鑑賞ゲリラ Vol.32 『煉瓦のカタリバ』レポート(1) 2023/9/9開催
開催情報
【開催日】2023 年 9月 9日(土)
【会場】織部亭(愛知県一宮市島崎1丁目11-19)
【展覧会】野々村麻里個展「星の仮説」
会期:2023年9月2日(土)~24日(日)
【出品作家】
野々村麻里(NONOMURA Mari)
内容
作品
《うつわ》2021 oilpainting panel 606×727mm
鑑賞の記録
ファシリテーター(以下F)が、参加者に朝食を聞くなど場を和ませてスタート。
F:1分鑑賞後、気づいたことを短く、テンポ良くおっしゃってください。
▶皿から枝が浮いているように見える。見えない蜘蛛の糸がある
▶外か中かどちらかな...室内と思う。
秋(色あいから)赤い実が気になる。ハラっと落ちてきたイメージ。
F: 画面外のことも想像していただけました。
▶点々が気になる。色が違う。タピオカみたい。
▶赤い実一つ アクセントになっている。
▶ガラスの皿。本物が置いてあるのか、浮いているのか、実物かどうかわからない。
▶皿はカラなのか、透明な水があるのか。あるなら、透明度の高い水。
F: (画面の外を質問)どんな音がしそうか考えてみてください
▶音はわからない。
掛け軸みたい。古い日本画のよう。色合いからかな。
▶「ポ(po)」で表現できる。点々、リズム。
▶(薄ら)人の声が聞こえるのか、風の音、静か、水が滴る音
▶音はそぐわない。何もないほうがいい。
▶秋を感じる。アンビエントな感じ。環境音楽。
実が落ちている。色合いも。自然の音が聞こえる。
▶叫び声、HELP。光(会場の窓から差し込む光から)アンビエントな感じ。
▶(光の射し方から)皿に置かれた枝が水が滴れた跡のように見える。
・・・ファシリテーターが 展覧会のタイトル「星の仮説」を紹介。
F:例えば、仮説という言葉は夢のある感じですが、この作品から浮かび上がってくる仮説を教えてください。
▶スペースシップ、宇宙船、細かい(赤い点)のが宇宙人。
▶ひっくり返すとクラゲ
▶・・・月か。
▶時間の流れを感じない。100年経ってもこのまま。
▶例えばとか感じたくない。
F :(私は)目を閉じてる感じ。点々が肌の質感。優し感じがします。
タイトルは《うつわ》です。
通常絵を見る時間は20秒と言われています。今日は何倍もの時間をかけて見ました。
【ファシリテーター】菅原まみ子
【レポート】オオノユキコ
【鑑賞時間】20分
野々村さんの作品は赤煉瓦のシックな雰囲気の会場に相応しくとても静かな印象を受けた。自然光が差し込み、影ができるので鑑賞時間帯によって違う表情を見ることもできる。参加者の中から光に触れる発言が出たことはリアルな感覚を共有できて良かった。その静けさについて入り込めると良かったのだが、鑑賞外部の方のざわめきもあり一部気持ちがそぞろになってしまった。
ファシリテーターが少々誘導している感じがしたのは、問いで繋いでいるからだろうか。参加者の鑑賞頻度の違いも考慮したファシリテーションを学んでみたいと思った。(大野有紀子)