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スタジアムの芝生まとめ

NFLとMLSはスタジアム共用してるのに何故Jリーグとラグビーはそうしないんだろうと常々思ってたTaiyoです。

芝生が傷む、だから他競技で使わせたくない

これがJリーグとラグビーがスタジアム共用しない理由として一般的です。

でも私、じっさい芝生の事ほとんど何も知らないので色々調べてみました。

何となく分かってきたので調べた内容をまとめサイト的にリンク張っていきます。情報がバラついてるかもしれませんがご了承を。

欧米人は芝生が命

芝生、英語ではLawnGrassTurfsodって単語もあります。

ちなみに Lawn は庭の芝生のようなイメージ、Grass は芝生の草(だから草の根運動をGrass Rootsと言う)、Turf は芝生の表面のイメージ。sod は天然芝をくり抜いた平板状のもの。なので芝生張りを sodding と言ったりします。Lawn のイメージから芝刈り機が Lawn mower って言うのも何となく分かりますよね。

日本語と同じで、一見同じようなものを示す多くの単語や言い回しがあるのは、その文化にとって大事なものである証です。

欧米人は日本人の想像以上に芝生に命かけてます。おそらく庭の芝生がいかに手入れされているかが富の基準だったりするはずです。日本人にとっての鯉が泳いでる庭の池みたいなイメージかな?

ハイブリッド芝って何なのよ?

芝生をスポーツ用途で考えると、天然芝人工芝ハイブリッド芝と大きく3種類。でもそれらが本当にどんなものなのかってちゃんと説明するのって、ちょっと難しいですよね。

特にハイブリッド芝、これって天然芝と人工芝を混ぜたものでしょ?くらいの認識しか持ち合わせてなかったので、芝生命の欧米のサイトで色々調べてみました。するとけっこう面白かったので以下に調べた結果をどんどん書いていきます。

ハイブリッド芝の定義

英語版Wikipediaによるハイブリッド芝の定義をGoogle先生に翻訳してもらいました。

第一世代のハイブリッド草は1990年代に登場。草の根が成長するにつれて砂と合成繊維の混合物と絡み合うようにした。合成繊維を根域に挿入するには、主に3つの方法がある。

1つ目は、タフティングマシンで砂の中に合成繊維を注入する方法である。これはGrassMasterが採用している方法です。

2つ目の方法は、繊維、コルク、砂を混合した人工土壌を、ピッチに設置する方法です。これはフランスで最も使用されているハイブリッド芝で、このシステムはバイオメカニクスの公立研究所と共同で開発されました。

第三の方法は、表面に織られた繊維または房状の繊維を持つカーペット/マットを置き、繊維を直立した状態に保つために、その後に砂または砂の混合物でブラシをかけ、最後に芝生の種の混合物を撒く方法です。天然の芝はマットを介して根を張り、システムを安定化させる。これらのシステムは、カーペットベースのハイブリッド芝ソリューションと呼ばれています。最も革新的な技術は、FLexGrassが特許を取得したHORIZONと呼ばれるもので、市場で100%リサイクル可能な唯一のシステムです。
(Google翻訳を基に一部筆者修正)

WikiによるとReinforced Natural Grass(強化天然芝)もハイブリッド芝と同義としています。何を強化しているのでしょうか?

ハイブリッド芝にはいくつかの方法があるようですが、ここで注目したいのが、ハイブリッド芝の定義とは「(草ではなく)根がある土壌部分に人工的な何かを加えているもの」という点です。

芝生のイメージとしてどうしても草部分に目がいきがちですが、ハイブリッド芝で大事なのは根がある土壌部分なのです。


天然芝にとって湿気は病気のもと

天然芝も大きく分けると冬芝夏芝に分類されます。一般的に冬芝は西洋芝、夏芝は日本芝と呼ばれます(セントオーガスチン等一部例外有り)

その名の通り冬芝は寒さに強く、逆に夏芝は高温多湿にも耐えるとされています。

ただし冬芝夏芝ともに湿気は苦手です。理由はすぐに菌糸が繁殖して病気の原因になるからです。でも乾燥したら枯れます。芝生ってすごく水加減に気を遣う植物なんです。

ハイブリッド芝が土壌に着目しているのは、根つきを良くする目的がありますが、それ以外に土壌の排水性向上も大きな目的です(そして排水性の良い土壌だと根が深くまで伸びていくから根つきが良くなる)


人工芝って英語で何て言う?

人工芝は英語では、Artificial GrassSynthetic turfAstroTurf などと言います。

人工芝にも世代があります。SIS Pitches社による2G(generation)、3G,、4G以降の説明です。各社の製品紹介で「3G」と書いていればそれは第3世代人工芝を指しています。

ちなみにAstroTurf(人工芝)はGreenFields 社の商標登録商品ですが、今では人工芝全般をさす英語になっているとの事。絆創膏をリバテープと言っちゃう感じ?(九州沖縄限定)


ここからは欧米の芝生メーカーや各商品についてのまとめです。


Mansfield Sand

UKの大手スポーツフィールド開発会社。

Fibrelastic® Rootzone (FERZ) はMansfield Sand社のハイブリッド芝システム

ポリウレタン等の合成繊維を混ぜた人工土壌を設置してその上に天然芝を植えるタイプです。


Kestrel Contractors 

UKのスポーツピッチ専門施工会社

以下に詳細な芝施工手順マニュアルあり。業者必見!(英語ですが)


Domo Sports Grass

ベルギーに本社があるSports and Leisure Group NVのスポーツブランドです。高品質な人工芝システムの開発、製造、販売を世界中で行っています。


HATKO 

トルコに本社がある世界的な芝メーカーです。

HATKOのハイブリッド芝はカーペットタイプ。

UEFA2020ファイナル会場である Atatürk Olympic Stadium(イスタンブール)のハイブリッド芝施工状況


GreenFields

本社オランダのスポーツターフ世界的企業

開発したハイブリッド芝はカーペット式の商品名XtraGrass

日本代理店 株式会社 アストロの紹介記事


Desso Sports

イギリス。Desso Sportsが開発した打ち込み式ハイブリッド芝 商品名GrassMaster 

日本総代理店の株式会社パルカの紹介記事


おまけ

シンガポール・ナショナルスタジアム

2015年5月25日の記事。Desso Sports(英)の強化天然芝GrassMaster からエクリプス・スタビライズド・ターフ(EST)の強化天然芝へ張り替えた記事。GrassMaster が表面の一部がまだらで、砂まじりで不評だったとの事。

シンガポール・ナショナルスタジアムはドーム型の開閉式屋根としては世界最大級です。


SIS Pitches

本社イギリス。開発した打ち込み式ハイブリッド芝は商品名SIS Grass

日本総代理店 株式会社K2Kの紹介記事


ここからは日本のスタジアムの芝生について


埼玉スタジアム2002

通年緑化に冬芝を複数種使用の天然芝ピッチ。

年間のピッチ使用日数は概ね60日。約一週間に約1回の割合で使用

地温コントロールのパイプ、大型の送風機、育成促進ライトで育成

埼玉スタジアムは大規模な芝張替工事が予定されています。

第一回会議 資料①:埼玉スタジアム2002メインピッチの経緯と現状
第一回会議 資料②:今後の埼玉スタジアム2002メインピッチ芝で求められる課題
第一回会議 資料③:検討する芝種の選定
第一回会議 資料④:芝種選定のための実証実験
第一回会議 資料⑤:その他(芝張替スケジュール等)
第一回会議 参考資料:J リーグ主要スタジアム概要/さいたま市の気象条件/スタジアムの稼働率/サッカー以外のスタジアム利用

おまけ 埼玉スタジアム2002の大屋根構造について(鹿島建設ウェブサイト)


日産スタジアム

厳冬期の芝生養生 保温目的の養生シート

2018年夏にハイブリッド芝の張替工事を実施

世界初となる「ヒーロー(HGST社 豪)」ハイブリッドシステムと天然芝「セレブレーション」バミューダグラスを組み合わせた “カーペット型ハイブリッド芝” を使用


ノエビアスタジアム神戸

ピッチはハイブリッド芝で打ち込み式 SIS Grass を採用


ラグビーW杯を終えて芝の状況についての記事。



味の素スタジアム

毎日新聞2019年8月13日の記事。2019ラグビーW杯に向けてハイブリッド芝になった模様。

ラグビーW杯を終えて芝の状況についての記事。


カシマスタジアム

夏芝を使った天然芝による通年緑化「ターフプロジェクト」

短期間で芝を張り替える技術で、ピッチの常緑化とスタジアム稼働率向上を目指す


2018年3月2日 スポーツ報知の記事

LED照射システム「ブライターフ」についても。


吹田サッカースタジアム

夏芝と冬芝を併用する天然芝オーバーシーディングで運用


参考にしたnote、ブログ、資料

カシマスタジアムはこちらのnoteを参考にさせて頂きました。


Jリーグスタジアムでハイブリッド芝が推進され始めた背景はこちらのブログに詳しいです。


監査法人KPMGの資料もスタジアムと芝について詳細に分析されています。

Synthetic Turf Study in Europe, 2012(作成:監査法人KPMG、英語)

スタジアム開発を成功させるための計画(作成:監査法人KPMG、日本語)


このまとめが貴方の芝生ライフの助けになれば幸いです。おわり。

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