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ただの「落ち込んだ猿を元気づけたい」

taka

動物園に行ったら群れから離れ、独りぼっちで死んでしまいそうなくらい肩を落とした猿を見つけた。

動物の心がわかる優しさを兼ね備えている私は彼を見た瞬間にすべてを悟った。

「ああ、振られたんだな・・・」と。
この肩の落とし方は振られた以外には考えられない。


きっと好きなメス猿をバナナデートにでも誘ったところ
「はぁ?もう今どき、バナナ食べてる猿なんていなんですけど?」
「ほかのオス猿はちゃんと栄養価を考えたデート誘ってくれるんですけど?

などとキツイ言葉を浴びせられ、振られて落ち込んでいるのだろう。

彼のすぐそばにあるため池は、最初こそ水飲み場だと思っていたが、きっと彼が流した大量の涙が溜まったものに違いない。

彼を見る前は「オス猿なんてメス猿をとっかえひっかえだろう?」と猿に対し、交尾狂のイメージしかなかったが、それはとんだ間違いであった。
光があれば影がある。
熱があれば冷がある。
モテる猿がいればモテない猿もいる。
そうだ、人間と同様、猿の中にもモテない猿はもちろんいるのだ。

私が猿にでもなれれば、すぐさま彼のもとに駆け付け、「わかるわかるぞ、私にはお前の気持ちが痛いほどわかる。確かに振られるのは辛いことだが、くよくよしても何も起きないことは事実。その振ったメス猿を後悔させてやるような素敵な猿になればいいだけだ」
と声をかけて、優しく肩を抱いてやったことであろう。

だが、生憎それはできそうにないので、「私も頑張るから、お前も頑張れ」という気持ちだけを伝えておいた。

次に会うときは、お互い彼女を紹介し合おうぜ。

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