見出し画像

鑑賞ゲリラ Vol.37 『「綿花の言祝」ーひとつの時代が終わっても、また新たに歩き出す。希望を込めてー』レポート(1) 2023/11/3開催

開催情報

【開催日】2023年11月3日(金)
【会場】長者町コットンビル
【展覧会】神村泰代「街を紡ぐ 空を縒る」2023長者町コットンプロジェクト
 会期:2023年10月21日(金)-11月5日(日)
【出品作家】
 Chojamachi Nishiki COTTON PROJECT + 365 wishes(神村泰代)

内容 

作品

《ときについて》 AO ラムダプリント 廃棄糸 コットン ③ ④

鑑賞内容

最初はエントランス正面の写真作品から、参加者は作品の周りからじっくり作品を見る。

ファシリテーター(以下F):近くによってじっくり見てください。
何がありましたか?どんなものが見えましたか?
▶手が女の人のようだ。
▶しつけ糸のようによれて束になった糸がスカートになっている。
▶ふちが暗くなっていて(裾が)現れてくるのか、消えて行くのか分からない。

F:他に何かありますか?
▶綿の根っこは自然なもの、(ドレスの)上の部分についているものは自然なもので、スカート部 分は人工的なものの対比があるのでは。
▶手に持っている根っこは、花をつけ終わって命を終えたもの、みずみずしいものとそうでないのがある。自然に枯れたものと人工的に枯らしたものがあるのでは?
▶綿は草かと思っていたが、木なのか?根っこは見たことがないが、木のようだ。

F:綿は多年草ですが、日本では毎年収穫して種を蒔いて育てています。写真の根は綿の根です。
コットンプロジェクトは、(作者の)神村さんがこの辺りや他の活動拠点で綿を種から育ててもらい、綿花を集めて作品を作り、また種を配って育てて…を繰り返す、循環型の2019年から続いているプロジェクトです。この作品の中にもその綿が入っています。
(スカート部分のように)人工的なものも入っていてそれも重要なポイントですが、手元に注目 してみてください。持ち方とかから考えられることはありますか?
▶木としての役割を終えたものを大切に持っている。雑に扱わずに両手を添えている。
▶大事そうに持っているから、まだ植えたい、根をはりたい感じがする。
▶花束なら、花の所が根っこになっている。根っこが見せたいのでは。

F:先ほどの話とリンクしていますね、根が大事な部分なようです。裏側にもう一枚作品がありますのでそちらの方をみてみましょう。

・・・鑑賞者は壁の裏側の作品に移動する。

F:先ほど作品との違いに注目して見てみてください。
▶モデルが違う。(人の)肌の色が違う。
▶持ち方が違う。持っているものも根っこの束から綿の若木に変わっている。
▶苗木を今から植えようとしている、背景の色も黒から明るい灰色になっている。そこから全体的に力強い力がみなぎっている感じがする。

F:他に力を感じるような所はありませんか?
持っているものも違うし、手の形も違う。

F:クローズアップの仕方はどうですか?
▶ドレスの部分の裾のスカートが無くて、胸元がはっきり写っている。どちらも性別ははっきりしない。

F:一つ情報として、このドレスを着ているのは両方とも男性です。印象が変わった所はありますか?そこから何か考えられることはありますか?
▶男女というのはないですが、白人と黒人、有色人種ととらえると、白人が搾取する側、黒色人種 が搾取される側、着るのが白色人種で、採るのが黒色人種。これを見ると、現代は植えるのも黒色人種で、搾取されるのではなく植える側でもある。深読みだが、裏表を見ると感じる。

F:もうひと方、ご意見ありますか?
▶二つの作品は相似形であるが違う所もある。根っこと若木というのは時間軸の差も感じる。

F:まだ皆さんモヤモヤしているところも、もっと知りたいところもあると思いますが、後のトークでお話していただくことにして、次は振り返って、この部屋全体を観てみましょう。

【ファシリテーター】城所豊美
【レポート】野中美佳
【鑑賞時間】25分

いいなと思ったら応援しよう!