tak200tak@日本の半導体産業復活・再生を応援する

キャリアスタートは半導体技術誌の記者です。日の丸半導体が世界を席巻していた頃を知るだけ…

tak200tak@日本の半導体産業復活・再生を応援する

キャリアスタートは半導体技術誌の記者です。日の丸半導体が世界を席巻していた頃を知るだけに今の状況は信じられません。一つの産業が滅ぶか生き残るか本当の崖っぷちです。何ができるかわかりません。できても微力も微力。役に立たないと思いますが、日本の半導体復活の道筋を勝手に探ります。

最近の記事

MultiーLayeredーEngineer

シニアのリカレントというものがある。要はシニアになっても学ぶこと・学び続けること。自分の専門とは違う分野や違うレイヤーのことを学び、ある程度知識を血肉にできていくと見える景色が違ってくる。こうなれば、濡れ落ち葉にならず世のため人のために役立てる機会が増え、自分にも周りにもいいことがあるんじゃないか、ということだ。 これと半導体産業復活とどう関係するかというと、大いに関係すると思っている。シニア・中堅の技術者・研究者が、自分の分野を深め技術のレベルをどんどん深掘りするのは当た

    • 日の丸半導体再生PJのリーダーは誰か?

      日本の半導体産業復活に向けて、行政が本気になっている。文科省がアカデミアに、経産省が企業(メーカー側とユーザー側)に大きな予算を投入しようとしている。しかもこれまでになく省間の連携もしてくれそうだ。 兆円単位で予算を入れる米台韓と比べればまだ足りないとは思うが、これまでに比べればずっといい。今後さらに予算は増えるはずだし……。過去の失敗をあげつらい皮肉や冷笑を浴びせるような声にはとらわれないようにして、ここは素直に期待したい。 あとは入れるリソースを実効的に産業再生に結び

      • 技術者をちゃんと遇する仕組みが必要だ

        昨日、台湾経済の専門家とオンラインで情報交換をしていて、(悪い意味で)心に刺さる話を聞いた。台湾で半導体関連の技術者、エンジニアを目指す学生たちは日本は観光で行くにはいいところだし実際に観光の目的地として人気もあるけれど、自分が働くところではないし日本では働きたくない、とみんなが口を揃えて言う、というのだ。 この話を聞き、先日、『ソニー半導体の奇跡』という本で読んだエピソードを思い出した。ソニーは、積層型CMOSイメージセンサーのキーマンで功労者だった人を、ちょうど会社全体

        • 技術エコシステムの再建が求められている

          半導体技術者のネットワークは易々と軽々と国境も同盟関係も超える。だから日米同盟も大中華圏、どちらに与するかということは長期的には意味があまりない。中国のデカップリングはムリなのではないかと個人的には思う。 とすると、日本はどうすればいいか。最先端を生産できなくても技術的に離されず付いていくことがますます重要になると感じる。周回遅れにさえならず技術のエコシステムを保全できれば、いざという時に資本と人の投下で短期間でキャッチアップはできるんじゃないかと。少し楽観的すぎるかもしれ

          トヨタとNTTの新戦略が「日の丸半導体」の再生を大きく後押しする

          個人的には、この10年のうちに日本の半導体産業を再生できるか否かが日本の行く末を決めると強く思っている。再生できなければ20年後の日本の子どもたちは飢えるかもしれないという最悪の未来だってあり得る。 もしトヨタを始めとする国内自動車産業がこの10年で競争力をなくしたらと想像してみてほしい。外貨を獲得する手立てを失い石油も半導体も食料さえも買えない日本、そんな現実が目の前に姿を現す。 ただ、半導体を「つくる」という観点から今の状況を見ると、去年からの日本の動きは悪くない。ま

          トヨタとNTTの新戦略が「日の丸半導体」の再生を大きく後押しする

          半導体の「技術のアゴラ」を再構築する

          昨年一年、あれこれ半導体関係の方々と話をし自問自答もしてきて、自分の考えが少しまとまってきたので、日本の半導体産業を復活・再生するために自分なりにできること、その手立てについて書いていきたい。 昨年、世界最大手ファウンドリーTSMCの熊本誘致が決まり、最先端ではないけれど一つ大きな成果が出た。まずは最初の一歩である。世論は少しこれで落ち着いてしまった感があるが、今後、2の矢、3の矢はもちろんのこと、これから延々と有効な矢を放ち続ける必要がある。 政府・行政は予算を付け、支

          半導体の「技術のアゴラ」を再構築する

          日本の半導体は一度滅びたことに

          日の丸半導体を復活させようという意識を官民で共有できた。ただ、今の日本の半導体産業は周回遅れどころか自壊し焼け野原になっている。「日本は凄かった」などという過去のプライドは邪魔になる。国の基幹産業を0から興こす設計指針の下、後進国としてTSMC、サムスン、IMECに学ぶ仕組みと年10兆を10年入れ続ける巨大プロジェクトが必要ではないか。資金は少し法律を変え国債で集め、後の民営化でリターンすばいい。

          TSMCが日本に前工程!?

          TSMCが日本に前工程を含む半導体工場を作るという記事。微細化レベルは28nmで主にイメージセンサーを作るという。まずは大歓迎したい。ただ、本当に欲しいのは、贅沢かもしれないが、最先端に近いところでSoC(System on a chip)が作れる工場。3nmはムリでも10nmは欲しい。後、あくまでTSMCであることは忘れてはいけない。純国産の拠点は絶対的に必要。 #日経COMEMO #NIKKEI

          100%日本資本のファブが必要

          朝日1〜2面で半導体特集。記事はバイデン大統領が米国100%資本のスカイウォーターというファブが作ったウェーハを掲げるところから始まる。100%米国資本というのがミソだ。サイプレス由来でGoogleとも繋がる会社で微細化レベルはTSMC(3nm)から比べると何世代も古い90nm。ここを基点に3次元積層技術を積み上げる。日本も閉じようとしてる半導体工場が国内各地にある。これを使って同じことができる。

          半導体公社か産総研か

          少し前に、日本の半導体技術開発、特にSiウエーハ上にLSI回路を刻む「前工程」、パッケージ化・回路実装等の「後工程」の開発を進めるには、各地・各社に散っている優れた半導体技術者を結集する必要があると書いた。どこに集めるかが鍵だが、東氏が言うように産総研のTIA推進センターがいいかもしれない。ここに人・物・金を集め、技術公社的なものへ発展改組するのがいい手に見える。 #日経COMEMO #NIKKEI

          国内に技術、成果が残ることが大事

          シュミット氏が言うように、日米(台湾や欧州含む)の先端技術協力は絶対に必要で、日本も最大限の寄与をすべきだ。ただ国内各社が恩恵を受けられるよう開発上流から下流の生産に至るテクノロジーチェーンの整備・構築が欠かせない。特に半導体回路設計に関しては、東京大学システムデザイン研究センター(d.lab)と先端システム技術研究組合(RaaS)が最有力というか、一択と考える。 #日経COMEMO #NIKKEI

          まずは国内に残るメーカーを守り強化する

          半導体復興の主体はどこ?この問いへの答えはこの記事中にある。「まず頑張っている企業を強くしていくのが重要だ」というキオクシア早坂社長の言葉がそれだ。少なくとも前工程に関するアウトプットは、キオクシアとルネサス、半導体大手の生き残り2社と国内中堅メーカーの収益と競争力を引き上げるために使われるべきだろう。ゼロスタートの国内ファウンドリーは半導体公社が1つの解と思う。 #日経COMEMO #NIKKEI

          まずは国内に残るメーカーを守り強化する

          「半導体公社」を作るべき?

          国と経産省が過去の失敗を反省し、大きな予算を付けて半導体復興をやろうとしている。問題はどこが主体になるか?つまり、どこが中心となれば日本が半導体で世界に欠かせないキープレイヤーに戻れるかだ。前工程なら今残るメーカー中心になるが、どこも苦しそう。極論は、予算と優秀な頭脳を1カ所に結集して、後で民営化する時限付きの「半導体公社」を作ることだが、それではエルピーダとルネサスと同じ轍を踏みそうだ。(続く)

          3人のインド人CEO

          『朝日Globe』を見てなるほどと思ったこと。Google、Microsoft、IBMのトップがインド人であることは有名だが、半導体技術まで深く理解している(はず)ことはあまり知られてはいないだろう。ピチャイ氏の卒論は半導体の熱処理。ナデラ氏もマンガロール大での専攻は電気(電子)工学。クリシュナ氏は開発担当として半導体材料開発を担った。ITの上流だけでなく下流もネイティブ級だという事実は軽くない。

          過去の失敗を踏まえられるか!?

          この記事を見ると、国も経産省も過去の失敗を反省してコトに当たろうとしている。何とか成功するよう祈るばかり。後は、誰をリーダーに、どこにどんな組織の実体を作るか。アウトプットはあくまでも半導体復活の橋頭堡を作ること。中心が後工程でも前工程でもいい。前者ならつくばのTSMCか。後者ならキオクシアかルネサス、マイクロンあたり。いずれにしても国内に成果が残ることが肝心だ。 #日経COMEMO #NIKKEI

          8年前の『日本「半導体」敗戦』。すべての国家プロジェクトが失敗に終わっていた

          半導体復興議連ができ、巨額の国家予算も付きそうと喜んでいたが……。過去のプロジェクトを整理してみようと読んでみた一冊を前に呆然としている。元日立の半導体技術者でこの分野の論客・湯之上隆氏の8年前の著作『日本「半導体」敗戦』。8年前の内容など古いと思うかもしれない。でも、書かれていることは今、本質を鋭く突いて読む側に迫ってくる。政府と行政は本書に記された日本の失敗を深く反省することから始めるべきだ。

          8年前の『日本「半導体」敗戦』。すべての国家プロジェクトが失敗に終わっていた