがけない喜びに出会えるようになった。

例えば、雨の日。以前の私なら、晴れることを期待して落胆していただろう。しかし、期待を手放した今、雨の音を聴きながらゆっくりと紅茶を飲む時間を楽しめるようになった。

仕事でも同じだ。昇進を期待して必死に働くのではなく、今の仕事に全力を尽くすことに喜びを見出せるようになった。そうすることで、思いがけず良い評価をもらえることもある。

人間関係においても、相手に何かを期待するのではなく、ありのままの相手を受け入れることで、より深い絆が生まれるようになった。

期待しないことで、私は予期せぬ喜びを見つける目を持てるようになったのだ。それは、小さな幸せかもしれない。しかし、その小さな幸せの積み重ねが、私の人生をより豊かなものにしてくれている。

期待を手放すことは、簡単なことではない。それは、長年培ってきた習慣を変えることだからだ。しかし、一歩ずつ、少しずつ、期待を手放していくことで、私たちは自由になれる。

そして、その自由の中に、思いがけない平和が待っているのだ。期待に縛られない人生。それは、予想もしなかった喜びに満ちている。

私は今、毎日を新鮮な気持ちで迎えている。何が起こるかわからない。だからこそ、面白い。期待という重荷を下ろした私の足取りは、以前よりも軽やかだ。

そして、ふと気づく。期待しないことで得られる平和は、実は最初から私たちの中にあったのだと。それを見つけ出すのに、少し時間がかかっただけなのだと。

今日も、明日も、明後日も。期待せずに、しかし希望を持って、一日一日を生きていこう。そう思えた時、私の中で何かが変わった気がした。

30代の今、私はようやく自分自身と向き合えるようになった。期待という鎧を脱ぎ捨て、素の自分でいられる心地よさを知った。この気づきは、きっと私の人生を大きく変えていくだろう。

そして、この気づきを得た今、私は確信している。期待しないことで得られる平和は、決して消極的なものではないということを。それは、むしろ積極的に人生を楽しむための、新たな扉なのだと。

終わり


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