鑑賞ゲリラ Vol.14 『Retro? or Modan?』レポート(1) 2022/10/21開催
開催情報
【開催日】2022年10月21日(金)
【会場】愛知県瀬戸市 菱野団地 各所
【展覧会】瀬戸現代美術展2022
会期:2022年9月17日(土) ~ 10月23日(日)
【出品作家】
安藤正子、井出創太郎、植松ゆりか、木曽浩太、城戸保、栗木清美、
栗木義夫、こいけぐらんじ、小杉滋樹、後藤あこ、近藤佳那子、設楽知昭、設楽陸、鈴木優作、鷹野健、塚本南波、ニュースペーパーズ、馬場奈津紀、古畑大気、文谷有佳里、 MITOS
内容
作品
古畑大気 ( FURUFATA Taiki ) 《Suburbs》
作品名の「Suburbs」 とは、住宅地としての郊外市外、オーストラリアやニュージーランドで用いられている、ひとつの都市をさらに細分化した行政区画の単位。「日本の○○市の中の△△町に相当」するもの、「町名」、「まち」。
鑑賞の記録
ファシリテーター(以下F): 何がありますか?みえますか?(写真1)
▶上方に歩道橋、下方にストレートに道がある。▶歩道橋はコピーされた連続性がある、樹はそうではない。▶橋から建物の2階へ入っていくよう。▶その向こう側も上がり階段もわからない。▶景色しかない(人はいない)。▶植え込み、樹と建物。平面、立体しかない。▶角がある。
F:角は同じ?
▶角は同じ。受けている?ところが違う。
F:それはなぜ?
▶時間の移ろいがある。▶自動車で移動していて見える景色。動いているから、このように見える?
F: 私たちに動けと言っている?
▶助手席で目をつぶって見ない見るを繰り返したよう。▶連写かも。
F:彼の絵はトリミングがある。なぜ?
▶デザイン性が高い。▶遠近も変。▶歪んでいる。▶なぜ赤いトリミングがあるのか不思議。
F: 錯視にも感じるところがあるが?
▶建物という意識はなくてもいいのでは。▶対称物。▶間違いを探せ?間違いを探すのではない。▶具体的に見せているが実は考えてはいないのでは。▶挑戦的な絵。
・・・ここで、他の作品へ鑑賞を広げる。
・・・赤い線だけで構成されている作品を見て(写真2)
F:線だけで構成しているが?
▶ビル、箱。▶既視感がある。▶ガラス、エスカレーター。▶リズムはなし?ある?▶手書きをCGにしたのか?
・・・その他の作品を見て (写真3・4・5)
▶ディテールは違うが全体をとおして同じように構成されている。▶意識せず見ている景色、何となく目に入ってくる景色とマッチングしてしまう?▶熊谷守一みたい。▶シートに描かれている作品は、描かれている景色の前に展示したものかも?▶どんなプロセスで制作されているのか?
・・・ここでタイムアップ。
「作品についてもっと知りたい!」欲も表れ、古畑さんの世界にどんどん魅了されていく参加者の皆さんでした。
【ファシリテーター】 大野有紀子
【レポート】城所豊美
【鑑賞時間】約20分
部屋に入り作品をぐるっと見ていると、自分が車に乗って菱野団地を移動している感覚になる。車窓から見える景色をタイムラプスで撮影したような速さと、逆にゆっくり移動した時の残像が続くような相反する感覚を持つイメージが、キャンバスやテント布に収まっている。いや、収まっているのだろうか?
それぞれの支持体からさらにどんどん拡張していくリズム感もある。そして特徴的な色使い。
部屋に元々設えてあるものと絵のモチーフが呼応したり、呼応するモチーフを室内に備えてみたりと遊び心が随所に見られ、クスっとさせられた。しかし、20分じゃ時間が足らないですね。(城所豊美)