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英語で投稿するSNSを作った話

こんにちは。これが初めての投稿になります。

ここ数年の間、「気軽に英語で投稿できるSNS」というものを作っていたので、その話をしようと思います。

キッカケ

僕は、2010年に日本からアメリカのシリコンバレーにあるゲーム会社へ転職し、アメリカでの生活を始めました。

アメリカには行ったものの、僕は学生の頃から英語がとても苦手でした。初めて就職する時も、英語が入社試験に無い会社を選ぶほど、英語から逃げていました。アメリカへ渡る年に初めて受けてみたTOEICは400点くらい。中学英語がなんとかわかるかな、どうかな?くらいでした。

アメリカの会社での初日は、「How are youなんちゃらかんちゃら?」と聞かれてもそれすら聞き取れずに、しどろもどろしていたのを覚えています。(そんなレベルでなぜ転職できたの?という話はまた別の機会にでも)

その後、まさか自分が起業することになるとは想定もしていませんでしたが、多くの人に助けられながらも小さな会社を起業して、いろいろなアプリを開発しながらアメリカでの生活も5〜6年が経過しました。しかし、英語を覚えることはあいかわらず苦手で、どうにかテクノロジーの力で簡単に覚えられないかなぁと思っていました。

英語のドキュメントを読んでいる時、わからない単語があったらとりあえず辞書で調べます。でも僕の場合は、調べた時は意味を理解しても、翌日には忘れてしまっていることがよくありました。

「あれ?この単語、前にも調べたような・・・」

ということの繰り返し。なかなか身につきません。

そんなある日、小さなアイデアをひらめきました。スマホのプッシュ通知(スマホの画面に突然ピコーンと届くアレです)を使い、調べた単語を忘れた頃に送ってくるようにしてみてはどうだろうと。プッシュ通知が届いた時に、再び単語の記憶が呼び起こされ、記憶に定着しやすくなるのではと。

早速テスト版のプログラムを書いて試してみたところ、なかなか良い感じに楽をして覚えられることがわかりました。テクノロジー万歳です。これをアプリにしてリリースすることも考えたのですが、この機能だけでは事業にできないことが想定されたので、もう少しちゃんとしたアプリにしようと思いました。

当時、英語の練習のため、FacebookやTwitterに時々英語で投稿していました。これはこれで僕にとってはアウトプットの良い練習になっていましたが、一方で、僕のタイムラインを見る日本の知人からは、返信もしづらく面白くなかったのでは思います。

そこで、いっそのこと新しいSNSをゼロから作り、気軽に英語で投稿できる場所を作ってしまおうと思い立ったのです。

それから2〜3年の間、試行錯誤して開発を続け、日本に帰国する変化などもありつつ、ようやく英語で投稿できるSNSのEnglyができあがりました。これに合わせて、日本で株式会社Englyも設立することにしました。

Engly(イングリー)

https://engly.com

Englyでは、日常の出来事などを英語で投稿することができます。みなさんの投稿がタイムラインに表示され、他のユーザーと英語でコミュニケーションすることができます。その中でわからない単語などがあればタップするだけで意味が表示され、プッシュ通知で効率的に覚えることができるようになっています。

Englyの中で一番大切にしていることは、英語を間違えてもいいという空気です。

僕の個人的な経験になりますが、学生の頃に英語を苦手になったきっかけは、授業で英語を間違えたら笑われたり恥ずかしい思いをしてしまうことでした。

間違えないようになることはもちろん大切ですが、練習を継続することの方がもっと大切で、その継続のためにはポジティブな感情(楽しい、褒められた、成長できた実感等)が大きな後押しになります。間違いをネガティブに評価する環境では、自発的に継続していくことはなかなか難しいかもしれません。

そのため、Englyでは「間違えても大丈夫」というメッセージをみなさんに伝え、気軽に英語の投稿やコミュニケーションを楽しめる空気を大切にしています。Englyは、英語の試験場所や誰かから評価を受ける場所ではありません。間違いは気にせずに、まずは投稿してみて、コミュニケーションを楽しみましょう。そして、徐々に英語を使うことに慣れていきましょう。という感じです。

シリコンバレー在住時に感じたことが一つあります。アメリカの中でもカリフォルニア特有のことかもしれませんが、僕の周りには、アメリカ人をはじめ、インド人のエンジニア、中国人のコスプレイヤー、韓国人の弁護士、スペイン人の大学生などいろいろな国の人がいました。アメリカの英語、インドの英語、中国の英語、韓国の英語、スペインの英語、それぞれ特徴のある英語が混ざって使われていました。また、英語が母国語ではない人たちも、母国である程度喋れる状態であることが多いように感じました。つまり、母国で既にある程度喋れる英語脳ができており、各国特有の英語のなまりは、現地で徐々にこなれていく。というステップになっているように感じました。

日本では学校を卒業後に英語を使うには、英会話教室に通ったり、オンライン英会話をしたり、英会話喫茶などを探す必要があります。毎日、気ままなタイミングで、他愛もない日常会話で英語を使う機会というのはあまりないのではと思います。

そのため、実際に英語が必要になる機会、例えば、海外出張や海外旅行のようなイベントがあると、いきなりネイティブスピーカーと本番の会話をすることになってしまいます。これはなかなか緊張する大きな壁です。その前に少しでも準備ができていれば良いのですが、そのためには、教室に通うなどそれ相応のがんばりが必要でしょう。

そこで、日本にいながら簡単に日常的に英語に触れられる場所として、まずはEnglyが一つの選択肢になることを目指しています。

今日、歯医者さんで歯を4本抜いたこととか、路地裏で猫にパンチされたとか、何気ない日常の出来事を英語で投稿してみると、他のユーザーから英語でコメントがもらえ、コミュニケーションが生まれ、英語での会話を繰り返すことができます。

このように、日常生活の中のちょっとした合間にスマホを使って英語に触れ、英語でアウトプットする。これを繰り返しているうちに、徐々に生活の中に英語が染み込んでいきます。気づけば、日頃からいろいろなものを英語で表現することが習慣になってくるでしょう。

こういった英語の習慣化によって、海外でいきなり本番英語というギャップを和らげることもできるのではと考えています。

Englyは現在38,000人ほどにご利用いただいています。このコミュニティが将来もっと大きくなったとき、日本の英語というものが形作られ、徐々に一般化して、海外へ行くときはなまりが気になる程度、という風になっていれば良いなと願い、開発を続けています🐣


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