BTCによるイノベーション
2019年5月22日(水)武蔵野美術大学院 造形構想研究科の「クリエイティブ・リーダーシップ特論」という講義のゲストスピーカーにTakram代表取締役の田川欣哉さんがご登壇された。本日の講演の内容については、以下の書籍によくまとまっている。
田川欣哉。Takram代表取締役。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。1976年東京都生まれ。東京大学工学部卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。デザインエンジニア。プロダクト・サービスからブランドまで。テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通する。
VUCAと呼ばれる現在の社会では、一つひとつの専門領域では太刀打ちできないような複雑で複合化している課題が増えている。何が課題なのか、そして、そもそも答え自体が存在しないような、やっかいな課題。こうした複雑な課題を解くためには、従来の経営にみられる要素分解的なアプローチではなく、分野越境型の総力戦が必要だと田川さんはいう。
そして、企業においてプロダクトとブランドを育てるためには、「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティビティ」の3領域を有機的に統合させる必要があるとのこと。そして、この3領域が結合した状態のことをBTCトライアングルと呼び、イノベーションを生み出す組織の理想型だという。そして、こうした異分野の統合を担う人材を「BTC型人材」、そのような人材を有した組織を「BTC型組織」と整理している。
特に、「みがく人」が必要以上に増えすぎて、「たす人」と「ひく人」の役割が制限されて結果的に新陳代謝が進まない日本では、イノベーション人材がいまの10倍は必要だという。そして、イノベーションを牽引するのが、BTC型人材だという。今後、グローバルなビジネスシーンでBTC型人材が活躍していくことは間違いないとのことで、近い将来には、デザインリテラシーがビジネスパーソンにとっての必須スキルになるという。そして、BTC型人材を育てるために、Takramでは、「片足を自分が安心できる得意な領域に置きながら、片足は新しい分野に踏み出して、探り探り進んでもらう」という。こうやって一歩一歩「越境」を重ねていくことで、複眼思考が自然と身につくという。
一方で、個人がイノベーション人材を目指す場合に有効なのは、自らスタートアップを起業するか、できるだけアーリーステージの企業にジョインすることだという。これが最短距離でBTC型人材に成長する方法とのことである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?