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ざっくり分かるファイナンス~経営センスを磨くための財務(著/石野雄一)光文社新書

ファイナンスを勉強するときの入門書であったり参考図書として何が良いか?と聞かれたら必ずこの本を指名したくなる一冊でした。
ファイナンスを理解するために必要なアカウンティング用語と財務三表の建て付けの解説から入り、ファイナンス用語と企業(事業)価値をはかる方法を解説。noteに重要な部分を書き出すと小難しく感じますが、本をストーリー通り読み進めるとすごくわかりやすい本です!
最もnoteに書きだした自分の頭にとって再度良い頭の整理につながりました。

■もっとも印象に残った点=ファイナンスは何か?

ファイナンスって何者?の概要を理解することが最も重要である。

企業経営においては「企業価値を最大化」させる事が目的である。そのための意思決定ツールとして「投資・資金調達・配当」というファイナンスの道具を活用する。

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★<<So what>>

図から読み取れる考察を資本市場と企業の立場で整理する。
・”資本市場(=投資家)”が”企業”へ投資する動機は、投資を上回るリターンをえられそうだからであって、さらに言うと期待するリターンが得られると見込んでいるから継続投資するのである。
”企業”が”事業”に投資する動機は、事業を通じて実現したい未来があって、その投資投資をすることで資金的にもリターンを得られる見込みがあるからである。リターンを資本市場と企業内の将来事業へ再分配して価値を高めていくことで、企業価値向上につながる。
この投資とリターンの循環こそがファイナンスの原点である。

■企業が目指す期待収益率とはいくらなのか?

投資家が期待する収益率を上回ることである。
企業経営者の視点に立つと、投資家の期待収益率のことを”資本コスト”とよぶ。資本コストの代表的な計算方法としてWACC(Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト)がある。つまり、資金1円を調達するのにいくらのコストがかかっているかを示すものである。
また、企業の資金調達方法を2種類に分類すると、借入(銀行、債券など)と株式による調達があり、各々の性質の違いにより期待収益率=コストが変わってくるので、そのコストを加重平均したものがWACCとなる。
私は、超ざっくりではあるが日本企業(ベンチャーなど除く)においてのWACC=5~8%とイメージしている。

★<<So what>>

我々が企業経営する際に必要な期待収益率は5~8%以上を獲得しなければ企業価値向上にはつながらない、と肝に銘じておかなければいけない。

◇Memo◇

WACC計算に関連した計算式
・WACC=D÷(D+E)×(1-t)×rD+E÷(D+E)×rE
 D=負債総額(借入)、rD=負債コスト、E=株式時価総額、rE=株主資本コスト、t=税率
・rE=リスクフリーレートrf+マーケットリスクプレミアムMRP×β+サイズプレミアム
 ざっくり計算でrf=2%、MPR=5%、β=TOPIXより変動の大小、サイズプレミアム=0~3%
・D÷(D+E)やE÷(D+E)は目標負債比率や類似企業(事業)負債比率を適用することも多い。

■企業の資本コストは下げることができるのか?

そのためには投資家のリスク認識を下げること。すなわち、IR(Investor Relations)活用により、適切な企業情報を適切なタイミングでディスクローズすることが必要である。

当然、我々の一般生活における投資や何かの購入の時と同じイメージです。適切なイメージがある買い物と全く闇の中の買い物ではリスク認識が違うってことです。

■企業価値(会社の値段)とは何か?

「投資家にとっての企業価値」。投資家=債権者と株主。すなわち、企業経営者は、投資家にとっての企業価値を最大化するためにはどうしたらいいのかを考え、実行することである。

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■企業(事業)価値算定はどうやって算定するのか?

代表的手法がNPV=企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値である。
NPV=「将来CF(キャッシュインフロー)の現在価値」から「必要投資額(キャッシュアウトフォロー)の現在価値」をマイナスしたもの。
FCF=営業利益×(1-t)+減価償却費ー投資ー運転資金の増加額
事業価値=Σ(FCFp/(1+WACC)^p)

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★<<So what>>

企業経営者や事業にかかわるものとして、企業価値・事業価値を常にモニタリングすることが必須である。目標設定が定量化されてない経営・事業は絶対に方向感がボケる。そのためにはファイナンスを活用した価値算定を活用し目標値の定量化とモニタリングがMustである。
また、「企業価値を上げるために、将来FCFを増やすこと&WACCを下げること&成長率の高い市場で事業すること」を目的とした行動をとり続けなければいけない。

■書籍

■読書記録(2020/5~)
・Jun/3/2020
・累計:6冊目

以上


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