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指定管理者って実際何なの? ~Bリーグ決算考察⑦ 琉球ゴールデンキングス営業収入その他(アリーナ管理)編~

どうも。プロスポーツがどうやって稼いでいるのか、おはようからおやすみまで四六時中考えているTaiyoです。

前回のnoteは、2016-17シーズンより2018-19シーズンまで3シーズンの琉球ゴールデンキングス決算報告の営業収入(その他)に含まれるであろう飲食売上について掘り下げました。

今回はキングスの営業収入(その他)の項目から、沖縄新アリーナ指定管理者としてのアリーナ経営の動きを掘り下げてみたいと思います。

2019-20より新アリーナ経営がスタート

キングスは2019-20シーズンより新しいホームアリーナとなる沖縄アリーナ(仮称)の指定管理者となる事が決定しています。

これは正確に言うと、キングスの運営会社である沖縄バスケットボール株式会社の子会社「沖縄アリーナ株式会社(代表取締役はキングスと同じく木村達郎)」をアリーナ運営会社として設立、2019年6月下旬の沖縄市議会にて指定管理者として議決されたものです。

現在の日本プロスポーツで、球団・クラブがそのホームスタジアムの一体運営を行う事はスポーツビジネスとして大きく飛躍するために必須と言えます

では、今回キングスが新アリーナを運営するために選定された指定管理者とはいったいどんなものなのでしょうか

指定管理者制度とは

ここからは地方自治法第244条の2項 指定管理者制度についてのまとめを。参考リンクを張りますが、すっ飛ばしても構いません。

ひとことで言うと、公共施設(今回なら沖縄アリーナ)の利用者への対応・建物設備の維持補修を民間(今回ならキングス)に代わりにやってもらうけど、施設(沖縄アリーナ)をある程度自由に使ってもいいよ。というのが指定管理者制度です。

指定管理者制度のお金の流れ(利用料金制)

キングスが新アリーナをある程度自由に使える事はわかった。でも何でそれが大事なの?という疑問に答える前に、指定管理者制度のお金の流れを簡単にまとめてみましょう。

指定管理者制度では、指定管理者側から見た収入・支出について一般的に3種類のお金の流れがあり、地方自治体がどのお金の流れを採用するかは施設ごとに異なります。

指定管理者制度の利用料金制の仕組み:上越市
指定管理者制度について:沖縄県福祉保健部
指定管理者制度Q&A|BestPPP!行政と民間をつなぐポータルサイト・ベスピィ
指定管理者制度における利用料金制と収受代行制:三菱UFJリサーチ&コンサルティング

地方自治法244条の2 第8項 利用料金制を活用する事により施設利用料や自主事業を管理費用に充てその差益を管理者利益とすることができます。

広島東洋カープが指定管理者であるマツダスタジアム、そして千葉ロッテマリーンズが指定管理者である千葉マリンスタジアムは、それぞれ広島市・千葉市から支払われる指定管理料は0円です。利用料収入や自主事業等の施設運営収入のみで維持運営される利用料金制です。さらに球団から自治体に対して各種名目でお金を支払っています(納付金制度)。

広島市民球場指定管理者の業務実施状況(平成 27 年度)の概要・評価:広島市
指定管理者一覧(平成30年4月1日現在):広島市

平成27年度 千葉マリンスタジアム 指定管理者評価シート:千葉市

なぜ指定管理者になるとクラブは儲かるのか

地方自治体は、指定管理者(今回ならキングス)に施設(沖縄アリーナ)を維持・管理運営させる代わりに、施設運営で発生した収入を指定管理者の利益としてOK、とする事ができます。

重要なのは、「施設運営で発生した収入」とは単なる入場料収入だけではなく、飲食物販収入や看板などの広告収入、そして試合日以外の施設利用に関する収入も指定管理者の利益となるのです。

試合会場となるスタジアム・アリーナが、球団クラブのものでない場合、入場料収入以外の飲食物販収入や広告収入などが球団クラブの収入ではなくスタジアム・アリーナ運営者の収入となります。(代表例が現在の北海道日本ハムファイターズと札幌ドームの関係)

また、1年間でプロスポーツ興行としての利用日は多くても数十日です。試合日以外でもスタジアム・アリーナを貸出したりイベントを開催する事でさらに収入が大きくなります

実際に、Bリーグ大阪エベッサはクラブ運営会社であるヒューマンプランニング株式会社が大阪市と(指定管理者制度ではなく)舞洲アリーナの定期建物賃貸借契約を結んでアリーナ事業を実施、試合興行以外の利益を上げています。

引用元:スポーツ分野における民間資金・先端技術の活用推進と先進事例の横展開等(民間資金を活用したスタジアム・アリーナ整備等)2018年5月18日 スポーツ庁

プロ野球では広島東洋カープ、Jリーグでは鹿島アントラーズがそれぞれのホームスタジアムの指定管理者となって、スタジアムの施設改修に投資して大きな利益を上げていることが代表的です。

Kashima Antlers 2019 Press Conference:首相官邸

スタジアム・アリーナで稼ぐ事は国家戦略

スポーツ庁と経済産業省はスタジアム・アリーナ事業を官民連携で一大産業とすべく「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を公表しています。国内だけでなく海外スタジアムアリーナ経営事例も数多く紹介されており非常に面白い資料です。

具体的な収入予測は次回に

沖縄市の新アリーナ構想資料に収支予測がありましたので、具体的な収入予測は次回に。

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