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ただの「最低でも〇円からですね」

taka

最近、腕時計の調子が悪く、電池を換えてもすぐに止まってしまうので時計屋に行って見てもらって来た。

時計屋といっても、おじさんが家族で営んでいるような町の時計屋のようなものではなく、某高級デパートに入っている腕時計専門店である。

高級感漂う店内に入ると、さすが高級デパートの腕時計専門店だけあって、ガラスケースの中には聞いたことのないようなブランドの時計が30万円や50万円で売られていた。

高級時計のほかにも、個性的な形をした腕時計や健康状態を測れる腕時計、デジタル決算ができる今どきの腕時計を始め、麻酔針が出る腕時計、妖怪と友達になれる腕時計などなど様々な時計があったものの、やはりどれも高額で私のような貧乏人が使う時計は隅の隅のほうで数点しか扱っていないようであった。

「・・・ここは私が来るところじゃない」

あまりの場違い感アタフタしているとスーツ姿のシュッとした40代くらいの店員が「腕時計をお探しですか?」と半笑いで話かけてきた。

なぜ半笑いだったかはわからないが、きっと私があまりにもお金を持ってなさそうな外見をしていたので、「お前なんてハト時計でも背負っていろ」とでも思ったのだろう。


「いや、実は・・・」と、その店員に事情を事細かに説明するとカウンター席のほうへ案内された。

席につき、さっそく持ってきた腕時計を見せると、ふむふむとブランドなどを確認したのち、「ちょっと見てみましょう」と言い腕時計を持って店の奥に消えていった。

きっと、奥で他の店員に
「ちゅうもーくwwこんな安物腕時計を持ってきた奴がいまーすwww」
などとバカにしているのだろうか、泣いちゃう。

そして、10分ほどして戻ってくると
「詳しくわからないので、一度バラしてから直す必要がありそうですね」
と言われ、続けざまに「ここからは料金が発生してしまうのですが・・・」と言われた。

私は「それはもちろんですよ、それで・・おいくらくらいですかね?」と、バックから財布を出し、100円玉を3枚ほど手にしながら尋ねると


「最低でも9000円からですね」

店員は笑顔でそう答えた。
ちなみにこの腕時計はamazonで18000円で購入したものである。

時計修理の相場はわからないが、さすがの私も動揺した。

きっとこんな高級店のことだ、そこら辺の修理工に頼むのではなく、すべてのパーツを手作りで作っている京都の山奥に住む伝説の時計仙人か何かに修理を頼むのだろう。

そうでないと信じられない値段である。

結局、18000円の時計に修理費9000円を払う決断が出来ず、「考えます」とだけ言い残し立ち去ってきた。

どうやら大金がないと時計の修理もしてもらえない時代になったようである。


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