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SNSは苦手?~Bリーグ決算考察⑤ 琉球ゴールデンキングス 配分金編~

どうも。プロスポーツがどうやって稼いでいるのか、おはようからおやすみまで四六時中考えているTaiyoです。

前回のnoteは、2016-17シーズンより2018-19シーズンまで3シーズンの琉球ゴールデンキングスの決算報告をもとにユース・スクール関連について掘り下げました。キングスのスクール事業はBリーグ開幕以降から始まってまだまだ小規模である事、スクール事業は利益を上げづらい事、そもそもスクール事業はBリーグ自体が推進しており、その目的は単なる強化だけではなく、Bリーグの「バスケを観る人」を育てる種まき事業である事を述べました。

では、今回のnoteはキングスの配分金(賞金除く)について掘り下げます。

配分金(賞金除く)
2016-17 ¥74,416,000(1位 / 9.92%)
2017-18 ¥75,499,000(1位 / 9.15%)
2018-19 ¥56,176,000(3位 / 6.87% )
 ※カッコ内は(B1クラブ内順位 / B1配分率 )
 ※2018-19は川崎の決算額が1年分ではないので誤差有り

配分金とは、Bリーグ全体の収益を各クラブへ分配する仕組みであり、各クラブへの分配比率は一律ではなく差をつけた傾斜配分となっています。2018年度決算のB1最低額が3千万、B1合計が約8億1700万となっています。

B.LEAGUE 2018-19シーズン(2018年度) クラブ決算概要

キングスは配分金B1ランキングは、1位・1位・3位と常に上位です。では今後もキングスに配分金がっちり!なのでしょうか。実はそうとも言えない状況です。今回は特に配分金と関連が深いクラブのSNS運用について掘り下げます。

配分金の分配基準はSNSによる集客力

下の記事でBリーグ理事(当時)の葦原一正氏が語っていますが、配分金も集客力のあるチームに比重を置いていて、その基準が8項目あるとの事。その例として
各クラブチームの公式WEBサイトに設置されたチケット購入ページから購入されたチケットには少し配分金を増やしている。
各クラブの公式アカウントのフォロワー数が増えたら少し上乗せする。

Bリーグは戦略として「スマホファースト」を掲げています。従来のテレビ地上波・新聞・既存プレイガイドの紙チケットではなく、スマホをプラットフォームとしてOTT(インターネット動画配信)・SNS・独自web販売サイトによる電子チケットが中心です。

これは


SNSの拡散力によりBリーグに触れる機会を増やす
ネット動画(ショートクリップ・試合中継)によりプレイ視聴を手軽にする
③ ①②でBリーグに興味を持った人を独自webチケットサイトに誘導してアリーナを体験してもらいリピーターになってもらう


というBリーグの顧客獲得動線であり、各クラブにもその戦略に沿ってもらいリーグ全体として顧客増大を目指しています。そのため配分金項目にSNSフォロワー数・公式webサイトからのチケット購入が含まれているのです

note_Bリーグスマホファースト戦略 (1)

よって配分金獲得のカギは、スマホファーストの第一歩である公式SNSをどう運用するか、にかかっていると言えます。

では、キングスの公式SNSの運用を見てみましょう。

SNS運用は苦手?やる気がない?

Bリーグ 2019年12月度のSNSに関するレポートです。

画像1

0010SNS増加

出典:B.LEAGUE Monthly Marketing Report 2019年12月

なんということでしょう。SNSフォロワー総数はB1で3位につけているものの、11月のSNSフォロワー増加数はB1で17位(下から2番目)です

キングスのfacebook、Twitter、Instagram、YouTube、LINEの公式アカウントを見てみましょう。

公式SNSアカウント集

各SNSアカウントの最終更新日(2019/12/24現在)は以下

facebook:2019/10/1
Twitter(@RyukyuKings):2019/12/23
Twitter(@RyukyuKings_2):2019/12/23
Instagram:2019/5/14
YouTube:2019/12/22
LINE:不明

Twitterの更新頻度こそ高いものの公式からの告知や試合結果が大部分facebook、Instagramは今季一度も更新されていません。公式YouTubeチャンネルも更新はありますがバスケットLiveの試合ダイジェストだけで独自制作した動画はほぼありません。

おそらくですが、キングスのSNS運用は専任担当者などはおらずTwitterアカウントも属人的に運用していると思われます。つまりSNS運用にほとんど注力していないのです。公式webサイトの更新が中心で、SNSは更新の通知が主目的になっています。

SNSをある意味軽視しているような運用は、好意的に受け止めれば人的資源の選択と集中とも取れます。SNS運用はクラブが公式リリースとして使うのは我々個人がSNSを使うような手軽さでは出来ません。その双方向性により一歩間違えば炎上するようなリスクもあります。

特に、今は会場集客率が毎試合100%のキングス。SNS運用に投資してもこれ以上チケット売れないなら投資リターン率を考えてもそこまでSNSに注力しないのも理解できます。

でも、そんなのつまんないですよねー!!

公式Twitterアカウントをわざわざ2つ運用しているのも、それぞれのTwitterアカウントが同じような発信をしているのも意味わからないし、facebookやInstagramにいたっては「あれ?試合してないのかな?」と思われるような運用はせっかくフォローしてくれたファンは悲しいですよね… YouTubeチャンネルは作ってみたけど取り合えずリーグから素材もらってUPしとけばいいか、みたいな。

キングスはやればできる子(コンテンツ制作も)

キングスはクリエイティブな事が苦手なの?と思いきや、実はそんなこともないです。今までキングス制作のティーザー動画をどうぞ。

どうですか!!クオリティ高めでしょ!やればできる子なんです。ただちょっとやる気が続かないだけなんです(県民気質)せっかくこんなカッコイイ動画作ったのになんでYouTubeに上げてないんだよー。。


少し考えてみると、SNSは即時性が売りの発信ツールですから、クオリティを担保しつつ更新頻度を上げていくのはかなりハードルの高い作業なのかもしれません。そしてそのためにはやっぱりSNSに人的・経済的な投資が必要だという結論になってしまいます。

SNS戦略を見直す機会になる新アリーナ

スポーツイベントプロデュサーの佐藤奨氏は、読売ジャイアンツのSNS発信についてnoteで以下のように語っています。

>ファンの創出(増加)は、そもそものコンテンツの方であり、SNSはファンのオンライン上の溜まり場が役割だなと感じます。

沖縄県内ではすでに絶大な人気と知名度を誇るキングス。新規ファンの取り込みのためにSNSに注力する事は、現時点では費用対効果に合わないのかもしれません。現在のキングスにおいてSNSはファンとの接点の補完的な場所で十分です。

しかし、2019-20からの新アリーナ移転時にはアリーナキャパシティが一気に増えます。全国的な知名度を獲得する絶好の機会であり、知名度を獲得しなければアリーナを埋める事は出来ないかもしれません。昔のようにテレビ地上波は期待出来ない以上、見込み顧客との接点を増やし、アリーナへの来場をアプローチするのはSNSしかありません。その時キングスはどんなSNS戦略を取るのでしょうか。

離島県というハンディを、逆にアジアからの距離的優位性を活かした海外向けSNS戦略がスタートしたら夢が膨らみますね。動画は言語の壁を越えますから、今後はやはり動画発信が主流になるでしょうね。

いかがでしたでしょうか。Bリーグは「スマホファースト」の戦略を取り配分金分配率もそれを重視しているので、配分金向上のカギはスマホファーストの第一歩である公式SNSをどう運用するかである。そして、キングスは現在SNS運用に積極的ではないものの、新アリーナ移転後は新規客獲得のためにもSNS戦略は重要になるでしょう

次回はキングスの営業収入(その他)の項目について掘り下げてみたいと思います。

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