鑑賞ゲリラ Vol.44『地下で待つ』レポート(1) 2024/4/20開催
開催情報
【開催日】2024年4月20日(土)
【会場】N-mark B1
【展覧会】丸山純子個展「記憶する風」
会期:2024年4月4日(木)ー5月4日(土)
【出品作家】丸山純子 (MARUYAMA Junko)
内容
作品
《view of the wind》
鑑賞内容
ファシリテーター(以下F):何か気が付いた事はありますか?
▶波のようなものに見えます。海をイメージしました。
F:他に、気になった点はありますか?
▶バックの背景は、陸なのか、何なのか分からなかったけど、こうしてみていると、山並みなのかなと思った。ここの稜線の部分。なんだか懐かしい感じがした。
▶素材は木でしょうか。全体に色があまり使われていなくて、自然の色と、あとはモノトーンで。何か穏やかな感じで落ち着く。
F:山に見えた、という事ですね?
▶そうですね。違うのかもしれませんが。
F:山とは、私にとっては予想外で、何か楽しいなと思いました。(一同笑い声)
▶ここに海があって、ここにも同じ線があったから。(作品の一部を指し示しながら)その記憶を持って改めて見ると山に見えました。
F:山、という意見が出ましたが、〇〇さんはどう思いますか?海と言っていただいてもいいですよ。(一同笑い声)
▶このお花の部分が、映画「もののけ姫」の中で「ケケケケ」って笑うのがいっぱい出てくるじゃないですか。
F:顔が回るやつですか?
▶そうそうそう。森の精。
▶一つ一つが擬人というか、しゃべっているというか。全体としての物語があるのかなと感じた。カチッと絵で描いている訳じゃなくて立体的にフワフワしているから、さきほどの方がおっしゃったみたいに何か生きているように感じる。
F:生きている感じ・・・。そうですね。どんな事をしゃべっていると思います?
▶端からずっと回ってきて、旅が最終的に終わって「終わったね」みたいな。一通りの事を終わって、みんなで「お疲れ!」みたいな、(一同笑い声)次何処行く?って感じの明るい未来のお話かと思うんですけど。
F:家みたいな感じですか?
▶物語の始まりみたいなイメージですね。
F:ここまでのいろいろな意見を聞いて、見方が変わった点はありますか?
▶真ん中の方から噴き出しているように見える。これは火山なのかな。そうじゃないかもしれないけど。線が出ているから噴き出しているようにも見えるし、何かが入っていくようにも見える。
F:何が入っていて、出ているように見えますか?
▶この木が表しているのは、何なんだろう。地面なのかな。昔、地面が移動して日本は大陸とくっついていたとか・・・そんな昔に遡らなくてもいいか。ただ、見方によっては桜島の噴火にも見えたりしますね。
▶この白い分、風車にも見えませんか。白いところから、亡くなられた方、恐山の何かを思い出しました。
F:恐山に、亡くなられた方を弔う何かがあるのですか?
▶イタコとか、亡くなられた方を弔う、風車があったりします。ちなみに、恐山には行った事ないです。(一同笑い声)
一度行ってみたくて、調べたりしていたので。ただ、他の地域の神社でも参道のところどころに、風車があったのは見た事あります。
最初は海や山など、自然を想像する事が多かった参加者のみなさん。
対話を続けていくうちに、イタコなど、死者を弔う話が出てきて、対話が深まっていきました。
一人で鑑賞するだけでは、ここまで想像する事は難しいと思います。このやり取りを通じて、改めて対話型鑑賞の面白さを実感する事ができました。
【ファシリテーター・リポート】平岡靖教
【鑑賞時間】約 25 分