「格差社会とは?」対話カフェそもそも レポート#33
【開催日時】
2024年3月16日(土)
13:00~15:00
第33回のテーマは「格差社会とは?」です。
生きづらさを感じたとき、その原因が格差にあると思う人も多いでしょう。
格差を無くすべき、減らすべき、という意見も見かけます。
海外では、国が統制して格差を無くそうとした歴史もあります。
個人レベルで格差を感じた人もいるでしょう。
格差は身近にもあるもの。
格差による問題や、悩みのあれこれについて対話したレポートです。
はじめの問い
まずはテーマについて抱いている問いや、思うこと挙げていきます。
「格差は少ない方がいいのか?」
「どんなときに格差を感じるのか?」
「何に格差を感じるのか?」
「いい格差ってあるの?」
「個人の努力で変えられる?」
これらの問いが挙がりました。
どんなときに格差を感じるのか?
まずは各自がどんなときに格差を感じたのか、体験を挙げてもらいました。
貯金の格差
「自分の貯金額が寂しく感じるとき。同世代はもっと貯めてる人もいるだろうな、と思う。もちろん、貯金額が少ないのは自分のせいだとも思う。同世代で差があって、自分は低い方なんだと思うと少し悲しい」
東京への距離の格差
「東京の実家暮らしの人と話すとき」
「東京限定ですか?」
「もう少し具体的には、実家から都心に気軽に行ける街に実家があって、そこで育った人。東京を基本しているから、格差を感じる」
「東京を基本、ってどういう意味でしょうか?」
「東京に近いことが良い、という価値観を持っている。田舎になればなるほど、東京に近いかどうかはどうでもよくなる。関東圏だけにある価値観」
「宮城なら仙台に行けるかどうか、という基準はあるかもしれないけど、東京に行けるかとはちょっと違う」
経験の格差
「経験の差を感じるとき。例えば、海外旅行が身近かどうかとか、海外に行った回数とか、海外経験の差は
感じる」
「家族旅行で海外に行っていた人とか、ホームステイを経験した人の話を聞くと格差を感じる。自分は海外に行く発想もなかったし、行きたいと親に言っても行かせてもらえない家だった」
情報の格差・環境の格差
「ワーキングホリデーを知ったときにはもう年齢が遅くて、これは情報格差だったのかも」
「ワーキングホリデーは知っていたら、早くから準備
できるし、機会が広がる」
「そういう情報が入ってくるかどうかは、環境の格差なんだと思う」
「そうなると、情報格差は、環境格差にすべて含まれるんでしょうか?」
「情報格差のほとんどは環境格差に含まれるけど、すべてが入るわけではないというイメージです」
「情報格差の多くは環境で決まるから、環境格差がそのまま情報格差にはなりやすいと思う」
就活の学歴格差
「就活のときに学歴格差を感じた。出身大学でまず選別される。Fランは厳しい。ただ、これも前に出ましたが、Fランを選んだ自分のせいでは?とも思う。理不尽な格差だとは思わない」
「なるほど、納得できない理不尽な格差と、ある程度自分のせいだと納得できる格差があるんですね」
転職の男女格差
「転職のとき、男女の格差を感じる。求められる職種は同じじゃない」
「田舎だと、女性の求人は非正規が増える。こういうことも格差」
家庭環境の格差
「家庭環境にも格差がある。うちは両親が共働きで、自分はカギっ子だった。いろいろなことを体験させてもらえる家庭ではなかった」
「経済的な理由で、習いたかった習い事に通わせてもらえなかった。裕福なら違っていたのかも」
「親の収入が少なければ、私立校には行けないし、中学受験もできない」
「こういうのは子どもにとって自分のせいじゃないので、理不尽な格差だと思う」
大きくは、経済的な格差、環境的な格差に分けられそう?
さらには、理不尽な格差、納得できる格差にも分けられそうです。
格差は個人の力で変えられる?
個人の力で変えられる格差は何があるのか?
仕分けてみることにしました。
【個人で変えられそうな格差】
経済、経験
【個人で変えるのは難しい格差】
家庭
【変えられるか微妙な格差】
環境
「環境格差は変えられるけど、変えることがすごくたいへん」
「就職格差は、早く気づくほど有利。高校から就職を意識できていたらかなり違う」
「どの格差でも、結局は『親の格=子の格』になりやすい。子が親の格を上回るのは相当な努力が必要」
「経験は後からでも埋められるけど、10代での体験は10代でしかできないので後から埋められない。10代のうちから豊富な体験をできているかの差は大きい」
「いちばん変えられそうな格差は情報格差だと思う。いろいろな格差が積み重なって、一番上に現れてくるのが情報格差。だから変えやすい」
「でも、情報格差って、自分がどの階層にいるかわかりづらくないですか?」
「階層の上下もわかりづらい。ワーホリとかを知ってたほうが上なのはわかる。でも、陰謀論みたいなのを信じている人は、自分はいちばん上だと思ってるけど、外から見ると下に見える。自分が上なのか下なのか、情報の種類によっては判断しづらい」
「いわゆる『ネットで真実』が、上か下か、ってことですね」
「それは情報リテラシーの話になると思う」
「自分が情報強者だと思っているなら、自分が変わる必要ないと思いますよね? 情報格差については自覚しづらい」
「情報リテラシーの話となると、結局はこれも環境格差、家庭の格差に由来する」
「情報格差って、同世代と接したときに一番感じやすいと思います。同じ世代なのにこの人はこういうこと知ってて得してるんだ、とかで影響される」
「格差の多くは積み重ねの結果だから、年を取るほどに格差の幅が広がっていく。若いときに格差を感じにくいのは、まだ幅が狭いから」
このあたりで時間いっぱいとなりました。
ファシリテーターの思うこと
さまざまな格差を語るだけでどんどん時間が経ってしまいました。
思っていた以上に、皆さん格差を感じながら暮らしているようです。
「理不尽な格差と、そうじゃない格差」
「格差は積み重ね」
これらの視点は面白く、対話ならではの発見がありました。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
次回の開催案内
次回は2024年3月30日(土)開催。
テーマは「ありのままの自分とは?」です。
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