見出し画像

RIKANOID RIKANOIA

「RIKANOID RIKANOIA」は「遥梨華乃(ハルカリカノ)」というキャラクターが、情報として音楽の中に組み込まれているというコンセプトの、メディア・ミックス的なエレクトロ・ポップです。全4章からなり、すべてを1つのトラックにまとめています。

1章 モールス・リズム「ねえ、わたしはリカノ」
2章 圧電効果(Piezoelectric Effect)
3章 翔べないアンドロイドの運動を助けるために
4章 リカノの二つの夢(謎の要塞&ワルツ・リカノ)

1章は、下のテキストをモールス符号に変換し、それをリズム化して演奏。

Hey, I am Rikano.(ねえ、わたしはリカノ)
Always beside you.(いつだって、あなたのそばにいる)
You don't notice maybe.(たぶん、あなたは気づいてくれない)
Though rhythm has told it. (リズムは伝えているのだけれど)
Dazzling dancing.(眩しく踊っているんだ)

3章:ボカロ歌唱曲「翔べないアンドロイドの運動を助けるために」

遥梨華乃はこう考えた
翔べないってことはないと
さあ 動いて アンドロイド
信号を読み取ってその位置を計る
いまならもっと自由に制御できるかも
微かに光る それは「スタート」の文字

また、この曲には歌詞とは別に詩がついている。

スタート・アンドロイド

波のうねりが砂を巻き上げ連れ戻し引いたあと
帝国の楼閣は吹きすさぶ風に侵食されつつ姿を表す
アンドロイドはカプセルの寝具のなかで
半透明な膜が周期的に呼気する時間と戦いながら眠っている
千年の時が水晶の中に閉じ込められて静止していた
物体は輝かずに 暗い 光ではないものを発している
電光掲示板の中の絵がかすかに「スタート」の文字を発光させると
動かないはずの壁面が建物から分離し 苔をそぎ落とし 離れ 合体する
すると まだ現れていない蝶がジグザグな飛行を開始し
翔べないアンドロイドの運動を助けるために
空間を切り刻みながら音階の導く室内へと入ってくる
そこには肉体のない彼女の器官が調和を腐らせ息をしていた
蝶は命ではなかったが 見えたので 無ではなく 運動だけで生きているわけではない
彼女は夢を蝶のなかにいれて活動の振幅をつかもうとする
ジグザグが距離になり 計れない 軌道を残し そしてまた 翔び
繰り返しが徐々に夢のかたちを鮮明にしていくと
楼閣がうねりのなかで引きながら迫ってきて
対立項の一方へと引き寄せられていく

ほかに、波形のスペクトログラムを表すとタイトル文字「RIKANOID RIKANOIA」が浮かび上がるノイズなども。

[キャラクター] 遥梨華乃(ハルカリカノ)[♀年齢不明]

■ 備考:「モールス・リズム」について

「RIKANOID RIKANOIA」の1章で、モールス符号をリズム化して演奏する方法を試しているのですが、どのようなやり方で行ったかを、こちらで簡単に説明します。

モールス信号とは、無線などで使われる「トン・ツー」というあれですが、有名なのはSOSの「トトト・ツーツーツー・トトト」などがあると思います。「トトト」が「S」、「ツーツーツー」が「O」の文字に対応しています。モールス符号は、文字を「ト」と「ツー」の二つの発信音に置き換えて通信するための手段なのですが、これを音楽のリズムに置き換えられないかというのが「モールス・リズム」のアイデアになります。モールス符号には元となる文字が必要になるため、何らかのテキストを最初に用意しなければならないので、以下のようなものを書いてみました。

 Hey, I am Rikano.
 Always beside you.
 You don't notice maybe.
 Though rhythm has told it.
 Dazzling dancing.

これをモールス符号にすると、

・・・・ ・ -・-- --・・-- ・・ ・- -- ・-・ ・・ -・- ・- -・ --- ・-・-・-
・- ・-・・ ・-- ・- -・-- ・・・ -・・・ ・ ・・・ ・・ -・・ ・ -・-- --- ・・- ・-・-・-
-・-- --- ・・- -・・ --- -・ ・----・ - -・ --- - ・・ -・-・ ・ -- ・- -・-- -・・・ ・ ・-・-・-
- ・・・・ --- ・・- --・ ・・・・ ・-・ ・・・・ -・-- - ・・・・ -- ・・・・ ・- ・・・ - --- ・-・・ -・・ ・・ - ・-・-・-
-・・ ・- --・・ --・・ ・-・・ ・・ -・ --・ -・・ ・- -・ -・-・ ・・ -・ --・ ・-・-・-

となります。点(・)は「ト」、線(ー)は「ツー」の部分です。また、モールス信号には次のような決まりがあります。

 1:一線の長さは、三点に等しい。
 2:一符号を作る各線又は点の間隔は、一点に等しい。
 3:二符号の間隔は、三点に等しい。
 4:二語の間隔は、七点に等しい。

これを音楽のリズムに置き換え、「・」ひとつが8分音符(一点)、「ー」ひとつが付点4分音符(三点)、各「・」「ー」の間には8分休符(各線又は点の間隔として一点)がはいり、ひとつの文字の終わりには付点4分休符(二符号の間隔として三点)がつく、ということにしました。

さらに、文字ひとつにつき、ひとつのコード(和音)を割り当てました。たとえば、「a」という文字にはA(メジャー)、「k」は「Gb」というふうに、表を作ってコードを対応させてみました。ただし、このやり方に関しては、演奏中、使っている箇所と使っていない箇所があります。

さて、テキストには、文字と、その集まりである単語、さらに単語が集まって文ができているわけですが、これは次のように考えてみました。

ひとつの文字が1小節に対応する。
単語と単語の間には、1小節(2/4拍子)の空白が入る。(文字の終わり付点4分休符と合わせて二語の間隔七点)
文(行)の終わりにはピリオドを打ち、1行ずつで、やり方を変えて演奏する。

ピリオドのモールス符号は「・-・-・-」となるのですが、これが鳴ったら、つぎの行(演奏)に進むという感じです。ちなみに拍子は出だしの「Hey,」の部分なら、5/4→2/4→8/4→11/4、と文字によって規定されながら変わっていきます。以降、1章の終わりまでずっとこの調子で続いていきます。

名称未設定 1

上の譜面は「RIKANOID RIKANOIA」で実際に使ったモールス・リズムの一部です。譜面上部の記号はコードではなくモールス信号。抜粋した部分の単語は「maybe.」。この個所ではスネアがリズム(モールス信号)を打っています。

■「RIKANOID RIKANOIA」は、2014年10月08日に配信リリースされた同タイトル・アルバム『RIKANOID RIKANOIA』収録曲です。

RIKANOID RIKANOIA
[Link] [Lyrics]

サポートいただけたら大変ありがたいです!いただいたサポートは、音楽を続けていくための活動費に使わさせていただきます。